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三章 水の怪異編
80 <双蛇組>組長室にて
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ここは市内某所にある<双蛇組>本拠地。
現在は真夜中であるが、内部は酷く騒がしくなっていた。
「侵入者はまだ捕縛できんのかっ!」
「さっさと捕まえろっ! もうパーティーは始まっているんだぞ!? 来賓客も居るというのに、途中で邪魔が入ったら大問題だっ!!」
組長と副組長が檄を飛ばして、子分たちを動かせた。
事の起こりは十数分前。
構成員の一人が部屋で気絶させられているのを発見し、侵入者が発覚したことから始まった。今では上を下をの大騒ぎである。
「侵入者は一体何者だ!これだけの数を気づかれずに気絶させるなどっ!!」
「分かりません!ですが、外から侵入した可能性は低いかと!」
「だったら内部犯だとでもっ・・・いや、待て。しばらく前に連れ込まれた女は!?」
「そ、それが、勧誘役の男は気絶させられていて、女は姿がなく・・・!」
「クソッ!信じられんが、状況的にそいつが犯人だっ!!」
組長は半信半疑ながらも、外からの侵入を確認できていない以上それしかないと結論付けた。
若葉なら気づかれずに普通に外から侵入できるが、そのことは知らない。
知っていても、若葉が犯人という結論は変わらないのだが。
「あの女の身分が分かる物はないのかっ!?」
「そ、それが、服や鞄の中にはそれらしきものが一つも無く・・・!」
「どう考えたって怪し過ぎるだろうがっ!!」
組長の中年男は苛立ち紛れにソファーを蹴飛ばした。
自分が連れ込むことを認めたのを棚に上げて副組長を詰り始めた。
それに飽きると、今度は血管を浮き上がらせ、鬼の形相に。
「クソがっ!この<双蛇組>の顔に泥を塗りやがってっ!!捕まえたら薬漬けにしてヨガらせた挙句に身も心もズタボロにして捨ててやるっ!!」
ドンッ!!
「おいっ、テメェも捜しに行けっ! 俺に次いで腕っぷしがあるお前が行かずにどうすんだっ!!」
「は、はいっ! すぐにっ!!」
組長はテーブルを叩きつつ、副組長も捜しに行かせた。
この二人はプロボクサー並の腕っぷしを誇るために、皆から敬われているのだ。
何故そんな男たちが裏家業に居るのかというと、表で生きられなくなったからだ。
「ちっ!どいつもこいつも使えねぇっ! ・・・あの女を捕縛したらパーティーに放り込んでやるってのも良さそうだな。あの容姿ならさぞ人気が出ることだろう」
組長はその光景を想像し、思わず笑い声を―――
ドゴオオオッ!!
「・・・は?」
―――笑い声をあげることはできなかった。
突如部屋のドアが破壊され、たった今送り出した副組長が飛んできたからだ。
副組長兼料理長の男は血を吐いて気絶しており、ピクピクと痙攣している。
その状況に頭が追いつかずにいる組長の前に、一人の女性が歩み寄る。
黒いロングコートを身に纏い、狐の仮面をした女性。
「―――ここが組長室。そして、あなたが組長ですね?」
「なっ、なっ・・・何だ貴様はっ!?」
異様な格好で浮世離れした存在に恐怖し、本能的にそう問いただした組長。
女性はその問いに、丁寧に答えた。
「私は、怪盗『狐仮面・フォーナ』です。あなた方に報復しにきました」
△△△
組長室から出てきた料理人さんと鉢合わせた時は驚きましたが、些細な問題です。
かなりの速度で拳を繰り出されましたが、拳銃の弾よりは遅いですからね。
舞と同じ要領で足さばきを用いて回避。
ほぼ同時に腹部に拳で一撃し、部屋の中に吹き飛ばしました。
薬を盛られた恨みもあるので、ちょっと強めにやりました。
反省も後悔もしていません。
それで、今は組長と相対しているのですが・・・腰が引けていますね。
まあ、やることに変わりはありませんけど。
「さて、覚悟の方はよろしいですか?」
「ふ、ふざけるなっ!俺が誰だが分かってるのか!?」
「はい。憎き<双蛇組>の組長でしょう? あなたの名前は知りませんし、知りたいとも思いませんが」
「なっ・・・!?」
今さら何を驚くというのでしょうか。
もしかして、ヤクザの組長であれば見逃してもらえるとでも?
