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第1章 天使降臨!!
第15話 とーたんのスキルでしゅ
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「次は、んーと」
トテチテと私は既に、勝手知ったる調理場の隅から、色の変わったバナナを取り出した。
勿体ない事をする。
熟し過ぎたバナナをむくと、中から変色した実が現れた。
剥くと、やはり外側は黒いが、内部は黄色が濃い程度だ。
うちの教会で、こんな粗末な事したらオバケに連れてかれるってシスターに脅されて、夜間オネショコースで、次の日の朝も怒られるという二重苦確定なんだけどな。
むしろ貧しい子供たちは、そのバナナの皮ですら徹底的に楽しむね。
この世界では南の国からの輸入品で、高級フルーツなんだから、もっと大事に扱って欲しいよ。
バナナはフックに引っ掛けて、ぶら下げておくと長持ちするんだぞ。
内心、プンスコしている私に、助手君は恐る恐る言った。
「姫様、これはもうダメなバナナですよ?」
「ダメじゃないでしゅ。これは、こうするでしゅよ」
てぃっ! と私はバナナ一房分の皮をむいて全て中身を出す。
助手君はアワワという顔をしたが、無視だ無視。
別の器の中に、私は粘土のようにバナナを潰していく。
ちゃんと事前に黒味はとって、キレイな部分だけを使用していく。
「ア~ちゃん、食べ物で遊んじゃいけません」
「違うでしゅ、これは準備でしゅよ」
「お兄ちゃんも、それなら手伝えたと思うんだが」
「大丈夫でしゅ。アタチが頑張るでしゅ」
むしろ邪魔になりそうなんだわ、そこで黙って見ててくれ。
真剣な目で、私は必死で腕を調理台に伸ばして作業に没頭する。
「なんと健気な」
「可愛すぎるだろう、我が娘よ」
外野は無視して、どんどん潰すよ!
器の中に、荒く粘土みたいな潰れたバナナが出来上がる。
小さな手でグシグシと潰したバナナを、今度は小さな玉にするよ。
ノリノリになってきた私は、即興で歌を歌う。
「牛はモーモー、モーモーとなぁ~く」
「ア~ちゃんは歌も上手だね」
「天使の歌声だ、流石は私の妹だ」
「か、可愛すぎます姫様」
小さなお尻を振りながら、私は歌い笑顔で作業する姿に、周囲はデロデロだ。
うん、駄犬はあくびしてやがるが、残りの奴らのハートはきっちり抑えたぞ。
そうして作業を進めて、あの不要だったバナナから、小粒のバナナボールがいくつも出来た。大きさはビー玉程度かな? 頑張ってコネコネしました。
幼子の手で作った小さな玉は、きっと良いアクセントになるだろう。
「どぼーん!」
ポチャポチャと牛乳に投入!
ドロドロの手は、せっせと兄が拭いてくれた。よい仕事をするなあ。
褒めて遣わす。
「甘いー甘いーお砂糖をさーらさら」
掴んで砂糖をぶち込んで、最後に少しの塩も入れる。
「レモンのはしっこ、切ったのあったでしゅよね? あれ欲しいでしゅ」
「あれは、不要部分で捨てるやつですよ?」
「いいから欲しいでしゅ!」
勿体ない事をするんじゃない。飾りとしては不要でも、まだ少量の果汁があるはずだ。
「そういえば、とーたんはどんなスキルなんでしゅか?」
「ん? ああ、ハチミツを出せるんだが、一日ティースプーン一杯が限度じゃな」
「王のハチミツは濃度が高くて、私も好きだな」
狼の推薦がついたよ。
私は父のスキルに体が震えた。
「しかし、あまりスキルの内容は、人に知らしめるものではない。どこでどう利用されるかも知れない……」
何か言ってるが、私は聞いちゃいない。
感激のあまりに、私は叫んだ。
「す……素敵すぎるでしゅ~っ!」
「そ、そうか?」
だってハチミツだよ? あのお高いハチミツなんだよ?
「ローヤルゼリーは出せないんでしゅか?」
「ローヤル? なんだそれは?」
小首をかしげる父に、チッと舌打ちする。
美容と金儲けから少し遠ざかってしまった。
まあいい、この瞬間から、父はいかついオッサンだけでなく、貴重な調味料の一つとしてくわえられた。
私の目の前には、大きめの器に牛乳が満たされ、プカプカとバナナボールが浮かんでいる。
本当ならば、繊細な計量をしたのちに材料を投入するものなのだが、まあ私のスキルで補正がかかるので、なんちゃってでも大丈夫だろう。
教会にいた頃は、食材すらロクになく、ましてや調理など手伝い程度のアイドル枠だったので、ここまで好きにできた事がないんだよね。
久しぶりの手作りに、嬉しさを噛み締めた。
「では、いくでしゅ! おいちくなーれっ!」
パッと輝く黄金の光に、皆が目を一瞬つぶった。
そして、開くと、ハイ出来上がり。
「バナナヨーグルトでしゅ!」
「バナナ! ヨーグルト!」
「バーニャーニャー! はい、バーニャーニャー!」
パンパンと手を打ち鳴らしながら、私の掛け声に皆が続く。
「バーニャーニャー! バーニャーニャー!」
この果物は栄養満点で、皆にはもっと知ってほしい。
バナナは万能だ。皆はバーニャーニャーと崇めた方がいい。
手に握ったスプーンをタクト代わりに振り回して、狼までが嬉し気に声を上げて盛り上がっていた。
「はやくはやく、ちび姫ちゃん」
待ちきれないのはわかるんだけど、とりあえずステイ!
