ルビアーナの恋

素亭子

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その日遅くにリンデルは仕事から帰ってきた。私の入院中、ずっと仕事を休んでいたことのしわ寄せがきているのかもしれないと思って、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
自分の寝室から夫婦の寝室を通り、リンデルの寝室のドアをノックする。
「?どうぞ・・」といわれ中に入ると、疲れた様子でベッドに腰かけるリンデルが見えた。彼に向かってゆっくり近づいていく。
「ルビアーナ?どうしたの?まだ起きてるなんて。体は大丈夫?」自分も疲れているのに私を気遣かってくれることに涙が出そうになる。
「あのね・・・」
「うん?」
来週アンジェラ様と王都に行くのか聞きたいけど・・・聞くのが怖い・・・。
「ごめんなさい・・忙しいんでしょう?私のせいでたくさん休んでしまったから・・」
リンデルは傍に来た私の手を引いて向き合ってベッドに座り、そっと抱きしめてくれる。
「大丈夫だよ、今ちょっと仕事が佳境でね」
この優しい腕の中にいると安心できる・・・。あぁ‥私・・・リンデルが本当に好きなんだ。しばらく目をつむった後、すうっと息を吸い込んで、思い切って聞くことにする・・・。
「リンデル・・来週又王都に行くの?」
「うん、1週間くらいはいることになると思う、ごめんね、こんな時に一人にして」
抱きしめたまま優しく頭をなでながらリンデルが答えてくれた。
私は抱きしめてくれていたリンデルの腕の中から顔を上げて少し距離をとり、彼を見つめる。
「私も行きたいわ。一緒に・・・ダメ?」
リンデルがすっと目を細め私をじっと見つめる。「なんで?いつもはそんなこと言わないよね、どうしたの?ルビアーナ。」私を腕の中から離し、更に距離をとって続ける「だめだよ、まだ体が本調子じゃないだろう?」
「でも!私・・・」    (アンジェラ様と一緒に行くの?!!)心の中で叫ぶ(嫌、私も連れて行って!!)
「ダメだよ、ルビアーナ、此処にいるんだ。」
「アンジェラ様も一緒なんでしょう?だったら私も!」
「君が一緒に行ってどうするんだ?」

冷たく言われ(貴方が好きだから!)という言葉と気持ちが喉の奥に塊のようにつかえて出てこなくなった。


「そう・・・ね、ごめんなさい・・」俯いて必死に涙をこらえる。
「おやすみなさい・・」逃げるようにも元来たドアに向かい、自分の部屋に戻った。鍵をかけてベッドの中で布団を被り、口の前に手を当てて、必死に声が漏れないようにしながら泣いた。私はバカだ・・・。元々この結婚は契約だった。予想外のことが起きて、やさしくされたからって、一方的に好きって気持ちを押し付けたって迷惑でしかない・・・。
でも・・・アンジェラ様とリンデルが・・・と考えると、辛くて・・・悲しくて・・仕方がなかった。

2日後
「1週間なんて直ぐだよ、毎晩電話するよ、君も掛けてきて、いいね?」そう言って私の額にやさしくキスをするとリンデルはアンドリューとアンジェラ様と一緒に王都に出掛けていった。

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