敵がヤクザであろうがマフィアであろうが、国家権力であろうが・・・私の行動はそれほど変わりません。手順が少し変わるだけです。
咲良さんを悲しませ、あと少しで酷い目に遭わされるところだったのですから。
我が『あやかし屋』は、妖力の私的かつ能動的利用を禁じています。
そう線引きをしなければ、ただの災害になってしまいますからね。
ですが、こういった状況での防衛行為、ないし、報復行為における暴力の行使は躊躇わないのです。無論、妖力を使うことも躊躇いません。
そういう訳ですので――――
「改めて聞きましょう。覚悟はいいですか・・・<双蛇組>組長。あなた方は、触れてはいけない部分に触れました。ですので・・・決して許しはしませんからね?」
現在は真夜中であるが、内部は酷く騒がしくなっていた。
「侵入者はまだ捕縛できんのかっ!」
「さっさと捕まえろっ! もうパーティーは始まっているんだぞ!? 来賓客も居るというのに、途中で邪魔が入ったら大問題だっ!!」
組長と副組長が檄を飛ばして、子分たちを動かせた。
事の起こりは十数分前。
構成員の一人が部屋で気絶させられているのを発見し、侵入者が発覚したことから始まった。今では上を下をの大騒ぎである。
「侵入者は一体何者だ!これだけの数を気づかれずに気絶させるなどっ!!」
「分かりません!ですが、外から侵入した可能性は低いかと!」
「だったら内部犯だとでもっ・・・いや、待て。しばらく前に連れ込まれた女は!?」
「そ、それが、勧誘役の男は気絶させられていて、女は姿がなく・・・!」
「クソッ!信じられんが、状況的にそいつが犯人だっ!!」
組長は半信半疑ながらも、外からの侵入を確認できていない以上それしかないと結論付けた。
若葉なら気づかれずに普通に外から侵入できるが、そのことは知らない。
知っていても、若葉が犯人という結論は変わらないのだが。
「あの女の身分が分かる物はないのかっ!?」
「そ、それが、服や鞄の中にはそれらしきものが一つも無く・・・!」
「どう考えたって怪し過ぎるだろうがっ!!」
組長の中年男は苛立ち紛れにソファーを蹴飛ばした。
自分が連れ込むことを認めたのを棚に上げて副組長を詰り始めた。
それに飽きると、今度は血管を浮き上がらせ、鬼の形相に。
「クソがっ!この<双蛇組>の顔に泥を塗りやがってっ!!捕まえたら薬漬けにしてヨガらせた挙句に身も心もズタボロにして捨ててやるっ!!」
ドンッ!!
「おいっ、テメェも捜しに行けっ! 俺に次いで腕っぷしがあるお前が行かずにどうすんだっ!!」
「は、はいっ! すぐにっ!!」
組長はテーブルを叩きつつ、副組長も捜しに行かせた。
この二人はプロボクサー並の腕っぷしを誇るために、皆から敬われているのだ。
何故そんな男たちが裏家業に居るのかというと、表で生きられなくなったからだ。
「ちっ!どいつもこいつも使えねぇっ! ・・・あの女を捕縛したらパーティーに放り込んでやるってのも良さそうだな。あの容姿ならさぞ人気が出ることだろう」
組長はその光景を想像し、思わず笑い声を―――
ドゴオオオッ!!
「・・・は?」
―――笑い声をあげることはできなかった。
突如部屋のドアが破壊され、たった今送り出した副組長が飛んできたからだ。
副組長兼料理長の男は血を吐いて気絶しており、ピクピクと痙攣している。
その状況に頭が追いつかずにいる組長の前に、一人の女性が歩み寄る。
黒いロングコートを身に纏い、狐の仮面をした女性。
「―――ここが組長室。そして、あなたが組長ですね?」
「なっ、なっ・・・何だ貴様はっ!?」
異様な格好で浮世離れした存在に恐怖し、本能的にそう問いただした組長。
女性はその問いに、丁寧に答えた。
「私は、怪盗『狐仮面・フォーナ』です。あなた方に報復しにきました」
△△△
組長室から出てきた料理人さんと鉢合わせた時は驚きましたが、些細な問題です。
かなりの速度で拳を繰り出されましたが、拳銃の弾よりは遅いですからね。
舞と同じ要領で足さばきを用いて回避。
ほぼ同時に腹部に拳で一撃し、部屋の中に吹き飛ばしました。
薬を盛られた恨みもあるので、ちょっと強めにやりました。
反省も後悔もしていません。
それで、今は組長と相対しているのですが・・・腰が引けていますね。
まあ、やることに変わりはありませんけど。
「さて、覚悟の方はよろしいですか?」
「ふ、ふざけるなっ!俺が誰だが分かってるのか!?」
「はい。憎き<双蛇組>の組長でしょう? あなたの名前は知りませんし、知りたいとも思いませんが」
「なっ・・・!?」
今さら何を驚くというのでしょうか。
もしかして、ヤクザの組長であれば見逃してもらえるとでも?
敵がヤクザであろうがマフィアであろうが、国家権力であろうが・・・私の行動はそれほど変わりません。手順が少し変わるだけです。
咲良さんを悲しませ、あと少しで酷い目に遭わされるところだったのですから。
我が『あやかし屋』は、妖力の私的かつ能動的利用を禁じています。
そう線引きをしなければ、ただの災害になってしまいますからね。
ですが、こういった状況での防衛行為、ないし、報復行為における暴力の行使は躊躇わないのです。無論、妖力を使うことも躊躇いません。
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