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第3章 ディラン王国へ
第31話 田中さんは姉御肌でしゅ
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そのまま森を抜けるまでも、実はチョコチョコと魔物が現れたが、蜂ほどではなく、アール達が撃退してくれた。
「スキルの魔力に魔物が引き寄せられるそうですが、行きはこれ程ではありませんでした」
しゅーさんだけの時と違って、今は兄を含めて三人もいるのだ。
この辺りの魔物ホイホイとして、絶賛稼働中である。
「しかし騎士殿、お強いですな。流石は王子付きの護衛騎士だ」
「それ程でも、あっはっは」
謙遜しろよ馬鹿犬。
だか、あきらかにアールの力も消失している。
アールが事前に教えてくれたが、自分の領土を出ると力の減りが早いらしい。
私は馬車の中、しゅ-さんと二人きりなのをいい事に、保存食の入った小袋に手を突っ込んだ。
「しゅーさん、アールのご飯作るよ。ちょっと消耗してるっぽいから」
なんとなく契約してから、意識を向けたらアールの気配がわかるようになった。
今のアールは、留守にしているうちの国の加護に、パワー半分を使いつつ、残りの半分で動いている状態だ。
ただ普通に活動するだけでも、ガンガンと減っていく力と、戦闘により人として戦うだけでもガッツリとパワーは消耗してる様子と感じられた。
もっと全盛期の力があれば、こんなに弱くなる事もなかっただろう。
なんとか、私のご飯で元気づけてあげたいと、私は小袋の中の硬いブロックパンを指でつまむ。
これは騎士専用の非常食で、一口サイズで硬いのだが腹もちがいいやつだ。
「おいちくなーれっ!」
一瞬だけ袋の中が光る。
少し光が漏れたが一瞬だ。もともと硬いパンの発酵が進んだところで、香ばしさと吟味の深みが増した程度。ないよりはマシだろう。
「王子、何かありましたか?」
敏いしゅーさんの護衛が、声をかけてくれた。
「いや、僕が少しスキルを使ったんだ。これを、スターツの護衛騎士に渡してくれ」
私が力を込めたプロックパンを、しゅーさんを通して、アールに渡して貰った。
先ほどの戦闘で、何人か負傷したので、兄が後方の馬車を明け渡して、ケガ人を乗せている。
幸いにも兄やアールはケガはないので、二人は馬車に乗っていた。
こちらを見て何かいいたそうな兄に、私は投げキッスを可愛く送ってあげると、悶えて照れていたので、とっとと馬車の窓は閉じた。
反対の窓を見よう。うん。
こちら側では、プロックパンをガシガシと、眉間にシワを寄せて食べているアールがいた。
一瞬目が合った時に、何か文句言いたそうな顔をしていたので、アカンベーと舌を出してやり、私は大人しくしゅーさんの隣に座りなおした。
「思ったより魔物がいる。今は僕たちに引き寄せられているとしても、力のない人たちが魔物に対抗できるとは思えない」
「うん」
「僕は確かに、この国の王子だから国を守りたい。でも、それ以上に人が苦しむのは見たくないんだ」
「しゅーさんは、昔から平和主義者だもんねぇ」
そして、争いごとが嫌いだ。
子供の運動会ですら本当は足が速いのに、目立ちたくないと、あえて二等を狙うような人なのだ。
ちなみに私は、景品目当てに子供を蹴散らして前に出るよ。
空は青く、森の木々は綺麗で、山の幸にも恵まれている。
何度か山菜や木の実を見つけて、馬車をとめて採取させろと言ったのだが、魔物が出るからダメだと却下された。
私は魔物は滅するべきだと、心から誓った。
「それにしても、凄くマズそうに食べてるね。まゆまゆの精霊様は」
「人の味覚と一緒で、美味しい、美味しくないがあるらしいよ?」
「どんな違いだろう?」
「まあ、精霊の好みもあるらしいけど、やっぱり美味しいって感じた方が、取り入れられる力も多いって言ってた。同じの食べ続けても、飽きたら美味しく感じなくなったりとか、ただの我がままな気がするけどね」
「うちのエバ様は肉が好きだけど、確かに色んな肉料理を食べたいって言ってるよ」
私は参考までに聞いてみた。
「ところで、どんな肉料理が好きなの?」
「煮込みとか、手が加えられた物より、素朴で味付けの濃いめが好きだね」
「ワイルドな女性だなあ、それで火の鳥なんだよね」
「この国の紋章は鳥だしね。みんなは、鳥を神聖な生き物だと思ってるよ」
「なら、鳥は食べない?」
んーと、しゅーさんは顎に手を当てて苦笑した。
「むしろ、鳥をよく食べるかな? 鳥は僕たちの国の名産の豆をよく食べるしね」
「そうだ! 大豆!」
「うん。こっちの大豆は、誰も調理が得意じゃなくって、鳥の餌にされている事が多いよ」
「勿体ない! 畑の肉だよ大豆は!」
アレも作れる、これも出来る。だが、あくまで添え物のスープの具材とか、豆のままの料理しかないらしい。
ああ、勿体ない。
私の一番の目的は大豆。
アールやエバとかいう精霊の餌付けは後回し。とにかく大豆が欲しい!
