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リンデルと結婚して領主館に住み始めて、あっという間に2か月がたった。リンデルは領主の仕事と商会会頭としての仕事、2つの責任ある仕事をこなしていて毎日とっても忙しそうだ。私はといえば、シマエーガでは代官代理としての仕事を行っていたせいで、ほとんどできていなかった看護師の仕事を州都の小さな病院でさせてもらっている。もちろん州領主婦人なんてことは言っていない。幸い看護師免許は旧姓のシマエーガなので誰にも気が付かれていなし。
リンデルは始め私が旧姓で病院に勤めることにあまり賛成はしてくれなかった。代官代理の実績があるのだから、カナン領主婦人、又は商会会頭婦人として自分のサポートをして欲しいと言われた。「君ならレディ・サンデールのようにお茶を入れるだけ、なんてことにはならないだろう?」と。でも代官代理は弟のイアンが成人するまでの繋ぎだし、元々するつもりはなかった仕事だ。王都で看護師資格を取ったのは、医者が少ない北の地のシマエーガで、何か役に立つ仕事がしたかったのと、少しでも自立したかったためだ。でも、リンデルはシマエーガに堤防造設を約束してくれて、その建設はすでに始まっている。私ももちろん、リンデルの妻としての役目は果さなければならないので、領主婦人としてロバートに習いながら(ロバートはリンデルの秘書、アンドリューの父親で領主館の家令です)家政を取り仕切り、教会や孤児院への訪問や寄付などの慈善活動にも携わっていた。
なので・・・看護師として働くといっても週の半分がやっとだったのだけれど・・・
妻の役目といえば、他にも頑張って・・いや頑張らざるをえないことが・・・。そもそもなんでリンデルはあんなに元気なのか不思議で仕方ない。式を挙げたあとのいわゆる夫婦生活がほとんど朝までコースだったので、世の夫婦って大変なんだなぁ・・と寝不足と戦いながら病院で仕事をしていた時に、うっかり朝までワードを休憩中に口に出してしまい思いっきり同僚に冷やかされたのだ。
あ・・ダメだ・・。考えると又顔が赤くなってしまう・・・。
と、サロンのドアが突然開くと、ツカツカと私のいるテーブルセットの方に近づいてくる人がいた。その女性は人がいることに気が付いてビックリしているようだ。
誰だろう?この人・・?私が考えたことを傍に立つ女性が声に出した。
「貴女誰よ?!メイド?誰の許可を得てこんな時間にここでお茶をしているの?!!」栗色の髪の少しきつめな感じの美人さんだ。背も高いから、こんな人ならリンデルの傍に立っても丁度いい感じになるんだろうな・・・・。私は傍に立つと頭一つ分も違うから、見上げるの、以外と大変なんだよね・・・。なんて考えながら、
「えーと・・許可ですか?一応ロバートには話しましたけど。お夕食まで少し時間もありますし、今日は珍しく早く(病院の)仕事も終わりましたので。」
「はぁ?夕食?貴女、私たちと一緒にディナーを取るつもりなの?図々しいわね!!リンデルのお客とも思えないわ!貴女誰なのよ?」
その時サロンのドアをノックして珍しく慌てた様子でロバートが入ってくる。
「申し訳ありません、奥様。お止めする間もなく、アンジェラ様がこちらに入ってしまわれまして・・・」私の傍に来て必死に頭を下げるロバートを余所目に、ことを起こした本人は睨むように私を見る。「奥様ですって??!!リンデルが結婚したってこと?!嘘よ!」
私は立ち上がってなるべく優雅に見えるようにお辞儀をしてから社交用の笑顔を向けた「初めまして、アンジェラ様、リンデルの義妹さんですね。私はリンデルの妻のルビアーナと申します。」
「私、貴女なんか認めないわよ!!」そう言いながら足早にサロンをアンジェラ様は出て行ってしまわれた。
何しに来たんだろう?まぁ、別にアンジェラ様に認めてもらう必要はないけども・・・。
その日の夕食は何とも言えない雰囲気だった。久しぶりに会ったであろうリンデルの気を引きたいアンジェラ様に、つれない相槌を適当に返すリンデル。いつもなら私たちはテーブルの端と端に座って、たわいのないおしゃべりをしながら過ごすのだが、なぜかリンデルの真横の席に座ることになった私。甘い笑顔を向けられたり、「ルビアーナ、ソースが付いてるよ」なんて言って口の端を指で触られたり(今ナプキンで拭こうとしてたんです!)と、アンジェラ様の神経を逆なでするようなことばかりするリンデル。アンジェラ様はリンデルの妻の座(リンデルによると領主婦人と商会会頭婦人としての座のようだけど)を狙っていた筆頭だそうだから、牽制したい気持ちがあるんだろうけれど・・・。
「あぁ、疲れた・・・」夕食が済んで夫婦の部屋に入ったとたん、そんな言葉がでてしまった。ソファに座ってのびをしながら頭を背もたれに付ける。
「ごめんね、でも早く帰ってもらった方がいいだろう?」リンデルがソファの後ろから私の頭の両脇に手をついて覗き込む。「それとも明日、一緒に出掛けようか?シマエーガの様子も見に行きたいだろう?」
