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グラント領
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ーー ルーベルト視点 ーー
クライス王国の七つに分かれた領土の一つグラント領を治めるグラント辺境伯と向かい合って座るリノラ。出されたミルクを私はペロペロと飲んでいた。
「ちょっとなんで罪人がうちにいるのよー!」
そしてもう一人、グラント辺境伯の令嬢ビビが父グラントに向かって、綺麗にカールした茶色の髪を揺らし、大きな目は鋭く眉間にシワを寄せて、片足を椅子に乗せてご令嬢らしからぬ態度で唸っていた。
(会食では大人しく可愛さもあったビビにこんなに気性が荒く男勝りで口調も強い一面があったとは。結婚しなくてよかった)
私は胸を撫で下ろし、引き続き乾いた喉にミルクを流し込んだ。
「落ち着きなさい」
冷や汗を額に浮かべグラントはビビを宥めた。
「王都から兵士が血眼になって平民出の小娘を探し回っているって噂よ!パパは知ってるの!ねぇ!?」
「知っているよ」
ビビの圧に押されているのか、グラントが元々物静かなのか領主として貧弱に思える。
「どうして館に入れたの?」
「ルーベルト殿下と私しか知らないことをリノラ令嬢は知っていたからだよ」
「殿下とパパしか知らないことってなに?」
「あれは殿下が七歳の時、パパは領主に成り立てで財政面で困っていた。そんなある日王都の社交界に招かれてね城に行った。城内は煌びやかで高価な物が多かったよ。つい魔が差して、城内の備品を懐に入れた所を殿下に見られた。しかし殿下は国王に報告するでもなく黙っていてくれた」
「パパはただの盗っ人じゃない!信じられないわ」
ビビはグラントの頭や肩をバシバシ叩いた。
「ビビ、やめなさい。殿下のお陰で今は真っ当に領主として勤めをしている。そしてその殿下はこちらに」
「どこよ」
ビビは周りを見渡す。
「ビビよ。この子猫こそ、殿下なのだ」
「でも婚約者候補を破棄された時にルーベルト殿下は元の姿に戻られて・・・」
「あれは偽物。こっちが本物」
リノラは紙と羽ペンを机に置いた。
「これでビビ様しか知らない内容を殿下に聞いて下さい」
「私と殿下が初めて会食した内容でもいいかしら?」
ビビの質問に私は羽ペンを掴んでスラスラと書いた。
会食で着たビビの特徴的な赤いドレスや、ビビが美味しいと言った料理、ビビの父グラントの面白い話、次に行く予定であった街の話など全ての質問を正確に書いた。
そしてビビはしばらく固まった後
「まぁ、器用な子猫だ事」と言って気絶して倒れた。
ーー ビビ視点 ーー
頭がボーっとする。烈火の如くパパに怒りをぶつけた挙句、殿下に醜態を晒した。ふかふかのベッドまで誰かが運んで寝かせてくれたのね。
罪人の小娘匿えば家がお取り潰しになるかもしれない。パパを説得して追い払わないと。
私は目を開けて上半身を起こした。ベッドの向かいの椅子に黒猫が小さくなって寝ている。
「ひぃ!」思わず小さく悲鳴を上げると黒猫は軽々と椅子からベッドに飛び移り、私に近づいてきた。
「殿下は貴女のことを心配されていました」
「ひぃぃ!」
私の左側から突然声がして驚いた。
「貴女、いつから居たのよ」
ベッドの脇の椅子に座っていたのはリノラという小娘。
「倒れたビビ様をグラント様と私で運びました」
「ビビ、大丈夫かーい?」
「ひぃ!」
今度は右側からパパが突然声を発したから私は驚いた。
「突然発言するの禁止。殿下が猫だったことがまだ信じられなくてまだドキドキしているから、発言は挙手して」
リノラは私の言葉を紙に文字を書いて殿下に見せた。
「ミャー」
子猫は小さな手を挙げた。
「では殿下」
殿下はリノラから紙と羽ペンを貰い、スラスラ書き始めた。書いた紙を私は読み上げた。
「倒れて心配した。どうかリノラと私をここに置いてほしい」
殿下はともかく、小娘は。
小娘は私に頭を下げていた。
殿下も子猫なりに頭を下げ、パパも頭を下げている。
「なにこれ。私が悪女みたいじゃない」
私はそこまで悪い女ではないと思いたい。
「殿下、パパ頭を上げて。それにリ、リノラも頭を上げて。私が間違ってたわ。好きなだけ居ていいから。っていうかパパが領主だから私の許可なんて必要なの?」
パパはいつ振りだろう珍しく笑っていた。
「ビビ様ありがとうございます!」
「ミィ~!」
黒猫の殿下は小さな手を前に出した。
