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CHAPTER 40
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さて、絶体絶命と思われた星岬(左手首)だが、奇跡的に“Z理論”を引き起こしていた。
彼が“Z理論”による時空移動の末に何処へ辿り着いたのかというと・・・
1948年 埼玉県 夏 星岬開 3歳
それは昭和の時、まだ車もそれほど多くは走っておらず、カラー写真も主流ではなく、当然ながらロボットもタイムマシーンも夢物語で、宇宙などは手の届く場所ではなかった。
どうやら今自分が何処にいるのかなんとなく把握し始めた星岬は、幼い自分の肉体に戸惑っていた。
それにしても暑い!
生身の肉体は、こうも気温に左右されるモノであったか。
うだるような暑さに、流れる汗もそのままに、ただ足をふんばって立っていた。
ここは、実家近くの雑木林へ続く道か!?
舗装もされていない道に容赦なく太陽が照り付ける。
視界は良好。
だが、この手足の短いこと・・・
それに !
また転んだ。
あ、ハンミョウ!
ラッキー。
「ほら、開、痛くなかった?」
天から声がしたと思うと、わたしは優しく抱き起された。
「母さん」
「あら開、何を持っているの?」
「・・・虫」
「あら綺麗だこと、えーと、確か」
「ハンミョウ」
「そう! ハンミョウ。開は物知りね」
母の笑顔が好きだった。
もっと母の笑顔が見たい、もっと母に上げられたいと欲するようになったのもこの時だ。
思えばわたしはこの時、知識欲・探求心に目覚めたのではなかったか!?
・・・
そうか
これか
こ・れ・が
思い出、か!
わたしは“Z理論”を発動できたのだな!?
何がユートピアだ!?
あの、地獄を再現したかのような世界から、手首のみになって尚、あがいてあがいて掴み取ったのだ!
勝利への道を!
わたしは生きているっ!!
気が付くと母の隣に誰かいるではないか。
思わず母親の陰に隠れてしまう星岬。
「開、怖がらなくていいのよ」
少し間を空けて母は続けた。
「このヒトはお前のお父さんよ」
この男がわたしの父親だと!?
見上げるとはこういう事だと思いながら、私はゆっくりとその人物の脚から腰、腹、胸と、まるで値踏みでもしているかのような慎重さで視線を上げていく。
喉の辺りまで視線を上げたところで、幼児特有のあれをやらかしてしまう。
見上げ過ぎてバランスを崩して尻餅をついてしまったのだ。
この私がなんとしたことか!?
余りの恥ずかしさに頬を真っ赤に染めながらうつむいてしまう。
すると男が腰を落として私の顔を覗き込んで来た。
随分と細い眼だ。眉毛も細いし、どちらも尻下がりで何というか穏やかな印象を受ける。この体格なら普通に押し出しが強いというか、威圧感があって然りというモノだろうが。
この顔が身体の大きさを台無しにしている。
と、私は思うが、あくまで私個人の印象だ。
・・・ん?
それにしても、この胸にこみ上げてくる思いは一体なんだ?
父親と言われたその男を見ていた星岬は、急に何という事ではないが、こそばゆいような面映ゆいようなそんな感じがして、モジモジとしては歯をむいて笑顔を見せていた。
星岬は今、その人生で感じたことがないと自分に思い込ませるほど、すっかり忘れてしまっていた気持ちを思い出していた。
その時、星岬の幼き身体をまるで脳天に雷が落ちたかのような衝撃が襲った!
あまりの衝撃に成す術もなく仰け反り倒れゆく星岬。
ゆっくりと、時間がゆっくり流れているように感じる。
視界がハッキリしない。
眠気を感じているのか?
目を閉じ、ふわふわとした浮遊感に身をゆだねた。
どの位そうしていたのだろう?
何か渦巻く力を感じて、ハッとして目を開けた。
すると、視界いっぱいに渦巻く空間が広がっている。
そうか、私は再び時空を移動している訳だ。
“Z理論”が再び発動したのか。
しかし今度は何処へ?
