ルビアーナの恋

素亭子

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翌日になってもなんだかムカムカした感じが続いたので、勤務する病院で薬を貰うことにした。

薬を出す前に診察ね、と言われ診てもらうと・・・
「おめでとう、もうすぐ3か月とこってところかしら?ハネムーンベイビーってことじゃない?」

「・・・・・」

「ルビアーナ?どうしたの??」黙ってしまった私の方を不思議そうに医師(先生)が見る。

どうしよう・・・・。いつ失敗したの?リンデルに何て言えばいいの?
私の顔色を見て心配した同僚と先生に今日はもう帰ることを勧められ、考えがまとまらないまま領主館に帰ってきてしまった。


何て話そう・・・何を言われるんだろう・・・グルグルいろんなことを考えて、覚悟を決めてリンデルに妊娠を告げたときの返事は「あ、そうなんだ」と拍子抜けするような答えだった。

「えっと・・・怒らないの?」恐る恐る聞くと、

「なんで?結婚してるんだし、別にいいんじゃない?予想外ではあったけどね」とニッコリ笑って答えられた。

「ごめんなさい、気をつけてくれてたのに・・・やっぱり私、元々周期が不順だから危険日を間違えちゃったのかも・・。」

「謝らなくたっていいよ、それよりいつ?」

「あ・・春の前頃だと思うけど・・・多分・・・」

「そうか・・・私たちが初めて会った季節に家族が増えるってことなんだね」
そう言って、リンデルは私をそっと抱きしめた
「今日は一緒に寝てくれる?ルビアーナ」

「え?でも・・・」
「大丈夫、一緒のベッドで休むだけだよ、抱きしめるだけだから、ね?」

「あ・・はい・・。」なんとなく恥ずかしくて下を向いて答えると、頭の上で、くすっとリンデルが笑う。
「又赤くなってるの?可愛いね、ルビアーナ」そう言った後、私を抱きしめていた腕を更に狭めた。「身体に気を付けてね、絶対無理したらダメだよ。」

「うん・・・ありがとう、リンデル」ようやく緊張から解放されて、私もリンデルの背中に腕を回して抱きしめ返した。
胸がほんわか温かくなって、嬉しい‥って気持ちが湧いてくる感じがしてくる。しあわせってこんな感じのことをいうんだな・・・・今までだって、楽しいことも、うれしいこともあったけど、こんなふうにしあわせって自然に感じられることって初めてかも。
私は、左手はリンデルの背中に手を回したまま、右手でそっとお腹をさすった。



翌日から、アンジェラ様の姿を領主館から見かけなくなった。私の妊娠を聴いたから?理由はよくわからないけど、いなくなってくれたのならなんでもいいと思った。

季節は春から夏に向かっていて、ジメジメと雨の多い梅雨の時期が来ていた。シマエーガの堤防造成は、なんとか梅雨前に基礎工事が終わったようで一安心だ。州都はシマエーガよりは南西の方なので、雨の降りだしはシマエーガよりも若干早くなる。安心とはいっても、つい雨が降ると習慣的に、川は大丈夫かなぁ・・・と思ってしまう。少しだけ出てきた下腹を無意識にさすりながら、雨がしとしとと降る窓の外を眺めながら過ごすことが最近の私の日課になってきてしまっていた。




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