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第3章 ディラン王国へ
第29話 出発進行でしゅ!
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父が渋々ながら、ディラン王国へ行く事を許可してくれた。
それが皆に知れ渡り、城内はちょっとした騒ぎとなった。
ともかく我が国からの同行者は、兄と私と駄犬。
しゅーさんは自国より少人数でお忍び訪問だったらしく、こちらの馬車一台と、あちらの二台での旅路となった。
私の国のスターツ王国は、山々に囲まれた高地の小さな国だ。
世界の西に位置する牧歌的な国。
草原では家畜が飼われ、麦の生産や山の恵みで自給自足のつつましい生活を送っている。
国としては、派手さもなく地味なレベルだが、この国ももれなく精霊の力が弱まり、収穫が減っていくとともに、貧しい時代が訪れていた。
だから、私のいたような孤児たちを集めた教会が増えていく。
この国が全ての始まり。神話の始まりの国なのだ。
聖女が降臨して、初めて作った国がここなのだが、歴史が古いだけでご飯は食べていけない。
名産物も、織物とかチーズとかで、もっと派手で儲かるものはないものかと考えていた矢先の旅立ちだ。
金がない辛さは私が一番知っているからね。なんとか経済改革できたらなあ。
だからこそ儲けの種を撒いておいて、あとで収穫する計画だった。
調理室で皆と色々と開発に励んでいたんだよ。
……純粋に、美味しいもの食べたいってのもあったけどね。
とりあえず今のところは、ウスターソースだけなんだけど、今度こそは……ウヒヒと私は馬車の中で忍び笑いをした。
「どうしたの? まゆまゆ」
「大豆があるんでしょ? はやく欲しいなって」
「ああ、なんとなく何を作るかわかったよ」
「米が希少品なのが悔しいね」
「あれは北の国の名産品だけど、あの国も凶作だったらしいしね」
車内は私としゅ-さんだけ。これは私がゴネまくったから。
馬車の外では、一応護衛騎士としてアールが馬でカッポカッポとついてきている。
もう一台の馬車には、私が拒否したせいで、一人スネた兄が引きこもっている。
この世界は東西南北に四つに分かれている。
私の国は西、そして今から行くしゅーさんの国ディラン王国は東。
ディランは軍事に強い国で、国民気質は情熱だそうだ。
ああ、ファイヤーね……と遠い目をしてしまう。
燃え上がってしまえ。
ディラン王国は、豆や地中の放置系の作物がメインだそうだ。
カボチャとかジャガイモとか。根菜大好き。
何より、鳥や猪の肉が名物で、肉料理が好きな精霊と共に、国民達も肉でスタミナをつけるらしい。
「ワイルドだねぇ」
「みんな元気だよ」
けれど、最近は森に魔物が住みついて、野生動物たちも減ってきて大変らしい。
なんとか討伐に励んでいるが、魔物の数が増えるばかりだそうだ。
確かに噂では、うちの国にも魔物が出たとは聞いたものの、やっぱり山に囲まれているからか、魔物は風に吹かれて排除されていたらしい。
この辺りの雑な仕事ぶりに、うちの精霊様の性格がにじみ出ています。
「とりあえず、我が国はあなたを歓迎します。アリアナ姫」
「ありがとうでしゅ! ええっと……」
「シュヴァルツです」
「チュバルツ」
「シュヴァルツ、シュヴァ、ヴァだよ」
「しゅーさん」
「はいよ、それでいいよ」
「とりあえず皆の前では、アタチも子供でしゅからね」
「うんうん」
石田まゆみは死んだのだ、だが、魂は不滅!
私はスターツ王国の頂点に位置する王女、アリアナ・スターツ様である! えっへん!
片道一日かけて国の端に着くと、今度は山を下りるのに一日、そしてディランの国境に入って首都につくまで一日の、片道三日間の旅だった。
幸いにも天候には恵まれたが、一日目は無事に宿屋で終了。
問題の二日目の山の下りは、途中の森で魔物が出た。
初めて見る魔物に大興奮だったが、私にいい所を見せようとする兄にアールは
「こんな森の中で迷子になられたら面倒ですから、とっとと引っ込んでいてください!」
さっさと剣で、現れた熊みたいな牙の生えたデカイやつを倒してしまった。
刺激が強いからと皆が隠そうとしたが、私は興奮しながら馬車の窓から手を叩いて拍手した。
首を一発で切られた熊の胴体は、大人の二倍はある大きさだ。
これ食べれないのかな? とワクワクしているアールには申し訳ないが、流石に他国の護衛の人間が少数とはいえ傍にいる。
私のスキルを出すわけにはいかないと、首をふると、悲し気にしょげていた。
……お前、精霊だよな?