私はその小さな手にタッチすると猫なのに笑っているような顔に見えた。
クライス王国の七つに分かれた領土の一つグラント領を治めるグラント辺境伯と向かい合って座るリノラ。出されたミルクを私はペロペロと飲んでいた。
「ちょっとなんで罪人がうちにいるのよー!」
そしてもう一人、グラント辺境伯の令嬢ビビが父グラントに向かって、綺麗にカールした茶色の髪を揺らし、大きな目は鋭く眉間にシワを寄せて、片足を椅子に乗せてご令嬢らしからぬ態度で唸っていた。
(会食では大人しく可愛さもあったビビにこんなに気性が荒く男勝りで口調も強い一面があったとは。結婚しなくてよかった)
私は胸を撫で下ろし、引き続き乾いた喉にミルクを流し込んだ。
「落ち着きなさい」
冷や汗を額に浮かべグラントはビビを宥めた。
「王都から兵士が血眼になって平民出の小娘を探し回っているって噂よ!パパは知ってるの!ねぇ!?」
「知っているよ」
ビビの圧に押されているのか、グラントが元々物静かなのか領主として貧弱に思える。
「どうして館に入れたの?」
「ルーベルト殿下と私しか知らないことをリノラ令嬢は知っていたからだよ」
「殿下とパパしか知らないことってなに?」
「あれは殿下が七歳の時、パパは領主に成り立てで財政面で困っていた。そんなある日王都の社交界に招かれてね城に行った。城内は煌びやかで高価な物が多かったよ。つい魔が差して、城内の備品を懐に入れた所を殿下に見られた。しかし殿下は国王に報告するでもなく黙っていてくれた」
「パパはただの盗っ人じゃない!信じられないわ」
ビビはグラントの頭や肩をバシバシ叩いた。
「ビビ、やめなさい。殿下のお陰で今は真っ当に領主として勤めをしている。そしてその殿下はこちらに」
「どこよ」
ビビは周りを見渡す。
「ビビよ。この子猫こそ、殿下なのだ」
「でも婚約者候補を破棄された時にルーベルト殿下は元の姿に戻られて・・・」
「あれは偽物。こっちが本物」
リノラは紙と羽ペンを机に置いた。
「これでビビ様しか知らない内容を殿下に聞いて下さい」
「私と殿下が初めて会食した内容でもいいかしら?」
ビビの質問に私は羽ペンを掴んでスラスラと書いた。
会食で着たビビの特徴的な赤いドレスや、ビビが美味しいと言った料理、ビビの父グラントの面白い話、次に行く予定であった街の話など全ての質問を正確に書いた。
そしてビビはしばらく固まった後
「まぁ、器用な子猫だ事」と言って気絶して倒れた。
ーー ビビ視点 ーー
頭がボーっとする。烈火の如くパパに怒りをぶつけた挙句、殿下に醜態を晒した。ふかふかのベッドまで誰かが運んで寝かせてくれたのね。
罪人の小娘匿えば家がお取り潰しになるかもしれない。パパを説得して追い払わないと。
私は目を開けて上半身を起こした。ベッドの向かいの椅子に黒猫が小さくなって寝ている。
「ひぃ!」思わず小さく悲鳴を上げると黒猫は軽々と椅子からベッドに飛び移り、私に近づいてきた。
「殿下は貴女のことを心配されていました」
「ひぃぃ!」
私の左側から突然声がして驚いた。
「貴女、いつから居たのよ」
ベッドの脇の椅子に座っていたのはリノラという小娘。
「倒れたビビ様をグラント様と私で運びました」
「ビビ、大丈夫かーい?」
「ひぃ!」
今度は右側からパパが突然声を発したから私は驚いた。
「突然発言するの禁止。殿下が猫だったことがまだ信じられなくてまだドキドキしているから、発言は挙手して」
リノラは私の言葉を紙に文字を書いて殿下に見せた。
「ミャー」
子猫は小さな手を挙げた。
「では殿下」
殿下はリノラから紙と羽ペンを貰い、スラスラ書き始めた。書いた紙を私は読み上げた。
「倒れて心配した。どうかリノラと私をここに置いてほしい」
殿下はともかく、小娘は。
小娘は私に頭を下げていた。
殿下も子猫なりに頭を下げ、パパも頭を下げている。
「なにこれ。私が悪女みたいじゃない」
私はそこまで悪い女ではないと思いたい。
「殿下、パパ頭を上げて。それにリ、リノラも頭を上げて。私が間違ってたわ。好きなだけ居ていいから。っていうかパパが領主だから私の許可なんて必要なの?」
パパはいつ振りだろう珍しく笑っていた。
「ビビ様ありがとうございます!」
「ミィ~!」
黒猫の殿下は小さな手を前に出した。
私はその小さな手にタッチすると猫なのに笑っているような顔に見えた。
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