トテチテと私は既に、勝手知ったる調理場の隅から、色の変わったバナナを取り出した。
勿体ない事をする。
熟し過ぎたバナナをむくと、中から変色した実が現れた。
剥くと、やはり外側は黒いが、内部は黄色が濃い程度だ。
うちの教会で、こんな粗末な事したらオバケに連れてかれるってシスターに脅されて、夜間オネショコースで、次の日の朝も怒られるという二重苦確定なんだけどな。
むしろ貧しい子供たちは、そのバナナの皮ですら徹底的に楽しむね。
この世界では南の国からの輸入品で、高級フルーツなんだから、もっと大事に扱って欲しいよ。
バナナはフックに引っ掛けて、ぶら下げておくと長持ちするんだぞ。
内心、プンスコしている私に、助手君は恐る恐る言った。
「姫様、これはもうダメなバナナですよ?」
「ダメじゃないでしゅ。これは、こうするでしゅよ」
てぃっ! と私はバナナ一房分の皮をむいて全て中身を出す。
助手君はアワワという顔をしたが、無視だ無視。
別の器の中に、私は粘土のようにバナナを潰していく。
ちゃんと事前に黒味はとって、キレイな部分だけを使用していく。
「ア~ちゃん、食べ物で遊んじゃいけません」
「違うでしゅ、これは準備でしゅよ」
「お兄ちゃんも、それなら手伝えたと思うんだが」
「大丈夫でしゅ。アタチが頑張るでしゅ」
むしろ邪魔になりそうなんだわ、そこで黙って見ててくれ。
真剣な目で、私は必死で腕を調理台に伸ばして作業に没頭する。
「なんと健気な」
「可愛すぎるだろう、我が娘よ」
外野は無視して、どんどん潰すよ!
器の中に、荒く粘土みたいな潰れたバナナが出来上がる。
小さな手でグシグシと潰したバナナを、今度は小さな玉にするよ。
ノリノリになってきた私は、即興で歌を歌う。
「牛はモーモー、モーモーとなぁ~く」
「ア~ちゃんは歌も上手だね」
「天使の歌声だ、流石は私の妹だ」
「か、可愛すぎます姫様」
小さなお尻を振りながら、私は歌い笑顔で作業する姿に、周囲はデロデロだ。
うん、駄犬はあくびしてやがるが、残りの奴らのハートはきっちり抑えたぞ。
そうして作業を進めて、あの不要だったバナナから、小粒のバナナボールがいくつも出来た。大きさはビー玉程度かな? 頑張ってコネコネしました。
幼子の手で作った小さな玉は、きっと良いアクセントになるだろう。
「どぼーん!」
ポチャポチャと牛乳に投入!
ドロドロの手は、せっせと兄が拭いてくれた。よい仕事をするなあ。
褒めて遣わす。
「甘いー甘いーお砂糖をさーらさら」
掴んで砂糖をぶち込んで、最後に少しの塩も入れる。
「レモンのはしっこ、切ったのあったでしゅよね? あれ欲しいでしゅ」
「あれは、不要部分で捨てるやつですよ?」
「いいから欲しいでしゅ!」
勿体ない事をするんじゃない。飾りとしては不要でも、まだ少量の果汁があるはずだ。
「そういえば、とーたんはどんなスキルなんでしゅか?」
「ん? ああ、ハチミツを出せるんだが、一日ティースプーン一杯が限度じゃな」
「王のハチミツは濃度が高くて、私も好きだな」
狼の推薦がついたよ。
私は父のスキルに体が震えた。
「しかし、あまりスキルの内容は、人に知らしめるものではない。どこでどう利用されるかも知れない……」
何か言ってるが、私は聞いちゃいない。
感激のあまりに、私は叫んだ。
「す……素敵すぎるでしゅ~っ!」
「そ、そうか?」
だってハチミツだよ? あのお高いハチミツなんだよ?
「ローヤルゼリーは出せないんでしゅか?」
「ローヤル? なんだそれは?」
小首をかしげる父に、チッと舌打ちする。
美容と金儲けから少し遠ざかってしまった。
まあいい、この瞬間から、父はいかついオッサンだけでなく、貴重な調味料の一つとしてくわえられた。
私の目の前には、大きめの器に牛乳が満たされ、プカプカとバナナボールが浮かんでいる。
本当ならば、繊細な計量をしたのちに材料を投入するものなのだが、まあ私のスキルで補正がかかるので、なんちゃってでも大丈夫だろう。
教会にいた頃は、食材すらロクになく、ましてや調理など手伝い程度のアイドル枠だったので、ここまで好きにできた事がないんだよね。
久しぶりの手作りに、嬉しさを噛み締めた。
「では、いくでしゅ! おいちくなーれっ!」
パッと輝く黄金の光に、皆が目を一瞬つぶった。
そして、開くと、ハイ出来上がり。
「バナナヨーグルトでしゅ!」
「バナナ! ヨーグルト!」
「バーニャーニャー! はい、バーニャーニャー!」
パンパンと手を打ち鳴らしながら、私の掛け声に皆が続く。
「バーニャーニャー! バーニャーニャー!」
この果物は栄養満点で、皆にはもっと知ってほしい。
バナナは万能だ。皆はバーニャーニャーと崇めた方がいい。
手に握ったスプーンをタクト代わりに振り回して、狼までが嬉し気に声を上げて盛り上がっていた。
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待ちきれないのはわかるんだけど、とりあえずステイ!
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