熊は土に埋めて、王族専用に作られた休養施設に宿泊して、二日目は終わった。
そして、生まれて初めての国境は小さな門をくぐるだけ。
「まあ基本的に、この世界は戦争はまだないからね」
「平和でいいことだ」
「今のところはね。でもまゆまゆのスキルを独占したら、世界を手に入れるのも容易いかもね」
「あははっ。私がそんな簡単に、他人に利用されるわけないじゃん」
しゅーさんは、真剣な顔をして言った。
「忘れないで。君は、今は小さな女の子なんだからね」
それが皆に知れ渡り、城内はちょっとした騒ぎとなった。
ともかく我が国からの同行者は、兄と私と駄犬。
しゅーさんは自国より少人数でお忍び訪問だったらしく、こちらの馬車一台と、あちらの二台での旅路となった。
私の国のスターツ王国は、山々に囲まれた高地の小さな国だ。
世界の西に位置する牧歌的な国。
草原では家畜が飼われ、麦の生産や山の恵みで自給自足のつつましい生活を送っている。
国としては、派手さもなく地味なレベルだが、この国ももれなく精霊の力が弱まり、収穫が減っていくとともに、貧しい時代が訪れていた。
だから、私のいたような孤児たちを集めた教会が増えていく。
この国が全ての始まり。神話の始まりの国なのだ。
聖女が降臨して、初めて作った国がここなのだが、歴史が古いだけでご飯は食べていけない。
名産物も、織物とかチーズとかで、もっと派手で儲かるものはないものかと考えていた矢先の旅立ちだ。
金がない辛さは私が一番知っているからね。なんとか経済改革できたらなあ。
だからこそ儲けの種を撒いておいて、あとで収穫する計画だった。
調理室で皆と色々と開発に励んでいたんだよ。
……純粋に、美味しいもの食べたいってのもあったけどね。
とりあえず今のところは、ウスターソースだけなんだけど、今度こそは……ウヒヒと私は馬車の中で忍び笑いをした。
「どうしたの? まゆまゆ」
「大豆があるんでしょ? はやく欲しいなって」
「ああ、なんとなく何を作るかわかったよ」
「米が希少品なのが悔しいね」
「あれは北の国の名産品だけど、あの国も凶作だったらしいしね」
車内は私としゅ-さんだけ。これは私がゴネまくったから。
馬車の外では、一応護衛騎士としてアールが馬でカッポカッポとついてきている。
もう一台の馬車には、私が拒否したせいで、一人スネた兄が引きこもっている。
この世界は東西南北に四つに分かれている。
私の国は西、そして今から行くしゅーさんの国ディラン王国は東。
ディランは軍事に強い国で、国民気質は情熱だそうだ。
ああ、ファイヤーね……と遠い目をしてしまう。
燃え上がってしまえ。
ディラン王国は、豆や地中の放置系の作物がメインだそうだ。
カボチャとかジャガイモとか。根菜大好き。
何より、鳥や猪の肉が名物で、肉料理が好きな精霊と共に、国民達も肉でスタミナをつけるらしい。
「ワイルドだねぇ」
「みんな元気だよ」
けれど、最近は森に魔物が住みついて、野生動物たちも減ってきて大変らしい。
なんとか討伐に励んでいるが、魔物の数が増えるばかりだそうだ。
確かに噂では、うちの国にも魔物が出たとは聞いたものの、やっぱり山に囲まれているからか、魔物は風に吹かれて排除されていたらしい。
この辺りの雑な仕事ぶりに、うちの精霊様の性格がにじみ出ています。
「とりあえず、我が国はあなたを歓迎します。アリアナ姫」
「ありがとうでしゅ! ええっと……」
「シュヴァルツです」
「チュバルツ」
「シュヴァルツ、シュヴァ、ヴァだよ」
「しゅーさん」
「はいよ、それでいいよ」
「とりあえず皆の前では、アタチも子供でしゅからね」
「うんうん」
石田まゆみは死んだのだ、だが、魂は不滅!
私はスターツ王国の頂点に位置する王女、アリアナ・スターツ様である! えっへん!
片道一日かけて国の端に着くと、今度は山を下りるのに一日、そしてディランの国境に入って首都につくまで一日の、片道三日間の旅だった。
幸いにも天候には恵まれたが、一日目は無事に宿屋で終了。
問題の二日目の山の下りは、途中の森で魔物が出た。
初めて見る魔物に大興奮だったが、私にいい所を見せようとする兄にアールは
「こんな森の中で迷子になられたら面倒ですから、とっとと引っ込んでいてください!」
さっさと剣で、現れた熊みたいな牙の生えたデカイやつを倒してしまった。
刺激が強いからと皆が隠そうとしたが、私は興奮しながら馬車の窓から手を叩いて拍手した。
首を一発で切られた熊の胴体は、大人の二倍はある大きさだ。
これ食べれないのかな? とワクワクしているアールには申し訳ないが、流石に他国の護衛の人間が少数とはいえ傍にいる。
私のスキルを出すわけにはいかないと、首をふると、悲し気にしょげていた。
……お前、精霊だよな?
熊は土に埋めて、王族専用に作られた休養施設に宿泊して、二日目は終わった。
そして、生まれて初めての国境は小さな門をくぐるだけ。
「まあ基本的に、この世界は戦争はまだないからね」
「平和でいいことだ」
「今のところはね。でもまゆまゆのスキルを独占したら、世界を手に入れるのも容易いかもね」
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