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王都に行って3日間、リンデルは毎日夜7時ごろに電話をくれた。仕事が順調に進んでいること、王都にできた新しい紅茶専門店のこと、梅雨の晴れ間と油断していたら雨に急に降られたことなど、たわいもない日常の話をした後に私の体調はどうか、しっかり休めているかを聞いてきて、又明日ね、と電話を切る。4日目には明日はルビアーナから掛けてきて!と約束させられ、リンデルが王都に行く前の不安な気持ちが少し和らいでいるのを感じていた。
翌日、夜7時近くなって、ロバートに聞きながらリンデルに電話を掛ける。呼び出し音がして、ホテルに繋がったのを確認すると、ロバートは傍を離れていった。ホテルのフロントがリンデルの部屋に電話を繋いでくれる。しばらく呼び出し音がして、もしもし・・?と出たのは・・・・・・・・・・・・アンジェラ様だった。
「もしもし・・?どなた?」アンジェラ様がけだるそうに話す。
「・・・あの・・アンジェラ様?ですよね、何故この部屋にいらっしゃるんですか?」声が震えてしまいそうになるのをなんとかこらえて聞いた。
「あぁ・・あなたなの?タイミングが悪いわね、今リンデルはシャワー中よ、呼びましょうか?」勝ち誇ったように言ってくる・・と、後ろから「アンジェラ!バスタオルどこやったんだ?」と叫ぶリンデルの声が聞こえてきた。
受話器を握りしめていると、離れたところで何かをしゃべっている二人の声が聞こえた後、再びアンジェラ様が電話に出た。「ごめんなさい、さっきまで二人でシャワーを浴びていたの、もうすく出ると思うわ、このまま待つ?」
「・・いいえ・・結構です・・・。」
くすっと笑い、「そうよね・・・あなたにはショックかもしれないけど、私たちそういう関係なのよ、ごめんなさい。でもあなたも現実を見ないとね、じゃあね!」
切れてしまった電話を握りしめて動けないままでいた後、ハッとして受話器を戻し、近くのソファに座り込む。
奥様!・・・・奥様!ロバートがいつの間にか側に来て話かけてきていた。
「旦那様からお電話ですが・・?先ほどお話できなかったのですか?」
「・・・・・そう・・なの・・・。電話にでられなかったみたいで・・・」
ロバートに促され、フラフラと立ち上がって電話にでる。
リンデルからは、電話に出られなくてごめん、雨に降られてシャワーを浴びていた、と言われたが、そう・・・としか言えなかった。その後もいつものように色々話をしてくれたけど、ハイ・・・ハイ・・としか返事ができず、上の空のまま電話を切った。
「奥様、どうかされましたか?」と、心配そうにロバートに聞かれた。
「なんでもないの・・・ごめんなさい」
その後わたしは、さっきから考えていたことをロバートに告げた。
リンデルが王都に行って6日目の昼、私は小さなバッグを一つ持って領主館の玄関の前に立ち、建物を見上げていた。
ここに来てからまだ半年もたっていないけど、何年分かの経験をした気がする。
ふう・・とため息を一つついた後、私は雨の中、傘をさして列車の駅に向かって歩きだした。
翌日、夜7時近くなって、ロバートに聞きながらリンデルに電話を掛ける。呼び出し音がして、ホテルに繋がったのを確認すると、ロバートは傍を離れていった。ホテルのフロントがリンデルの部屋に電話を繋いでくれる。しばらく呼び出し音がして、もしもし・・?と出たのは・・・・・・・・・・・・アンジェラ様だった。
「もしもし・・?どなた?」アンジェラ様がけだるそうに話す。
「・・・あの・・アンジェラ様?ですよね、何故この部屋にいらっしゃるんですか?」声が震えてしまいそうになるのをなんとかこらえて聞いた。
「あぁ・・あなたなの?タイミングが悪いわね、今リンデルはシャワー中よ、呼びましょうか?」勝ち誇ったように言ってくる・・と、後ろから「アンジェラ!バスタオルどこやったんだ?」と叫ぶリンデルの声が聞こえてきた。
受話器を握りしめていると、離れたところで何かをしゃべっている二人の声が聞こえた後、再びアンジェラ様が電話に出た。「ごめんなさい、さっきまで二人でシャワーを浴びていたの、もうすく出ると思うわ、このまま待つ?」
「・・いいえ・・結構です・・・。」
くすっと笑い、「そうよね・・・あなたにはショックかもしれないけど、私たちそういう関係なのよ、ごめんなさい。でもあなたも現実を見ないとね、じゃあね!」
切れてしまった電話を握りしめて動けないままでいた後、ハッとして受話器を戻し、近くのソファに座り込む。
奥様!・・・・奥様!ロバートがいつの間にか側に来て話かけてきていた。
「旦那様からお電話ですが・・?先ほどお話できなかったのですか?」
「・・・・・そう・・なの・・・。電話にでられなかったみたいで・・・」
ロバートに促され、フラフラと立ち上がって電話にでる。
リンデルからは、電話に出られなくてごめん、雨に降られてシャワーを浴びていた、と言われたが、そう・・・としか言えなかった。その後もいつものように色々話をしてくれたけど、ハイ・・・ハイ・・としか返事ができず、上の空のまま電話を切った。
「奥様、どうかされましたか?」と、心配そうにロバートに聞かれた。
「なんでもないの・・・ごめんなさい」
その後わたしは、さっきから考えていたことをロバートに告げた。
リンデルが王都に行って6日目の昼、私は小さなバッグを一つ持って領主館の玄関の前に立ち、建物を見上げていた。
ここに来てからまだ半年もたっていないけど、何年分かの経験をした気がする。
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