自分では、今の何処に更なる時空移動に繋がる思い出があったのか?まるでわからず、暫し記憶を遡ると、漠然と思い出されたのは随分ドラマチックな瞬間だった。
星岬はもう少し幼い自分でいたかったと未練をにじませたが、そこは一城の主を張る者として次に来る展開に備えて気持ちの整理を素早く付けてしまうと、ゆったりとその時を待つのだった。
一方、クリスタル・サーディアはようやく時空への干渉行為に一定の成果が現れてきたという手応えを感じているところだった。
クリスタル・サーディアは閉じたままの瞼の裏(仮想デスクトップ・モニタ画面)で行っている表示されてはすぐに閉じるウィンドウつまりデータ化された時空への干渉行為(タスク)の数々を確認する作業に、更なる加速を試みた。
『警告! 本装置の処理能力を超える操作を行おうとしています』
やっぱり無理か・・・
クリスタル・サーディアは落ち着いた様子で作業の加速を断念すると、元の作業速度に戻して時空への干渉行為を続行した。
ついさっきまで消えかかっていたKE-Q28だが、ここへ来て急速に状態が安定し始めた。
「もうすぐだから」
KE-Q28の細い眼がうっすら開いて何処か遠くを見ている。
クリスタル・サーディアは時空への干渉行為に忙しくしながらも、KE-Q28の現在の状況にも細かく対応していた。
余裕は無かったが、感じてはいた。
無言の会話がそこにあった。
「もうすぐだから」
クリスタル・サーディアには、そう繰り返すことしか、今はできなかった。
どこか遠くを見る眼差しで、KE-Q28が接触回線を介して話しかける
『リー・・・、いや、違うな? 誰だ』
『あたしはクリスタル・サーディア』不穏な空気の中、臆する事もなく返答する。
『クリスタルには覚えがないな』KE-Q28はSDR-03に何かあっては、面白いことなど何もない。
『だがサーディアには覚えがある。リーと何か繋がりが?』冷静でいられない、自然に語気が荒くなる。
『サーディア3はあたしの後継機、に当たるかしら』発言に嘘はない。
『リーがあんたの後継機、だとして、この状況をどう説明する?』
もしも自分の親しくしているヒトが、違うヒトに身体を使われていたら、どうする?
考える程、冷静ではいられない。
『簡単ではないわね』
『だろうよ。例えそうだとして、リーの身体をあんたが使っているってことの理由など、一切聞く耳は持たん! リーをどうした!?』
KE-Q28の反発が思いのほか強いのに感心しつつ、どの辺りの邦哉なのかを見極める絶好の機会を得たとばかりにクリスタル・サーディアが強烈な一撃を放った!
一触即発といった険悪な二人の間にバチッと激しいスパークが起こり、KE-Q28が苦し気な声を上げる。
『ぐっ! この電撃は!?』普通に落雷にあった感じに身体のあちこちに再起動を要する警告が出ている。
『どうやらタスク処理は順調ね』
自分が電撃を放っておきながらそのことには全く触れず、我関せずの態度でいるクリスタル・サーディア。
『リーは無事だから安心して、あたしを知らない邦哉』
KE-Q28を軽くあしらうクリスタル・サーディアは、ある種の“凄味”を醸し出していた。
『これが旧型だと!? とても信じられん』
KE-Q28の経験値では敵わないのではないかという不安を拭えずに、思わずこぼしてしまう。
『あら! もしかしておだててる? やだぁ』
クリスタル・サーディアが無邪気に取り合う。
『ふざけてんじゃないぞ!!』KE-Q28の不快感は一気に上昇した。
『あたしはふざけてなんていないわ』クリスタル・サーディアの余裕を感じさせる返答に、更に不快感を増大させるKE-Q28。もう爆発寸前といった所まで上り詰めてしまっていた。
『あーた、まるで坊やね。かわいい』
クリスタル・サーディアが“かわいい”を言い終えるかどうかというタイミングで、KE-Q28の堪忍袋の緒がぶち切れたらしい。
SDR-03の膝枕に世話になっている状態ながら、KE-Q28の左ストレートが彼女のアゴを目掛けて手加減なしで繰り出された!
