俺と彼女は入れ替わり

三毛猫

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俺は彼女に彼女は俺に

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 俺はマサト。25歳、身長170センチ、体重90キロ。ニートをしている。25年間彼女はいない。そして誰からも相手にされない。親からも見放され、引きこもる日々。
そんなある日、足の激痛に飛び起きて目覚めた。しばらくして痛みはなくなったが念の為病院に行くことにした。病院に向かう電車で目の前に座る可愛い女子高生と目が合った。

「ねぇ、見られたんだけど……デブ、キモっ」

「あやち、やめなよ」

俺は侮辱され、耳が赤くなった。怒りより、女子高生の容姿の可愛さに嫉妬と羨ましさを感じた。きっと彼女は無茶苦茶モテるだろうな……。
一度でいいから彼女のような容姿で生まれたい。
病院に着いても、帰り道でも、寝る前も彼女みたいな可愛い女の子になりたいと願い続けた。



ジリリリン!ジリリリリリン!…
ワーオ!ワーオ!ワーオ!…
ピロピロピロリン……ピロピロピロリン……

朝か……複数のアラームや目覚まし時計がうるさい!目覚まし時計?ニートで朝は起きなくてもいい俺にとって目覚まし時計など必要ない。

「……はっ!」

目覚めたら白い壁紙の知らない部屋だった。ふかふかのベッドに枕元には魚?なにかしらの魚類のぬいぐるみが置いてある。
布団の中でモゾモゾと動くと、やたら体は軽く胸に重みを感じる。手探りで体を触る。


「胸がある!下が……ある!わぁぁぁ!どういうこと!?」

ベッドから飛び起きた。鏡を見ると電車で俺をキモって侮辱された女子高生の姿になっていた。なぜ俺が女子高生に?それにこの女子高生……実は男?男の娘?どういうこと?俺の頭はパニック!


ガチャ……部屋の扉が開き、若い綺麗な女性が眉を寄せて現れた。おそらく母だろう。

「アヤミ!朝から変な声で叫ばないの。早く学校行く準備しなさい。ミズキちゃん待たせるわよ」

「あのー。制服はどこに?」

「なにー?どうしたの?いつもクローゼットに掛けてるでしょ」

部屋のクローゼットには沢山の洋服が掛かっていた。俺は電車で見た制服姿の彼女を頼りに思い出して制服を着た。
二階の部屋を出て、一階に下りた。
リビングのテーブルには40代ぐらいの父親と母親が座り、弟と思われる男児が並べられた朝食を食べていた。

「おはよう」

バン!と音を立てて弟が椅子から立ち上がる。

「お姉ちゃんどうしたの!?お父さんと口きかない期間終わったの!?」

なんのことか分からないが、たぶん父親とは仲が悪いらしい。

「アヤミ。早くご飯食べなさい。ちょっとなに?スカートの向き変よ」

母親が近付いて履いていたスカートをグルッと回す。正面に向いていたファスナーが横に移動した。


朝食を済ませ、しばらくして例のあの子がきた。

母親が言ってたミズキだ。

「おはようございます!あやち行こう」

やばい。緊張する。登校を誰かと共にするのは小学校以来だ。まして女子と会話なんて生涯に数回しか……。
落ち着け俺。行くしかない。自然に自然に。


「お、お、おはよう」

「おはよ。行こ」


俺はミズキと外に出た。アヤミの家から駅の方向に向かう。


「でさぁ、なおくんがグルチャで誤爆したあと私に謝ってきたわけ」

「そ、そうなんだ……ねー」

「うん。今日のお昼はなおくんと食べるから、あやちはヒロキと?」

「う、うん」

「えー!じぁあ噂はほんとだったの?」


家から出てからずっとミズキは話している。俺は一ミリも会話についていけない。

「あー!!」

ミズキが突然叫んだ。

「あやち、カバンは?」

「カバン?」

「忘れたでしょー。電車のお金は?スマホは?」

「何もない」

「えーなんだけど。今日だけ電車代貸してあげるから帰りに返してね」

ミズキは優しい。それにアヤミに負けないぐらい可愛い。

そして駅に着いた。

なんだろう。複数の視線を感じる。決していい感じはしない。
電車に乗ると満員電車でドアの近くに追い込まれた。

久しぶりの満員電車だ。
気が重い。
しかしミズキはずっと喋ってる。
この満員電車生活に慣れている。


「ねぇ、あやち聞いてる?」

「すま……ごめん。聞こえなったよ」

可愛い女子高生が電車内で俺と喋っている。いや、実際には俺に喋りかけてはいない。この外見のアヤミと会話してる。

ミズキはアヤミの友達でも中身は俺だ。
俺はアヤミではない。
それにアヤミはきっと大事な事を隠している。
俺……いや、私には男の大切な部分が付いているのよォォ、なんて言えないし。可愛い女子になって楽しむはずが、話も通じないし秘事も多くてだんだん辛くなってきた。


「ねぇ、あやち……」

「な、なに?」

「あやちじゃないよね。貴方はだぁれ?」

ミズキの目は笑ってるけど、目の奥は全く笑ってない。こえーよ。どうゆうこと?もうアヤミではないことがバレたか。
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