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三章 水の怪異編
57 訪問と待機
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白石さんの住まわれるマンションにやってまいりました。
「あの、影山さん?やっぱりこれ不味いんじゃないですか?事実だけを並べると、警察官が高校生の少女を家に連れ込んで二人っきり、ですよ?」
「そんなことを言っていては仕事になりませんから。そのリスクは承知の上です。もっとも、白石さんが柴田さんの顔に泥を塗るような真似をするとは思いませんが」
「ははは・・・まあそうですよね。あ、どうぞ上がってください。私も帰ってくるのは久しぶりなんですけど、散らかってるのはご勘弁を」
そういうことですので、お邪魔します。
あ、誰にも目撃されないように認識阻害のコートを身に付けてますよ?
避けられるリスクを避けない理由もありませんので。
誰かに目撃されると色々と面倒ですし。
白石さんからは見えるように頑張って工夫しています。
地味に大変なことなので数分しか持ちませんが、今回はそれで十分です。
「お邪魔します・・・・・・ふむ」
散らかっているという話でしたが、そうでもありませんね。
綺麗に纏まっていて、清潔感があります。
あ、悪霊が居ましたね。
階級は中位です。
この場で封印してもいいのですが・・・却下で。
戦闘の様子を白石さんから見れば、私の一人芝居に見えるでしょうから。
ポルターガイストが始まった段階で、その場を収めるのが最善かと。
「では、怪奇現象が起こるまで待たせて頂きますね?」
「あ、はい。狭苦しいところですが、ごゆっくりどうぞ」
リビングにあるテーブル、その椅子に腰掛けます。
とはいえ、いつ起こるか分からないものをただ待っているというのも、時間の無駄になります。こんな時の為に用意してきたのが・・・。
「と、よろしければ白石さんもどうぞ?夕食はまだお済みでないようでしたから」
「えっと、これは・・・?」
「手作りのお弁当のようなものです。おせち料理のような形式ですけどね」
こういう時に備えて、外で頂くための料理は作り置きしてあるんです。
詰めるだけで済みますので、とってもお手軽。
作り置きも普通に頂けば無駄にはなりません。
・・・ちょっとだけ妖力でズルをしているのは秘密です。
出来立ての方が美味しいんですもの。
「あ、これはご丁寧に・・・。では、お言葉に甘えまして・・・っ!」
白石さん、恐る恐る卵焼きを一口。
驚いた顔をして、二口目。
そこからは早かったですね。
パクパクと美味しそうに食べてくださるので、私としても嬉しいです。
恐らく、こういう料理を召し上がるのは久しぶりなのでしょう。
キッチンにあまり手が入っていないようですから。
ですが、そんなに慌てて食べるとむせてしまいますよ?
「焦らなくとも、ごゆっくり、好きなだけ召し上がってくださいね?」
「あ、済みません!夢中で食べて感想も言わずに・・・!凄く美味しいです!」
「それは重畳です。あ、飲み物もありますよ」
鞄から飲み物と器を取り出して注ぎ、手渡します。
「どうぞ、白石さん?」
「ありがとうございます・・・!」
受け取った白石さんは、こちらも美味しそうに飲んでくれています。
作る側としては、反応があった方が嬉しいものなんですよ。
あ、勿論無反応でも悪く思うようなことはしませんよ?
それも個性というものですから。
と、この状況、よくよく考えると・・・?
「ふふっ・・・何だか、新婚さんみたいですね?」
「ぶふっ!? な、な、何言ってるんですかっ!!」
「将来は、味の感想を言ってくれる人と一緒になりたいものですねぇ・・・」
「ゲホッ、ゴホッ・・・!?」
とはいえ、それは一つの判断基準でしかありません。
それに、恋愛についてはまだ興味がないので、当分先の話ですね。
それはともかく、白石さんは随分むせていますが、どうかしたのでしょうか?
・・・あ、分かりました。
「白石さん、私は高校生ですので、手を出したら捕まりかねませんよ?」
「いやいやいやっ! 手なんて出しませんよっ!?」
どうやら誤解だったようです。
私もそういった知識はあるのですが、口にするのは恥ずかしいものなのですね。
ちょっと顔が熱いです。
それから二時間後、微妙に気まずい空気が続いていた頃、状況が動きました。
カタカタカタ、と部屋の中から音が鳴りだしたのです。
「っ、影山さんっ・・・!」
「はい・・・・・・お任せください」
「っ?」
丁度いい機会ですから、実験も兼ねてこれを使いましょうかね。
私はコートの内ポケットから、緑色の<妖符>を取り出しました。
上手く詠唱を隠蔽して、と。
「我求めるは、この世ならざる妖の力。
我が求めに応じ、今現世に現れ出でよ。
汝は風となりしモノ。敵を切り裂く数多の刃となれ。
限定封印解除・・・・・・森羅召喚<鎌鼬舞踊>っ!!」
「あの、影山さん?やっぱりこれ不味いんじゃないですか?事実だけを並べると、警察官が高校生の少女を家に連れ込んで二人っきり、ですよ?」
「そんなことを言っていては仕事になりませんから。そのリスクは承知の上です。もっとも、白石さんが柴田さんの顔に泥を塗るような真似をするとは思いませんが」
「ははは・・・まあそうですよね。あ、どうぞ上がってください。私も帰ってくるのは久しぶりなんですけど、散らかってるのはご勘弁を」
そういうことですので、お邪魔します。
あ、誰にも目撃されないように認識阻害のコートを身に付けてますよ?