クリスタル・サーディアに乗っ取られているSDR-03は現在、目を閉じて瞼の裏の仮想デスクトップで作業を進めている最中だ。
クリーンヒットは避けられないと思われた。
クリスタル・サーディアは、KE-Q28の頭をなでていた手を動かすと、KE-Q28が繰り出した左ストレートを難なく受け止めてしまった。
逆に拳を握りつぶす勢いで圧をかけながらKE-Q28の左拳を押し戻した。
これにはさすがのKE-Q28も何が起きたのか理解できず、戦意を喪失させられたのだった。
『今のは、なんだ?』KE-Q28の正直な感想だ。
『女子を殴ろうなんて最低だぞ』クリスタル・サーディアが茶化すように言うと
『ついカッとなって・・・すまないいやちょっとマテ、元はといえば』KE-Q28は、とても複雑な様子で、言葉選びを何度も繰り返している。
『女子を殴ろうなんて最低だぞ』クリスタル・サーディアが茶化すように繰り返し言うと
『恥を承知で頭を下げる。教えて欲しい、一体何をしたんだ・・・?』KE-Q28の切なる思いに
『どうしてあーたの拳を、スペックでは出力が遥かに劣るSDR-03が、止めるどころか押し戻したり出来たのか?』と、クリスタル・サーディアが続けた
『そうかぁ、やっぱり気になるわよね』
『勿体付けずに教えてくれ、頼む』
ここで再び彼をからかっても良かったのだが、嫌な奴になる必要はないので、クリスタル・サーディアは素直に説明する事にした。
『簡単なことよ。あたしは電気を制御できる。そういう事(^_-)-☆』
『えーと、もう一声、お願いします!』KE-Q28はいつの間にか“ペース”を掴まれているとわかっても、それが不思議と嫌ではない事に気付いて、どう処理したものかと思案していた。
『しようがないのう、最近の若いもんは』
過去に人間の思考と融合を果たした特殊な存在であるクリスタル・サーディア。
彼女も悪気があってやってるつもりじゃないのだが、こういう所に個性というものが出るのだろうか?
クリスタル・サーディアは、自身が独力で獲得した独自のプログラム(スキル)をSDR-03で実行したに過ぎなかった。
それは“相手の身体の筋肉の動きを外部から電気で制御する”といったものだった。
『これが片付いたらデートしましょうよ、邦哉』唐突に申し出るクリスタル・サーディア
『なんでアンタと・・・別にいいけど』
渋々、という感じに見えたがKE-Q28の本音は照れ隠しだと思われる。
『いいのね! やったー!』それはとても嬉しそうに接触回線に流れ、響いた。
砂塵が吹きすさぶ大地の上で、男と女が何してる?
大地を蝕む強風が続く中、能天気な事この上ない二人だった。
彼が“Z理論”による時空移動の末に何処へ辿り着いたのかというと・・・
1948年 埼玉県 夏 星岬開 3歳
それは昭和の時、まだ車もそれほど多くは走っておらず、カラー写真も主流ではなく、当然ながらロボットもタイムマシーンも夢物語で、宇宙などは手の届く場所ではなかった。
どうやら今自分が何処にいるのかなんとなく把握し始めた星岬は、幼い自分の肉体に戸惑っていた。
それにしても暑い!
生身の肉体は、こうも気温に左右されるモノであったか。
うだるような暑さに、流れる汗もそのままに、ただ足をふんばって立っていた。
ここは、実家近くの雑木林へ続く道か!?
舗装もされていない道に容赦なく太陽が照り付ける。
視界は良好。
だが、この手足の短いこと・・・
それに !
また転んだ。
あ、ハンミョウ!
ラッキー。
「ほら、開、痛くなかった?」
天から声がしたと思うと、わたしは優しく抱き起された。
「母さん」
「あら開、何を持っているの?」
「・・・虫」
「あら綺麗だこと、えーと、確か」
「ハンミョウ」
「そう! ハンミョウ。開は物知りね」
母の笑顔が好きだった。
もっと母の笑顔が見たい、もっと母に上げられたいと欲するようになったのもこの時だ。
思えばわたしはこの時、知識欲・探求心に目覚めたのではなかったか!?
・・・
そうか
これか
こ・れ・が
思い出、か!
わたしは“Z理論”を発動できたのだな!?
何がユートピアだ!?
あの、地獄を再現したかのような世界から、手首のみになって尚、あがいてあがいて掴み取ったのだ!
勝利への道を!
わたしは生きているっ!!
気が付くと母の隣に誰かいるではないか。
思わず母親の陰に隠れてしまう星岬。
「開、怖がらなくていいのよ」
少し間を空けて母は続けた。
「このヒトはお前のお父さんよ」
この男がわたしの父親だと!?
