22 / 24
22 リンデルside
しおりを挟む
ルビアーナが領主館を去って早くも5か月が過ぎた。ルビアーナがいなくなったあの日は一日雨だった。足跡も車輪痕も残っておらず、駅も週末だったこともあり、人の出入りが激しかったため殆ど手掛かりは得られなかった。焦る気持ちを抑えながら、暖かい王都の南側の町からしらみつぶしに探しているような状況だ。
「リンデル!」
銀行に出ていたアンドリューが慌てて帰って来る。
「どうした?珍しいな、そんな大声を出して」
「振り込みがあった、見てみろ、これだ」
月末に近いので取引先から振り込みがあるのはいつものことだ。「何かおかしいことでもあるのか?」アンドリューが差し出した日時・相手名・振り込み金額等が書かれた紙を覗き込む。
!!!!!!!!!!!――――――――――――――
ルビアーナから振り込みが!
「テンバーなんて町、南の方にあったか?」
「いや、南じゃない、調べたら隣の州都から馬車で1時間くらいの北の町だった」
「北?ここ(カナン)より寒いってことか?なんだってそんなところに・・・」
アンドリューがこっちをジッと見る。
「テンバーを探させるのか?」
「当然だろう、やっと手掛かりがつかめたんだ」
「見つかりたくないから、わざと苦手な(寒い)場所にいるとは思わないのか?」
「離婚届は置いていかれなかった。お前に言われた3年はこのままのつもりなんだろう」
「私の妻は今もこれからもルビアーナだけだ・・・」アンドリューが続けようとするのを遮るように話した。
はぁ・・・アンドリューがため息をついて続ける。「お前、性格変わったのか?前はそんなに執着する方じゃなかっただろ?来るもの拒まず、去る者追わずがお前のポリシーじゃなかったっけ?」
「こだわるのはルビアーナのことだけだ」憮然として答える。
「わかったよ、南の方に行っている調査員を呼び戻してテンバーに向かわせよう」
少し呆れたようにアンドリューに言われたが構わなかった。
テンバー・・・カナンの北東にある州の州都から更に北に行った湖のある町で、ルビアーナを見つけることができるかもしれないと私は期待した。
「リンデル!」
銀行に出ていたアンドリューが慌てて帰って来る。
「どうした?珍しいな、そんな大声を出して」
「振り込みがあった、見てみろ、これだ」
月末に近いので取引先から振り込みがあるのはいつものことだ。「何かおかしいことでもあるのか?」アンドリューが差し出した日時・相手名・振り込み金額等が書かれた紙を覗き込む。
!!!!!!!!!!!――――――――――――――
ルビアーナから振り込みが!
「テンバーなんて町、南の方にあったか?」
「いや、南じゃない、調べたら隣の州都から馬車で1時間くらいの北の町だった」
「北?ここ(カナン)より寒いってことか?なんだってそんなところに・・・」
アンドリューがこっちをジッと見る。
「テンバーを探させるのか?」
「当然だろう、やっと手掛かりがつかめたんだ」
「見つかりたくないから、わざと苦手な(寒い)場所にいるとは思わないのか?」
「離婚届は置いていかれなかった。お前に言われた3年はこのままのつもりなんだろう」
「私の妻は今もこれからもルビアーナだけだ・・・」アンドリューが続けようとするのを遮るように話した。
はぁ・・・アンドリューがため息をついて続ける。「お前、性格変わったのか?前はそんなに執着する方じゃなかっただろ?来るもの拒まず、去る者追わずがお前のポリシーじゃなかったっけ?」
「こだわるのはルビアーナのことだけだ」憮然として答える。
「わかったよ、南の方に行っている調査員を呼び戻してテンバーに向かわせよう」
少し呆れたようにアンドリューに言われたが構わなかった。
テンバー・・・カナンの北東にある州の州都から更に北に行った湖のある町で、ルビアーナを見つけることができるかもしれないと私は期待した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
リアンの白い雪
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
その日の朝、リアンは婚約者のフィンリーと言い合いをした。
いつもの日常の、些細な出来事。
仲直りしていつもの二人に戻れるはずだった。
だがその後、二人の関係は一変してしまう。
辺境の地の砦に立ち魔物の棲む森を見張り、魔物から人を守る兵士リアン。
記憶を失くし一人でいたところをリアンに助けられたフィンリー。
二人の未来は?
※全15話
※本作は私の頭のストレッチ第二弾のため感想欄は開けておりません。
(全話投稿完了後、開ける予定です)
※1/29 完結しました。
感想欄を開けさせていただきます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、
いただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきます。
※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
わんこ系婚約者の大誤算
甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。
そんなある日…
「婚約破棄して他の男と婚約!?」
そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。
その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。
小型犬から猛犬へ矯正完了!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる