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第2章 王子と私
第19話 初めまして、あなたの僕です
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「王子、まだこの子には何も話をしていないのだが」
「ならば僕から説明します」
「いや、あのだな」
「そういうお約束だったはずです」
スクッと立ち上がったシュなんちゃら王子が、いかつい父に盾ついた。
お? 勇気あるな、もっとやれ。
ワクワクした私を置いて、王子は私の手を取った。
「じゃあ、少し二人っきりにして下さい」
「王子……その子はまだ幼い」
「僕たちは子供です。心配はいりませんよ。少しだけ時間を下さい」
「決して無理強いをしないと、約束してくれるか?」
「はい、精霊に誓って」
この言葉に、渋々と父は席を立つ。
チラチラと名残惜し気に去って行く父に向かって、私は元気よく手を振った。
心配しなくても、私の熱烈なファンが増えたって事でしょ? 任せとけ!
ガキの扱いには慣れたもんよ。
と、余裕ぶってられたのは、ここまででした。
周囲に誰もいなくなったのを確認して、王子は私をダッコして椅子に座らせた。
そして、突然座った私を思い切り抱きしめた。
「むぎゅぅ!」
「会いたかった! やっと会えたんだ! やっと、やっとだ!」
「ギブ、ギブギブ!」
苦しいって! 何すんだこのガキ!
必死にペチペチと暴れたら、やっと気づいたらしく、慌てて離れてくれた。
「おさわり禁止でしゅ!」
「あははっ、本当に別人みたいだ。でも、元気なところは昔のままかな?」
「何言ってるでしゅか!」
謝罪と賠償を請求するぞゴラ!
プンスコする私と違って、王子は今度は泣き始めた。
「ずっと、ずっと待ってたんだ。女神様に頼んだあの時から、今度こそは僕が君を守りたくて、無理言って時間をズラして貰って三年早く生まれて待ってたんだよ」
「何言ってるでしゅか?」
「あれ、まゆまゆも女神様に会ったんじゃないの?」
「……まゆまゆ……」
「そうだよ、僕だよ! もしかして前世の記憶ないのかな?」
この子は可哀そうな病気の子なのか? 否! 今、私を何と呼んだ?
「困ったな、まゆまゆも記憶があるって聞いてきたんだけど」
「誰が?」
「だから、この世界の女神様だよ」
さも当然でしょ? という顔の王子に私は確認した。
「あなたのお名前、なんてーの?」
「僕の以前の名前は、石田修治、享年九十八歳でした」
「しゅ――――さん!!」
「はいよ、まゆまゆ――っ!」
まさかまさかで、信じられない!
こんな事があるのだろうか? いや、あるかも知れない。
だって、現実に私がここにいるのが証拠だ。
私だけではなく、別の人間がこの世界に転生していても、おかしくはないのだが。
だが、まさか、前世の夫が王子に転生?
「本当に本当に本当?」
「うんうん、本当に本当に本当」
「信じられないっ!」
私はビシッと、鼻先に指を突きつけて警戒した。
今まさに、私に抱き着こうとした王子は固まった。
「騙されないからねっ、何か証明できる事は!」
「あははっ、相変わらず用心深いなぁ」
ポリポリと頭をかいて、王子は一度空を見た。
そして、大きくため息をつく。
「初めて告白したのは、夕日の綺麗な神社だったよね?」
「うぉっ!」
ビクンと私は少しのけぞった。
当たってる……。
「君に、この先どんな苦労も幸せも一緒に過ごしたいって告白したんだ。なのに結婚して、僕のせいで借金で苦労させた」
「ううっ……」
「僕が謝るたびに、君に叱られたよね。だから、僕は君が亡くなったあとに凄く後悔したんだ……もっと、もっと君を幸せにできたんじゃないかってね」
「ちなみに、死亡原因は老衰?」
「餅詰まらせちゃって」
テヘヘじゃないよ、何してんだよ馬鹿。
だから、年寄りに餅は凶器だから、気をつけろって言ったじゃないか!
「僕の無念からか、女神様に拾われてね。なんでも、まゆまゆがこの世界に転生したとかで、だったら僕も転生させてくれって頼んだんだ」
「なんでまた、そんな」
「だって、今度こそ僕が君を守りたかったから。前世も幸せだったけど、もっと男らしく今度こそは、君のために尽くしたいんだ」
「しゅーさん」
「信じてくれた?」
私はいつの間にか泣いていたらしい。
ソッと彼は王子らしく、優雅な動きで私の顔を拭いてくれた。
「はい、お鼻チーンってして」
「んーっ」
「はい、綺麗になりました」
「んで、わざわざ私の為に転生してきて何するの?」
「とりあえず、まゆまゆと結婚して、女神様との約束を守らないと」
「約束?」
いそいそと私の世話をする王子こと、しゅーさんが言う。
「前世は覚えてるみたいだね」
「うん」
「女神様は覚えていないと」
「まったく」
「みたいだねえ。まあ女神様も、話しかけても遺産がどーのって話聞いてくれなかったって言ってたしなあ」
そこで私はふと、狼のアールの言葉を思い出した。
『まあ、本当は転移に失敗したらしいけど?』
「そうだ! 私は失敗された聖女のなりそこないなんだ!」
「ん?」
ん? じゃねーんだわ。
「ならば僕から説明します」
「いや、あのだな」
「そういうお約束だったはずです」
スクッと立ち上がったシュなんちゃら王子が、いかつい父に盾ついた。
お? 勇気あるな、もっとやれ。
ワクワクした私を置いて、王子は私の手を取った。
「じゃあ、少し二人っきりにして下さい」
「王子……その子はまだ幼い」
「僕たちは子供です。心配はいりませんよ。少しだけ時間を下さい」
「決して無理強いをしないと、約束してくれるか?」
「はい、精霊に誓って」
この言葉に、渋々と父は席を立つ。
チラチラと名残惜し気に去って行く父に向かって、私は元気よく手を振った。
心配しなくても、私の熱烈なファンが増えたって事でしょ? 任せとけ!