見上げるとはこういう事だと思いながら、私はゆっくりとその人物の脚から腰、腹、胸と、まるで値踏みでもしているかのような慎重さで視線を上げていく。
喉の辺りまで視線を上げたところで、幼児特有のあれをやらかしてしまう。
見上げ過ぎてバランスを崩して尻餅をついてしまったのだ。
この私がなんとしたことか!?
余りの恥ずかしさに頬を真っ赤に染めながらうつむいてしまう。
すると男が腰を落として私の顔を覗き込んで来た。
随分と細い眼だ。眉毛も細いし、どちらも尻下がりで何というか穏やかな印象を受ける。この体格なら普通に押し出しが強いというか、威圧感があって然りというモノだろうが。
この顔が身体の大きさを台無しにしている。
と、私は思うが、あくまで私個人の印象だ。
・・・ん?
それにしても、この胸にこみ上げてくる思いは一体なんだ?
父親と言われたその男を見ていた星岬は、急に何という事ではないが、こそばゆいような面映ゆいようなそんな感じがして、モジモジとしては歯をむいて笑顔を見せていた。
星岬は今、その人生で感じたことがないと自分に思い込ませるほど、すっかり忘れてしまっていた気持ちを思い出していた。
その時、星岬の幼き身体をまるで脳天に雷が落ちたかのような衝撃が襲った!
あまりの衝撃に成す術もなく仰け反り倒れゆく星岬。
ゆっくりと、時間がゆっくり流れているように感じる。
視界がハッキリしない。
眠気を感じているのか?
目を閉じ、ふわふわとした浮遊感に身をゆだねた。
どの位そうしていたのだろう?
何か渦巻く力を感じて、ハッとして目を開けた。
すると、視界いっぱいに渦巻く空間が広がっている。
そうか、私は再び時空を移動している訳だ。
“Z理論”が再び発動したのか。
しかし今度は何処へ?
自分では、今の何処に更なる時空移動に繋がる思い出があったのか?まるでわからず、暫し記憶を遡ると、漠然と思い出されたのは随分ドラマチックな瞬間だった。
星岬はもう少し幼い自分でいたかったと未練をにじませたが、そこは一城の主を張る者として次に来る展開に備えて気持ちの整理を素早く付けてしまうと、ゆったりとその時を待つのだった。
一方、クリスタル・サーディアはようやく時空への干渉行為に一定の成果が現れてきたという手応えを感じているところだった。
クリスタル・サーディアは閉じたままの瞼の裏(仮想デスクトップ・モニタ画面)で行っている表示されてはすぐに閉じるウィンドウつまりデータ化された時空への干渉行為(タスク)の数々を確認する作業に、更なる加速を試みた。
『警告! 本装置の処理能力を超える操作を行おうとしています』
やっぱり無理か・・・
クリスタル・サーディアは落ち着いた様子で作業の加速を断念すると、元の作業速度に戻して時空への干渉行為を続行した。
ついさっきまで消えかかっていたKE-Q28だが、ここへ来て急速に状態が安定し始めた。
「もうすぐだから」
KE-Q28の細い眼がうっすら開いて何処か遠くを見ている。
クリスタル・サーディアは時空への干渉行為に忙しくしながらも、KE-Q28の現在の状況にも細かく対応していた。
余裕は無かったが、感じてはいた。
無言の会話がそこにあった。
「もうすぐだから」
クリスタル・サーディアには、そう繰り返すことしか、今はできなかった。
どこか遠くを見る眼差しで、KE-Q28が接触回線を介して話しかける
『リー・・・、いや、違うな? 誰だ』
『あたしはクリスタル・サーディア』不穏な空気の中、臆する事もなく返答する。
『クリスタルには覚えがないな』KE-Q28はSDR-03に何かあっては、面白いことなど何もない。
『だがサーディアには覚えがある。リーと何か繋がりが?』冷静でいられない、自然に語気が荒くなる。
『サーディア3はあたしの後継機、に当たるかしら』発言に嘘はない。
『リーがあんたの後継機、だとして、この状況をどう説明する?』
もしも自分の親しくしているヒトが、違うヒトに身体を使われていたら、どうする?
考える程、冷静ではいられない。
『簡単ではないわね』
『だろうよ。例えそうだとして、リーの身体をあんたが使っているってことの理由など、一切聞く耳は持たん! リーをどうした!?』
KE-Q28の反発が思いのほか強いのに感心しつつ、どの辺りの邦哉なのかを見極める絶好の機会を得たとばかりにクリスタル・サーディアが強烈な一撃を放った!