避けられるリスクを避けない理由もありませんので。
誰かに目撃されると色々と面倒ですし。
白石さんからは見えるように頑張って工夫しています。
地味に大変なことなので数分しか持ちませんが、今回はそれで十分です。
「お邪魔します・・・・・・ふむ」
散らかっているという話でしたが、そうでもありませんね。
綺麗に纏まっていて、清潔感があります。
あ、悪霊が居ましたね。
階級は中位です。
この場で封印してもいいのですが・・・却下で。
戦闘の様子を白石さんから見れば、私の一人芝居に見えるでしょうから。
ポルターガイストが始まった段階で、その場を収めるのが最善かと。
「では、怪奇現象が起こるまで待たせて頂きますね?」
「あ、はい。狭苦しいところですが、ごゆっくりどうぞ」
リビングにあるテーブル、その椅子に腰掛けます。
とはいえ、いつ起こるか分からないものをただ待っているというのも、時間の無駄になります。こんな時の為に用意してきたのが・・・。
「と、よろしければ白石さんもどうぞ?夕食はまだお済みでないようでしたから」
「えっと、これは・・・?」
「手作りのお弁当のようなものです。おせち料理のような形式ですけどね」
こういう時に備えて、外で頂くための料理は作り置きしてあるんです。
詰めるだけで済みますので、とってもお手軽。
作り置きも普通に頂けば無駄にはなりません。
・・・ちょっとだけ妖力でズルをしているのは秘密です。
出来立ての方が美味しいんですもの。
「あ、これはご丁寧に・・・。では、お言葉に甘えまして・・・っ!」
白石さん、恐る恐る卵焼きを一口。
驚いた顔をして、二口目。
そこからは早かったですね。
パクパクと美味しそうに食べてくださるので、私としても嬉しいです。
恐らく、こういう料理を召し上がるのは久しぶりなのでしょう。
キッチンにあまり手が入っていないようですから。
ですが、そんなに慌てて食べるとむせてしまいますよ?
「焦らなくとも、ごゆっくり、好きなだけ召し上がってくださいね?」
「あ、済みません!夢中で食べて感想も言わずに・・・!凄く美味しいです!」
「それは重畳です。あ、飲み物もありますよ」
鞄から飲み物と器を取り出して注ぎ、手渡します。
「どうぞ、白石さん?」
「ありがとうございます・・・!」
受け取った白石さんは、こちらも美味しそうに飲んでくれています。
作る側としては、反応があった方が嬉しいものなんですよ。
あ、勿論無反応でも悪く思うようなことはしませんよ?
それも個性というものですから。
と、この状況、よくよく考えると・・・?
「ふふっ・・・何だか、新婚さんみたいですね?」
「ぶふっ!? な、な、何言ってるんですかっ!!」
「将来は、味の感想を言ってくれる人と一緒になりたいものですねぇ・・・」
「ゲホッ、ゴホッ・・・!?」
とはいえ、それは一つの判断基準でしかありません。
それに、恋愛についてはまだ興味がないので、当分先の話ですね。
それはともかく、白石さんは随分むせていますが、どうかしたのでしょうか?
・・・あ、分かりました。
「白石さん、私は高校生ですので、手を出したら捕まりかねませんよ?」
「いやいやいやっ! 手なんて出しませんよっ!?」
どうやら誤解だったようです。
私もそういった知識はあるのですが、口にするのは恥ずかしいものなのですね。
ちょっと顔が熱いです。
それから二時間後、微妙に気まずい空気が続いていた頃、状況が動きました。
カタカタカタ、と部屋の中から音が鳴りだしたのです。
「っ、影山さんっ・・・!」
「はい・・・・・・お任せください」
「っ?」
丁度いい機会ですから、実験も兼ねてこれを使いましょうかね。
私はコートの内ポケットから、緑色の<妖符>を取り出しました。
上手く詠唱を隠蔽して、と。
「我求めるは、この世ならざる妖の力。
我が求めに応じ、今現世に現れ出でよ。
汝は風となりしモノ。敵を切り裂く数多の刃となれ。
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