異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

ヴォルケーノ大火山1

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 クロトは、ヴォルケーノ大火山から一番近くにある町、スカーレットに居た。


 アクア、カレン、ヴィオラは孤高の道へ行っており、不在。

 同行するのは、エメラとマリア、そしてインフィア。


 ただし、インフィアはスカーレットの町までである。

 流石に大火山に連れていくと足手纏いなので。




「マリアは相変わらず暇なんだね。」

「いきなりなんですの・・・?喧嘩を売っているんですのね?」

「でも、大体いつ会いに行っても暇そうにしているよね?」

「それがどうしたんですの?言いたい事はハッキリ言ってくださいまし!」


 マリアは開き直ってそう宣言した。

 クロトはその宣言に従い、ハッキリと言うことに。


「マリア・・・いい年してそれだと、色々情けないよ?」

「年の事は言わないでくださいましっ!?」


 クロトは怒られてしまった。

 ハッキリ言い過ぎも良くないということか。


「エメラさん、マリアさんって、年上の方なんですか?」

「ん・・・。マリア、は・・・かなり、年上、だよ・・・?」

「そこっ!聴こえてますわよっ!」


 インフィアが自分とそう変わらないだろう見た目のマリアについて尋ねた。

 エメラは小声で簡潔に回答したのだが、マリアに聴きつけられた模様。


「例え、どれだけ年上でも、愛は変わらないから大丈夫だよ?」

「そんな言われ方しても嬉しくありませんわ!」

「その割には凄く嬉しそうだけど?」

「これは生理現象ですわ!」


 よく分からない言い訳をしつつ、扇で口元を隠すマリア。


「エメラさん、あの扇にはどんな意味が・・・?」

「ん・・・。マリア、は・・・ツンデレ、だから・・・。」

「エメラっ!聴こえてますわよっ!さっきから何なんですのっ!」


 怒ったり喜んだりと忙しいことだが、ツッコミ役が足りていないので仕方が無い。

 突っ込まずには居られない性格も災いしている。


「マリアも、損な性格してるよね・・・。」

「クロトにだけは言われたくありませんわっ!」

「ん・・・。同感・・・。」


 インフィアは三人の様子を眺めて、仲が良いなぁ、と思ったとか。








 インフィアを町に残して、三人はヴォルケーノ大火山へ。


 ヴォルケーノ大火山は巨大であり、探索には時間が掛かる。

 クロトの印象としては、毒雨の都とダイダル海域深海の中間程。

 二週間くらいでの調査を予定している。




 大火山は、如何にも、真っ当な危険地帯といった雰囲気だ。

 七大危険地帯はどれも特殊過ぎて、逆に珍しいくらいに真っ当。


 道中には魔物が現れ、頂上にある火口を目指すクロトたちの前に立ちはだかる。

 火系統の魔物がメインで、強さは皇帝種級が基本。


 クロトも戦ったことのある、サラマンダー皇帝種やフレイキャット皇帝種。

 他にも、未見の皇帝種が数種類。


 現在交戦しているのは、フレイムヒュドラとヴォルケイノヴァイパー皇帝種二体。


 天種のフレイムヒュドラはリュノアが相手にし、残りはエメラとマリアが戦う。



「風神剣・雷天!」

「雷神剣・風天二連!」


 エメラは分身と連携して、あっという間に勝利。


「天魔法術・天縛&魔縛!」

「シャァァァ!?」

「天魔剣・灰刃!」


 光と闇の捕縛魔法で捉えた所を、同じく光と闇が中和した天魔剣で攻撃。

 一刀両断にして、こちらも勝利。


 リュノアはというと・・・。


「キュオオオオッ!」


 二人よりも早く、フレイムヒュドラをしとめており、勝鬨をあげていた。


 手順は簡単で、まずは強化された漆黒魔法で敵を拘束し、ブレス攻撃を誘導。

 敵の放ったブレスを吸収して、強化された黒竜魔法を混ぜた一撃を放つ。

 フレイムヒュドラは「漆黒竜の混沌滅息」を喰らい、一瞬で絶命。

 炎無効のスキルなど、欠片も意味を為さなかったようだ。




 さて、クロトが何をしていたのかと言うと、一言で言えば、監視だ。


「ん、そろそろ誕生しそうだね。」


 クロトが呟いた数秒後、見据える先に、炎天煙レベル75が誕生した。


「神天十六夜連閃・龍絶!」


 誕生したばかりの炎天煙を不意打ちで倒し、大火山中腹での戦闘は終了した。






「中腹にして天種とは、流石は七大危険地帯ですわね・・・。」

「キュ?」

「・・・まあ、こちらの面子が強力過ぎるから、そうは感じないのかもね。」


 リュノアはいまいち理解出来て居なかったので、クロトが補足した。


 確かに、今更天種が現れたところで、どうということは無い。

 それが初見で無ければ、なおのこと。


「ん・・・。クロト・・・先に、進む・・・。」


 エメラは、焦っている風では無いが、調査を急ぎたい様子。

 噴火の前兆として気温が上昇しているため、いつ噴火してもおかしくない。

 未だ、町では準備が終わっていない為、出来れば急ぎたいらしい。


「ああ。今回はのんびりせずに、可能な限りサクサク行こう。」

「ん・・・。ありがとう、クロト・・・。」

「どういたしまして、エメラ。」


 本当はのんびり行きたいだろうクロトを急かすことを申し訳なく思うエメラ。

 急いでくれるクロトに心からの感謝を告げるのだった。

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