一触即発といった険悪な二人の間にバチッと激しいスパークが起こり、KE-Q28が苦し気な声を上げる。
『ぐっ! この電撃は!?』普通に落雷にあった感じに身体のあちこちに再起動を要する警告が出ている。
『どうやらタスク処理は順調ね』
自分が電撃を放っておきながらそのことには全く触れず、我関せずの態度でいるクリスタル・サーディア。
『リーは無事だから安心して、あたしを知らない邦哉』
KE-Q28を軽くあしらうクリスタル・サーディアは、ある種の“凄味”を醸し出していた。
『これが旧型だと!? とても信じられん』
KE-Q28の経験値では敵わないのではないかという不安を拭えずに、思わずこぼしてしまう。
『あら! もしかしておだててる? やだぁ』
クリスタル・サーディアが無邪気に取り合う。
『ふざけてんじゃないぞ!!』KE-Q28の不快感は一気に上昇した。
『あたしはふざけてなんていないわ』クリスタル・サーディアの余裕を感じさせる返答に、更に不快感を増大させるKE-Q28。もう爆発寸前といった所まで上り詰めてしまっていた。
『あーた、まるで坊やね。かわいい』
クリスタル・サーディアが“かわいい”を言い終えるかどうかというタイミングで、KE-Q28の堪忍袋の緒がぶち切れたらしい。
SDR-03の膝枕に世話になっている状態ながら、KE-Q28の左ストレートが彼女のアゴを目掛けて手加減なしで繰り出された!
クリスタル・サーディアに乗っ取られているSDR-03は現在、目を閉じて瞼の裏の仮想デスクトップで作業を進めている最中だ。
クリーンヒットは避けられないと思われた。
クリスタル・サーディアは、KE-Q28の頭をなでていた手を動かすと、KE-Q28が繰り出した左ストレートを難なく受け止めてしまった。
逆に拳を握りつぶす勢いで圧をかけながらKE-Q28の左拳を押し戻した。
これにはさすがのKE-Q28も何が起きたのか理解できず、戦意を喪失させられたのだった。
『今のは、なんだ?』KE-Q28の正直な感想だ。
『女子を殴ろうなんて最低だぞ』クリスタル・サーディアが茶化すように言うと
『ついカッとなって・・・すまないいやちょっとマテ、元はといえば』KE-Q28は、とても複雑な様子で、言葉選びを何度も繰り返している。
『女子を殴ろうなんて最低だぞ』クリスタル・サーディアが茶化すように繰り返し言うと
『恥を承知で頭を下げる。教えて欲しい、一体何をしたんだ・・・?』KE-Q28の切なる思いに
『どうしてあーたの拳を、スペックでは出力が遥かに劣るSDR-03が、止めるどころか押し戻したり出来たのか?』と、クリスタル・サーディアが続けた
『そうかぁ、やっぱり気になるわよね』
『勿体付けずに教えてくれ、頼む』
ここで再び彼をからかっても良かったのだが、嫌な奴になる必要はないので、クリスタル・サーディアは素直に説明する事にした。
『簡単なことよ。あたしは電気を制御できる。そういう事(^_-)-☆』
『えーと、もう一声、お願いします!』KE-Q28はいつの間にか“ペース”を掴まれているとわかっても、それが不思議と嫌ではない事に気付いて、どう処理したものかと思案していた。
『しようがないのう、最近の若いもんは』
過去に人間の思考と融合を果たした特殊な存在であるクリスタル・サーディア。
彼女も悪気があってやってるつもりじゃないのだが、こういう所に個性というものが出るのだろうか?
クリスタル・サーディアは、自身が独力で獲得した独自のプログラム(スキル)をSDR-03で実行したに過ぎなかった。
それは“相手の身体の筋肉の動きを外部から電気で制御する”といったものだった。
『これが片付いたらデートしましょうよ、邦哉』唐突に申し出るクリスタル・サーディア
『なんでアンタと・・・別にいいけど』
渋々、という感じに見えたがKE-Q28の本音は照れ隠しだと思われる。
『いいのね! やったー!』それはとても嬉しそうに接触回線に流れ、響いた。
砂塵が吹きすさぶ大地の上で、男と女が何してる?
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