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13章

235 握り飯

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ウラボン 視点

「グランファイズ!済まないが馬車を車道からずらしてくれ。」

そう言ってキツネの獣人は馬車から降り、トカゲは前足で馬車を掴み持ち上げ道脇に移動させて行った。
つか、トカゲの名前かっけぇなぁ…

「ほれ!お腹空いているだろ!握り飯だ!」

「あ、あぁ?」

キツネの獣人から笹で包ませた握り飯を受け取った。
中には具なしの握り飯が8個入っていた。

「いいのか?」

「おう、食え食え!そうだ!これも使え。」

キツネの獣人は瓶の詰まった箱を渡した。

「これは?」

「ん?知らんのか?ふりかけだ。それを握り飯にかけて自分好みの味付けして食べるんだよ!」

知識族領では握り飯さえあまり見たこと無く、ふりかけという物も知らなかった。
俺達の主食は硬いパンだった。

「固まってないで早く食べろ!体力減ってるから一つ目はこれにしときな!」

そう言って、キツネの獣人は箱から瓶を一つ取り出し4つにかけた。

「これは?」

「二股うなぎの肝のふりかけだ!身体にいいぞ!」

そう言われ匂いを嗅ぐと食欲を誘う香ばしい匂いだった。
二股うなぎは冒険者ギルドのホコリ被った依頼の品だった気がする。
何処にいるかも不明な品を受けたがる奴はいないからなぁ。

「私食べる!」

「あ!?おい!」

ラウラが握り飯を一つ取り頬張った。

「美味しいー!!」

ラウラは幸せそうな顔をしていた。
それを見た俺達は握り飯を取り頬張った。

「うめー!」

「もう一個くれ!」

「俺はこのふりかけを試すか。」

先程の状況が嘘のように全員が握り飯を食べている。

「もう、握り飯が無くなりそうだな。味噌汁作っているから少し待っとけ!!」

そう言ったキツネの獣人はトカゲが吐く火をモロ食らっていた。
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