異世界魔剣士タイムトラベラーは異世界転移を繰り返して最弱でしたが特殊能力が開花します

三毛猫

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初討伐

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ミルクテの町から北に5kmほど進んだ場所に地下迷宮がある。魔物は地下迷宮など人が近づかない場所を好んでねぐらにしている。定期的に討伐しないと繁殖して地下迷宮から湧き出し、近隣の町を襲う。魔物を倒すと魔石やその他アイテムがドロップする。地下迷宮を塞いでしまうと魔物が集まらず冒険者達も宿がある町を利用しなくなる。という理由で地下迷宮は塞ぐことができないらしい。


草原から森に入り石造りの地下迷宮入り口まで辿り着いた。俺の役目は荷物持ちとドロップアイテムの回収。
ひたすら落ちたアイテムを拾う。

というわけで早速地下迷宮に入った。
暗くて地下の湿気でジメジメした迷宮内。元は坑道で鉄や銅などの金属が廃坑になるまで多く採掘されていた。

一列になって歩く。先頭前衛のリネット。中衛のザイアス、後衛のシュミル、荷物持ちのレンジ。いいバランスだなと思っていると前から金属が引っ掻く音がした。そのあとに魔物の悲鳴が坑道内に響く。


「レンジ、拾っておけよ」
シュミルが忠告する。半分消えかけた大きなネズミのような魔物の体内から、紫色に僅かに光る魔石があった。
魔物は絶命すると体の組織は蒸発して無くなり、魔石やアイテムなどは残るようだ。
手のひらサイズの魔石は濃いアメジストに似て綺麗だった。


「拾いました!」

「いちいち報告しなくていいから鞄にどんどん詰めていけよー」
気怠そうに指示するシュミル。
しかし思ったより進行スピードが速い。ほとんど前衛のリネットが魔物を倒している。
ようやく迷宮内で開けた場所に出た。
ドーム状に広がった空間には他の冒険者もいた。

「あの冒険者の人達は何処から?」

「このミルクテの迷宮は違う地方にも繋がっていて入り口は幾つもある。何処か違う地方の入り口から入ってきた冒険者だろうな」

シュミル、ザイアス、リネットは地面に腰を下ろした。リネットは兜を取って髪をダラリと下ろした。
やはり可愛い顔をしていた。
他の冒険者もリネットを遠くから眺めていた。

「いやらしい奴らだ」
唾を吐くようにシュミルが吐き捨てた。

「姉貴、パーティ内でも気をつけないといけねーよ」
ザイアスが俺を指差す。

俺はリネットに釘付けになっていた。

「レンジではリネットは釣り合わないよ!」
落ちていた石を投げられた。

「いたっ!」

「ところで今までの成果は?レンジ、鞄を開けて見せてくれ」

俺は拾った魔石やアイテムを地面に置くため鞄を開けた。

「あれ?」

鞄を逆さまにしても何も出てこない。

「え?ちょっ、ちょっと待ってください」
鞄の底に穴はない。確かに鞄に詰めた。

「盗ったのか?」

シュミルに睨まれる。

「盗むわけがない」

シュミルに服や体を触られ、そのあと来た道を戻るシュミル。
しばらくしてシュミルが戻ってくると顔が青ざめていた。

「魔石は落ちてない」

疑いは晴れた。しかし魔石や拾ったアイテムは何処に?

シュミルはハッと思い出した顔をして、自分のポーチから小さな魔石を取り出した。
そして徐ろに俺の掌に魔石を置いた。
すると魔石は一瞬にして消えて無くなった。

「レンジお前、まさか・・・マジックブレイカーだったのか!」

シュミルは武器を構えた。

その声に反応してザイアスはナイフを構え、リネットまでも立ち上がってランスを構えた。他の冒険者も武器を構えて俺を狙う。

「どういうことですか!俺はナイフも扱えないただの人です」

「そうだよな。強そうにも見えないし。みんな武器を下ろしてくれ、冗談だよ。悪かった」

ザイアスとリネットは武器を下ろした。

「冗談かよ」
「紛らわしい」
他の冒険者もブツブツ言いながら武器を下ろした。

「マジックブレイカーってなんですか?」

「マジックブレイカーは魔石やアイテムを己の体内に吸収して強くなることができる特殊能力者だ。今、マジックブレイカーはこの世に三人しか存在しない」

「三人だけ?」

「一人は現国王、一人は勇者アミュレシアス、そしてもう一人は魔王」

「魔王!?」

「つまりレンジは四人目にして、マジックブレイカーは過去に魔族多かったからオレは真っ先に魔王の血族だと疑ってしまった」

「戦闘経験もないし、絶対違います」

誤解を解くため俺は元の世界のことや異世界転移の話をしたが、信じてもらえず余計に奇妙がられた。

「絶対にマジックブレイカーのことは他言してはいけない」とキツく忠告された。

魔石を吸収したのなら、少しは強くなってんじゃねー?とザイアスの一言で俺はナイフで素振りすることに。

えい、やー!といつの日か見たアニメの掛け声を真似て素振りすると自他ともに複数のパーティから嘲笑される始末。

「スライムとか低級の魔物狩りから始めようか」

シュミルに肩をポンと叩かれて慰められた。

休息も終わり、地下に続く階段を続々と降りていく。
地下40階層ほどあり、未だに新しい道が発見される巨大な迷宮。
俺たちはまだ2階層。これから4階層までを往復するらしい。

前衛はリネットから交代してザイアス。
中衛はリネット、後衛はシュミル。
見学のレンジという見学者ありの珍しいパーティだ。


2階層からは迷宮入り口から広間に続く一本道よりも大人二人が余裕で通れる道幅がある。その代わり、魔物も動きやすく上下左右あらゆる方向から襲ってくる。

ザイアスは巧みに魔物の動きを捉えて急所をナイフで一撃。リネットは魔物の飛び血がシュミルにかからないように盾で防いでいた。

「あ!やべ!急所外した!リネット頼む」
勢いよく突進してきた魔物が急所を外して転がって跳ねた。魔物が宙を舞い、リネットの盾に当たる。盾が斜めになっていたせいか、魔物は弾かれて宙を舞い更に後方へ。
リネットのすぐ後ろにいたシュミルは弓を引き始めた。
それよりも先に俺は「やー!」と言いながらナイフを天高く突き上げた。たまたま偶然、そこに魔物が飛んできた。そして魔物の急所を貫いて初めて魔物を倒した。

「おー!」
「やるな新人」
シュミルとザイアスは褒めてくれた。
そして何より嬉しかったのが、リネットが鎧をカシャカシャと音を立てて拍手してくれたことだ。

「偶然なんです」とは言えず、照れて顔が赤くなってしまった。






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