転生幼女は発酵スキルで、異世界に和食革命を起こす!味噌、醤油、酢を作って餌付けしたら、いつの間にか世界に名が轟いていた件

西野和歌

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第1章 天使降臨!!

第9話 にーたんのスキルでしゅ

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「見つけた!!」
「お、王子! こんな所にどうして!」

 馬鹿だけど相手が王子だから、みんなビシッと背筋を伸ばして立ち上がり頭を下げた。
 王子だけど馬鹿なのに、そんな礼をしなくてもと思う。

「アーリー、今スキル使ったね?」
「知らないでしゅ」
「ちゃんと発動を感じたよ」
「なんでわかるでしゅか?」
「家族愛だよ」
「……どうしてわかるでしゅか? 教えろでしゅ茶髪騎士」
「ちゃんと名前を呼んで下さいよ、チビ姫様」

 兄と共に現れた護衛騎士アールに聞いてみた。
 お前の態度も大概なんだがな?
 私が姫と呼ばれて、周囲はギョッとする。
 あーあー、正体バレちゃったじゃん。
 せっかくの憩いのオアシスだったのに。

「私も詳しくは知らないんですけどね、スキル持ちはスキルが感じられるそうですよ」
「へー」
「だから、どんなスキルを使ったの? お兄ちゃんにこっそり教えなさい」
「やーでしゅ」

 お断りだ。
 しかし、自分以外のスキル持ちを見たことないので、興味が出てきた。
 感じるという事は、王子である兄ちゃんにもあるんだよね?
 私は可愛く甘えてみた。

「にーたんのスキルは、どんなのでしゅか?」

 そうだよ。
 人のことを知りたいなら、まず自分が教えるのが先だ。
 ちょっとワクワクしながら、私は割と整ってはいる兄の顔を見た。

「んー、教えたらちゃんと教えてくれる?」
「でしゅ!」

 ピシッと敬礼すると、あー可愛いと悶えるのは兄と周囲のおっさん達だ。
 相変わらず、無表情で突っ立っている茶髪の血は何色だ? 青だろ冷酷の青のはずだ。

 一通り興奮し終えたキモイ兄が、そっと近くの棚からグラスを取り出した。

「ほらごらん、これがお兄ちゃんの力だよ」

 グラスが白く光って、そしてポツポツと水が静かに溜まっていく。
 周囲が、声もなくグラスにあらわれた透明な水に注目する。

 (これが、スキルを感じるか。確かに、わかる……初めてだなコレは)

 感覚がそちらに引っ張られる感覚、聞こえない音が脳に届くというのか……。
 うん、説明できないけど、なんとなくわかるんだよ!

 水はグラス半分ほどで止まった。

「お兄ちゃんは、水が少し出せるんだ」
「しゅごいでしゅね~」

 これは素直に感動したので褒めておいた。
 だって便利じゃない? タダでお水出せるんだよ?
 ちょっと、お花に水やり~とか、あらやだ味が濃いから薄めたいわって時に便利そう。

 汗だくになった兄が、出した水を差し出した。
 なんとなく両手で受け取って、水をタプンと揺らしてみた。

「まあ、これが精いっぱいなんだか、実は王家のスキルには特別な意味があってだな」
「んーと、こうでしゅ! しゅばばば~っ! おいちくなーれっ!」
「えっ?」

 両手から光が放たれ、持っていたグラスの水に泡が立つ。
 やがて芳香なアルコールの香りが漂った。
 初めてスキルを水に使ってみたら、日本酒ができたよ。やったね。
    
 スキル発動した後に周囲に人いたなぁと今更思ったけど、兄が出せって言ったんだから仕方ないよね? 私しらなーぃ。
 この国では、特別な存在だけが持つスキルの内容までは、あまり知られていないのだ。
 
 手のひらには透明で、キラキラ光る般若水、もとい極上の日本酒だ。
 懐かしい匂いに、つい一口と、いきたくなったら、グラスをヒョイっと取り上げられた。

「ああーっ!」
「これはチビっ子にはダメです。めっ」

 騎士アールは、クンクンと匂いを嗅いだ後、一気に飲みほした。

「おい、アール!」
「うん、美味い。これは力がみなぎるな」

 いい飲みっぷりで……いいなぁ。
 てか、何を勝手にと怒ろうとした私の体が、ビクリと震えた。

「チビの癖に、これは素晴らしいですね」
「うぁ……アール? にゃに……」

 なんで目が一瞬赤くなったの? それにこの気配は何?
 てか、お前なんなの! 怖いんだけど!

「ひぃっ」
「ああ、ごめんごめん」
「こら、アール! お前は私のアーリーに何して」
「にーたんのじゃないでしゅ!」

 どさくさに紛れて、何言ってるんだ。
 それでも恐怖を感じた私は、兄にがっしりしがみついた。盾になれ!

 周囲は気づかなかったのか?
 私は、しがみついた兄の顔をみあげた。
 思ったより優しい顔で、兄ちゃんは微笑んだ。

「あいつは大丈夫だよ」
「う……うん」

 それでも、恐る恐るアールを見ると……何あくびしてんだよ!
 こいつ本当に自由だな。
 ……っと思い出した! 私は大事な作業の途中だったのだ。
 こいつらなんぞ構ってられん!
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