転生幼女は発酵スキルで、異世界に和食革命を起こす!味噌、醤油、酢を作って餌付けしたら、いつの間にか世界に名が轟いていた件

西野和歌

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第2章 王子と私

第28話 お出かけしたいでしゅ

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「何か隠してる? アール」
「いや、今回は別に私が行かなくてもいいかなーって?」
「エバ様は、ぜひこちらの精霊様にも会いたいと申しておりました」
「誰が会うか、あの乳デカ女なんぞに!」

 必死で拒絶するアールに、あれれ? と思う。
 こいつ、うちの教会のシスター口説いてた、女好きなはずなんだけどな?

「爆乳好きじゃん、シスター口説いてたのに。ははーん、もしかして弄ばれたとか?」
「違う! あいつはしつこいんだ!」
「狼が鳥に負けるって、笑える」
「仕方ないよ、まゆまゆ。精霊様だって哀れな男なんだから」
「てめぇーら! おうよ行ってやるよ!」

 わーい! とりあえず護衛確保。ついでにあっちの精霊と、何か揉めたら生贄に使えそう!
 という事で、方針が決まりました。

 とりあえず、しゅーさんの国『ディラン王国』に行って、鳥の精霊エバ様を餌付けしよう大作戦だ! お土産は狼をご提供させて頂きます。はい。

 それにしてもと、改めて横に座って私を見つめるしゅーさんを見つめる。

「しゅーさん変わったねぇ」

 六歳児にしてはしっかりしている王子として、国では有名らしい。
 まあ、中身はじじぃだからね。

 赤い髪と新緑の瞳、これはあれだ。

「ラノベみたいな色と美少年だねぇ」
「ふふっ、まゆまゆも天使みたいな金髪フワフワの青い目で、お人形さんみたいだよ?」
「前は菊人形だったけど、今度は赤い靴履いてそうだもんね」

 互いの容姿は変わっても、中身はあまり変わっていないらしい。

 とりあえず、四大精霊の二匹目の、鳥エバの餌付けに向かう事にする。
 うちの狼が『風』を司り、しゅーさん家の鳥は『火』だそうだ。
 ちなみに、永遠の命は無理だそうだ。

「という事は、契約すれば、いでよファイヤーが出来る?」
「エバが契約を引き受けたらな」
「しゅーさんは契約してるの?」
「ううん、僕は大人になったら検討するって言われてるよ」
「ケチケチしないで契約すりゃいいのに」
「そりゃ、力を分けるんだから簡単にはいかんわな」

 アール直々の言葉に、へーと感心する。
「契約したこっちも、お前らが死ぬまで力を分け続けるって意味もあるんだ。今の状況下なら契約も慎重になるだろ? ましてや、契約したら精霊の力が使えるんだからな」

 ふんっ! 偉そうに。人の事を騙し打ちで契約した癖に何言ってるんだ。
 腕汲んでこっちを笑うアールも、黙っていたら男前なんだが中身がダメだ。
 まだうちの兄ちゃんの方が、人が良いだけに扱いやすいのだ。

 しかし、女神様に無条件で従うわけでない精霊にもビックリだが、ドジな女神みたいだし、理由もちゃんとあるんだろうね。
 まあ、どうでもいいかと、私たちは父に隣国に行きたい旨を伝える事にした。

 執務室にいた父と、ついでに辿り着いたらしい兄がいた。
 父の第一声はこうだ。

「まだ旅行は早いです!」
「ぴえん」

 この過保護国王め。
 涙でプルプル震える、幼子の姿を見て何も感じないのか!
 あぅあぅ言ってるな。
 ダメージはくらってるみたいだが、まだまだ!

「おいちぃ物を食べに行くだけでしゅよ!」
「だけどなア~ちゃん、流石にまだ小さいのに、そんな遠くに行かせるわけには」
「結婚するでしゅ! ディラン見たいでしゅ!」
「結婚はまだ確定じゃありません! お父さんと結婚しよう!」
「いかついオッサンは嫌でしゅ!」

 ぴえんぴえんと、泣いたのだが、今回はなかなか手ごわい。
 執務室は、私と父の対決となり、しゅ-さんはオロオロ、アールはよそ見してる。
 ちなみに、兄は私の隣に立ち、ソッと泣く私を抱き上げた。
 もう、お前しか頼りにならんよ、加勢してくれ。

「ほら泣かないでアーリー。父上、結婚はともかく婚約の約束は果たされるべきです」
「わかっておる。だが、あちらに行くのは話が違う」
「この子のスキルと、新しい食べ物への要求は、きっと何か意味があるに違いありません」

 おっ? おおっ? 冴えてるな兄ちゃん、もしかして実は、そこまで馬鹿じゃないのか?
 私は、もっと味方しろと、首にぎゅっと腕を回して力を込めた。
 よしよしとばかりに、私の背をポンポンと叩かれる。
 もしや、兄はいい奴なのでは?

「私もついて行きます」
「しかしなぁ、シリウス」
「ディラン王国に直接行って、まずはアーリーの情報の礼を伝えねばなりません。それと……」
「それと?」
「実際に、アーリーのスキルについて、王家同士の協力は必要です。あくまで協力という形であれ、多少は提供しておかないと、争いの種になるかと」
「ふむ、ア~ちゃんを交渉の道具には使いたくはないのだが」
「狙われる位なら、最初から恩を売ればいいのです」

 汚い大人の話だなぁ……。まあ、私ならできうる限りの高値で売りつけるけどね。

「ともかく私が付き添います。あちらの精霊様への挨拶は必要でしょう」
「仕方あるまい、ア~ちゃん寂しいぞ」
「耐えるでしゅ、とーたん大好き」

 いかつい父にスリスリされた。私は兄に抱かれていた為に、逃げるのに失敗した。
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