ルビアーナの恋

素亭子

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22 リンデルside

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ルビアーナが領主館を去って早くも5か月が過ぎた。ルビアーナがいなくなったあの日は一日雨だった。足跡も車輪痕も残っておらず、駅も週末だったこともあり、人の出入りが激しかったため殆ど手掛かりは得られなかった。焦る気持ちを抑えながら、暖かい王都の南側の町からしらみつぶしに探しているような状況だ。

「リンデル!」
銀行に出ていたアンドリューが慌てて帰って来る。
「どうした?珍しいな、そんな大声を出して」

「振り込みがあった、見てみろ、これだ」
月末に近いので取引先から振り込みがあるのはいつものことだ。「何かおかしいことでもあるのか?」アンドリューが差し出した日時・相手名・振り込み金額等が書かれた紙を覗き込む。

!!!!!!!!!!!――――――――――――――
ルビアーナから振り込みが!
「テンバーなんて町、南の方にあったか?」

「いや、南じゃない、調べたら隣の州都から馬車で1時間くらいの北の町だった」

「北?ここ(カナン)より寒いってことか?なんだってそんなところに・・・」

アンドリューがこっちをジッと見る。
「テンバーを探させるのか?」

「当然だろう、やっと手掛かりがつかめたんだ」

「見つかりたくないから、わざと苦手な(寒い)場所にいるとは思わないのか?」
「離婚届は置いていかれなかった。お前に言われた3年はこのままのつもりなんだろう」


「私の妻は今もこれからもルビアーナだけだ・・・」アンドリューが続けようとするのを遮るように話した。

はぁ・・・アンドリューがため息をついて続ける。「お前、性格変わったのか?前はそんなに執着する方じゃなかっただろ?来るもの拒まず、去る者追わずがお前のポリシーじゃなかったっけ?」


「こだわるのはルビアーナのことだけだ」憮然として答える。


「わかったよ、南の方に行っている調査員を呼び戻してテンバーに向かわせよう」
少し呆れたようにアンドリューに言われたが構わなかった。
テンバー・・・カナンの北東にある州の州都から更に北に行った湖のある町で、ルビアーナを見つけることができるかもしれないと私は期待した。
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