「え?いいの?堤防造成の進行の様子も見たし、しばらく帰ってないから行けるなら行きたい!」
「じゃあ一緒に行こう、明日は急ぎの仕事の予定はないからね」
アンジェラ様のおかげ?でシマエーガに久しぶりに帰省することになった。
リンデルは始め私が旧姓で病院に勤めることにあまり賛成はしてくれなかった。代官代理の実績があるのだから、カナン領主婦人、又は商会会頭婦人として自分のサポートをして欲しいと言われた。「君ならレディ・サンデールのようにお茶を入れるだけ、なんてことにはならないだろう?」と。でも代官代理は弟のイアンが成人するまでの繋ぎだし、元々するつもりはなかった仕事だ。王都で看護師資格を取ったのは、医者が少ない北の地のシマエーガで、何か役に立つ仕事がしたかったのと、少しでも自立したかったためだ。でも、リンデルはシマエーガに堤防造設を約束してくれて、その建設はすでに始まっている。私ももちろん、リンデルの妻としての役目は果さなければならないので、領主婦人としてロバートに習いながら(ロバートはリンデルの秘書、アンドリューの父親で領主館の家令です)家政を取り仕切り、教会や孤児院への訪問や寄付などの慈善活動にも携わっていた。
なので・・・看護師として働くといっても週の半分がやっとだったのだけれど・・・
妻の役目といえば、他にも頑張って・・いや頑張らざるをえないことが・・・。そもそもなんでリンデルはあんなに元気なのか不思議で仕方ない。式を挙げたあとのいわゆる夫婦生活がほとんど朝までコースだったので、世の夫婦って大変なんだなぁ・・と寝不足と戦いながら病院で仕事をしていた時に、うっかり朝までワードを休憩中に口に出してしまい思いっきり同僚に冷やかされたのだ。
あ・・ダメだ・・。考えると又顔が赤くなってしまう・・・。
と、サロンのドアが突然開くと、ツカツカと私のいるテーブルセットの方に近づいてくる人がいた。その女性は人がいることに気が付いてビックリしているようだ。
誰だろう?この人・・?私が考えたことを傍に立つ女性が声に出した。
「貴女誰よ?!メイド?誰の許可を得てこんな時間にここでお茶をしているの?!!」栗色の髪の少しきつめな感じの美人さんだ。背も高いから、こんな人ならリンデルの傍に立っても丁度いい感じになるんだろうな・・・・。私は傍に立つと頭一つ分も違うから、見上げるの、以外と大変なんだよね・・・。なんて考えながら、
「えーと・・許可ですか?一応ロバートには話しましたけど。お夕食まで少し時間もありますし、今日は珍しく早く(病院の)仕事も終わりましたので。」
「はぁ?夕食?貴女、私たちと一緒にディナーを取るつもりなの?図々しいわね!!リンデルのお客とも思えないわ!貴女誰なのよ?」
その時サロンのドアをノックして珍しく慌てた様子でロバートが入ってくる。
「申し訳ありません、奥様。お止めする間もなく、アンジェラ様がこちらに入ってしまわれまして・・・」私の傍に来て必死に頭を下げるロバートを余所目に、ことを起こした本人は睨むように私を見る。「奥様ですって??!!リンデルが結婚したってこと?!嘘よ!」
私は立ち上がってなるべく優雅に見えるようにお辞儀をしてから社交用の笑顔を向けた「初めまして、アンジェラ様、リンデルの義妹さんですね。私はリンデルの妻のルビアーナと申します。」
「私、貴女なんか認めないわよ!!」そう言いながら足早にサロンをアンジェラ様は出て行ってしまわれた。
何しに来たんだろう?まぁ、別にアンジェラ様に認めてもらう必要はないけども・・・。
その日の夕食は何とも言えない雰囲気だった。久しぶりに会ったであろうリンデルの気を引きたいアンジェラ様に、つれない相槌を適当に返すリンデル。いつもなら私たちはテーブルの端と端に座って、たわいのないおしゃべりをしながら過ごすのだが、なぜかリンデルの真横の席に座ることになった私。甘い笑顔を向けられたり、「ルビアーナ、ソースが付いてるよ」なんて言って口の端を指で触られたり(今ナプキンで拭こうとしてたんです!)と、アンジェラ様の神経を逆なでするようなことばかりするリンデル。アンジェラ様はリンデルの妻の座(リンデルによると領主婦人と商会会頭婦人としての座のようだけど)を狙っていた筆頭だそうだから、牽制したい気持ちがあるんだろうけれど・・・。
「あぁ、疲れた・・・」夕食が済んで夫婦の部屋に入ったとたん、そんな言葉がでてしまった。ソファに座ってのびをしながら頭を背もたれに付ける。
「ごめんね、でも早く帰ってもらった方がいいだろう?」リンデルがソファの後ろから私の頭の両脇に手をついて覗き込む。「それとも明日、一緒に出掛けようか?シマエーガの様子も見に行きたいだろう?」
「え?いいの?堤防造成の進行の様子も見たし、しばらく帰ってないから行けるなら行きたい!」
「じゃあ一緒に行こう、明日は急ぎの仕事の予定はないからね」
アンジェラ様のおかげ?でシマエーガに久しぶりに帰省することになった。
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