ガキの扱いには慣れたもんよ。
と、余裕ぶってられたのは、ここまででした。
周囲に誰もいなくなったのを確認して、王子は私をダッコして椅子に座らせた。
そして、突然座った私を思い切り抱きしめた。
「むぎゅぅ!」
「会いたかった! やっと会えたんだ! やっと、やっとだ!」
「ギブ、ギブギブ!」
苦しいって! 何すんだこのガキ!
必死にペチペチと暴れたら、やっと気づいたらしく、慌てて離れてくれた。
「おさわり禁止でしゅ!」
「あははっ、本当に別人みたいだ。でも、元気なところは昔のままかな?」
「何言ってるでしゅか!」
謝罪と賠償を請求するぞゴラ!
プンスコする私と違って、王子は今度は泣き始めた。
「ずっと、ずっと待ってたんだ。女神様に頼んだあの時から、今度こそは僕が君を守りたくて、無理言って時間をズラして貰って三年早く生まれて待ってたんだよ」
「何言ってるでしゅか?」
「あれ、まゆまゆも女神様に会ったんじゃないの?」
「……まゆまゆ……」
「そうだよ、僕だよ! もしかして前世の記憶ないのかな?」
この子は可哀そうな病気の子なのか? 否! 今、私を何と呼んだ?
「困ったな、まゆまゆも記憶があるって聞いてきたんだけど」
「誰が?」
「だから、この世界の女神様だよ」
さも当然でしょ? という顔の王子に私は確認した。
「あなたのお名前、なんてーの?」
「僕の以前の名前は、石田修治、享年九十八歳でした」
「しゅ――――さん!!」
「はいよ、まゆまゆ――っ!」
まさかまさかで、信じられない!
こんな事があるのだろうか? いや、あるかも知れない。
だって、現実に私がここにいるのが証拠だ。
私だけではなく、別の人間がこの世界に転生していても、おかしくはないのだが。
だが、まさか、前世の夫が王子に転生?
「本当に本当に本当?」
「うんうん、本当に本当に本当」
「信じられないっ!」
私はビシッと、鼻先に指を突きつけて警戒した。
今まさに、私に抱き着こうとした王子は固まった。
「騙されないからねっ、何か証明できる事は!」
「あははっ、相変わらず用心深いなぁ」
ポリポリと頭をかいて、王子は一度空を見た。
そして、大きくため息をつく。
「初めて告白したのは、夕日の綺麗な神社だったよね?」
「うぉっ!」
ビクンと私は少しのけぞった。
当たってる……。
「君に、この先どんな苦労も幸せも一緒に過ごしたいって告白したんだ。なのに結婚して、僕のせいで借金で苦労させた」
「ううっ……」
「僕が謝るたびに、君に叱られたよね。だから、僕は君が亡くなったあとに凄く後悔したんだ……もっと、もっと君を幸せにできたんじゃないかってね」
「ちなみに、死亡原因は老衰?」
「餅詰まらせちゃって」
テヘヘじゃないよ、何してんだよ馬鹿。
だから、年寄りに餅は凶器だから、気をつけろって言ったじゃないか!
「僕の無念からか、女神様に拾われてね。なんでも、まゆまゆがこの世界に転生したとかで、だったら僕も転生させてくれって頼んだんだ」
「なんでまた、そんな」
「だって、今度こそ僕が君を守りたかったから。前世も幸せだったけど、もっと男らしく今度こそは、君のために尽くしたいんだ」
「しゅーさん」
「信じてくれた?」
私はいつの間にか泣いていたらしい。
ソッと彼は王子らしく、優雅な動きで私の顔を拭いてくれた。
「はい、お鼻チーンってして」
「んーっ」
「はい、綺麗になりました」
「んで、わざわざ私の為に転生してきて何するの?」
「とりあえず、まゆまゆと結婚して、女神様との約束を守らないと」
「約束?」
いそいそと私の世話をする王子こと、しゅーさんが言う。
「前世は覚えてるみたいだね」
「うん」
「女神様は覚えていないと」
「まったく」
「みたいだねえ。まあ女神様も、話しかけても遺産がどーのって話聞いてくれなかったって言ってたしなあ」
そこで私はふと、狼のアールの言葉を思い出した。
『まあ、本当は転移に失敗したらしいけど?』
「そうだ! 私は失敗された聖女のなりそこないなんだ!」
「ん?」
ん? じゃねーんだわ。
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