ルビアーナの恋

素亭子

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「ようするにね、私の妻というよりも領主婦人、会頭婦人に成りたいと思っている女性、君もあったレディ・サンデールのような女性が大勢いて、自薦・他薦で私のところにやってくるんだよ。最初は私も結婚も悪くないかとは思っていたんだけどね。」
紅茶飲む?目線で聞かれたので、いただきます!と頷くと、いい香りのするスプリング・ロイヤルブレンドを目の前で注いで勧めてくれた。(領主なのに紅茶も入れられるんだ、他にもいろいろできそうだよね)一口味わってほんわかしていると、じっとこちらを見ている領主様と目が合ってしまう。なんとなく恥ずかしくて下を向いていると又顔が赤くなってしまったような・・・(あぁもう!こんなんで一々赤くなってどうするのよ、しっかりしないと!)
いつの間にか傍に来た領主様が私の両頬にそっと手を添えて上向かせ、綺麗な黒い瞳で見つめながら微笑んだ。「最初にルビアーナに会えていたら良かったのにね、キスしてもいい?」
(えぇ~!!聞くの?そうゆうこと?顔が‥顔が余計赤くなって・・・)
真っ赤になってまごまごしている私を見ながらくすっと笑ってそっと唇に触れるようなキスを繰り返したあと、ぎゅっと抱きしめられた。「かわいいね、ルビアーナ、大切にするよ。」
「ハイ、アリガトウゴザイマス・・・。」
「領主館の皆が君を歓迎すると思うけど、一人だけ時々現れて、突っかかってくる者がいると思う。義妹なんだけどね」
「?妹さん?ですか?」抱きしめられている領主様の腕の中でちょっと距離を取ろうと腕で領主様の胸を押しながら顔を見上げる。
「義妹だよ、父の再婚相手の連れ子、君より年上だけどね、領主婦人の座を狙っていた一人だね。」ため息をついて私のことをもう一度引き寄せながらそっと頭を撫でた。
「父が亡くなって、義母は早々に南の別荘の方に押しやったけど、義妹は舞い戻って来てしまってね、まあ、義母の思惑もあるんだろうけど・・・」
「そのうち出て行ってもらうから、少し我慢してほしい。嫌なことを言われたり、されたりしたら私に言うんだよ。」
「はい・・・」
「ルビアーナ、名前を呼んでくれる?」
「あ・・リンデル‥様?」
「うん、いいね」嬉しそうにニッコリと領主様は笑う。


領主様のシマエーガ視察の翌々日、私は求婚の手紙を受け取った。
どんな魔法を使ったんですか???!!とハンスには言われ、姉上
やるなぁ・・とイアンには感心され、お嬢様は決めるときはしっかりと決められる方なんです!と謎の誉め言葉をマーサからもらって内心複雑な心境で再び州都に出てきた。此の結婚はまぁ、要するにお互いの利害が一致したということなんだろう。
婚約者もいないし、結婚の予定もない、なんとか堤防造設の資金を捻出したい私と、州領主の仕事と商会会頭の仕事に追われ、面倒な婚活活動や意に沿わない結婚を避けたい領主様、契約とはいえ、お互い悪感情は持っていないし、なんとかなるんじゃない?と思っている。義妹さんがどんな感じなのか想像もつかないけど、ダメなら3年で終了という約束だし、もしそうなってしまったとしてもその頃にはイアンも成人し堤防も完成しているはず・・・。
州都が春めいて、シマエーガにも遅い春が来る頃、私たちは結婚した。
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