「エバ様がさっき助けてくれたんだ。君たちを歓迎してるって事。だから仲良くしてね」
「ちなみに、どんな女なの?」
「んーと、美女だよ? 見た目は若い女性で、年頃は若く見えて……」
「違う違う、性格の話」
うちの精霊みたいに、捻くれてたら面倒だ。
聞いているのは、美女で胸が大きい情熱的な火の玉女とだけ。
「ええっと、タイプでいえば……ほら、ご近所の地区長だった、田中さんの奥さんみたいな感じかな?」
「ああ、世話焼きタイプの姉御肌ね、了解」
心から納得した。
「スキルの魔力に魔物が引き寄せられるそうですが、行きはこれ程ではありませんでした」
しゅーさんだけの時と違って、今は兄を含めて三人もいるのだ。
この辺りの魔物ホイホイとして、絶賛稼働中である。
「しかし騎士殿、お強いですな。流石は王子付きの護衛騎士だ」
「それ程でも、あっはっは」
謙遜しろよ馬鹿犬。
だか、あきらかにアールの力も消失している。
アールが事前に教えてくれたが、自分の領土を出ると力の減りが早いらしい。
私は馬車の中、しゅ-さんと二人きりなのをいい事に、保存食の入った小袋に手を突っ込んだ。
「しゅーさん、アールのご飯作るよ。ちょっと消耗してるっぽいから」
なんとなく契約してから、意識を向けたらアールの気配がわかるようになった。
今のアールは、留守にしているうちの国の加護に、パワー半分を使いつつ、残りの半分で動いている状態だ。
ただ普通に活動するだけでも、ガンガンと減っていく力と、戦闘により人として戦うだけでもガッツリとパワーは消耗してる様子と感じられた。
もっと全盛期の力があれば、こんなに弱くなる事もなかっただろう。
なんとか、私のご飯で元気づけてあげたいと、私は小袋の中の硬いブロックパンを指でつまむ。
これは騎士専用の非常食で、一口サイズで硬いのだが腹もちがいいやつだ。
「おいちくなーれっ!」
一瞬だけ袋の中が光る。
少し光が漏れたが一瞬だ。もともと硬いパンの発酵が進んだところで、香ばしさと吟味の深みが増した程度。ないよりはマシだろう。
「王子、何かありましたか?」
敏いしゅーさんの護衛が、声をかけてくれた。
「いや、僕が少しスキルを使ったんだ。これを、スターツの護衛騎士に渡してくれ」
私が力を込めたプロックパンを、しゅーさんを通して、アールに渡して貰った。
先ほどの戦闘で、何人か負傷したので、兄が後方の馬車を明け渡して、ケガ人を乗せている。
幸いにも兄やアールはケガはないので、二人は馬車に乗っていた。
こちらを見て何かいいたそうな兄に、私は投げキッスを可愛く送ってあげると、悶えて照れていたので、とっとと馬車の窓は閉じた。
反対の窓を見よう。うん。
こちら側では、プロックパンをガシガシと、眉間にシワを寄せて食べているアールがいた。
一瞬目が合った時に、何か文句言いたそうな顔をしていたので、アカンベーと舌を出してやり、私は大人しくしゅーさんの隣に座りなおした。
「思ったより魔物がいる。今は僕たちに引き寄せられているとしても、力のない人たちが魔物に対抗できるとは思えない」
「うん」
「僕は確かに、この国の王子だから国を守りたい。でも、それ以上に人が苦しむのは見たくないんだ」
「しゅーさんは、昔から平和主義者だもんねぇ」
そして、争いごとが嫌いだ。
子供の運動会ですら本当は足が速いのに、目立ちたくないと、あえて二等を狙うような人なのだ。
ちなみに私は、景品目当てに子供を蹴散らして前に出るよ。
空は青く、森の木々は綺麗で、山の幸にも恵まれている。
何度か山菜や木の実を見つけて、馬車をとめて採取させろと言ったのだが、魔物が出るからダメだと却下された。
私は魔物は滅するべきだと、心から誓った。
「それにしても、凄くマズそうに食べてるね。まゆまゆの精霊様は」
「人の味覚と一緒で、美味しい、美味しくないがあるらしいよ?」
「どんな違いだろう?」
「まあ、精霊の好みもあるらしいけど、やっぱり美味しいって感じた方が、取り入れられる力も多いって言ってた。同じの食べ続けても、飽きたら美味しく感じなくなったりとか、ただの我がままな気がするけどね」
「うちのエバ様は肉が好きだけど、確かに色んな肉料理を食べたいって言ってるよ」
私は参考までに聞いてみた。
「ところで、どんな肉料理が好きなの?」
「煮込みとか、手が加えられた物より、素朴で味付けの濃いめが好きだね」
「ワイルドな女性だなあ、それで火の鳥なんだよね」
「この国の紋章は鳥だしね。みんなは、鳥を神聖な生き物だと思ってるよ」
「なら、鳥は食べない?」
んーと、しゅーさんは顎に手を当てて苦笑した。
「むしろ、鳥をよく食べるかな? 鳥は僕たちの国の名産の豆をよく食べるしね」
「そうだ! 大豆!」
「うん。こっちの大豆は、誰も調理が得意じゃなくって、鳥の餌にされている事が多いよ」
「勿体ない! 畑の肉だよ大豆は!」
アレも作れる、これも出来る。だが、あくまで添え物のスープの具材とか、豆のままの料理しかないらしい。
ああ、勿体ない。
私の一番の目的は大豆。
アールやエバとかいう精霊の餌付けは後回し。とにかく大豆が欲しい!
「エバ様がさっき助けてくれたんだ。君たちを歓迎してるって事。だから仲良くしてね」
「ちなみに、どんな女なの?」
「んーと、美女だよ? 見た目は若い女性で、年頃は若く見えて……」
「違う違う、性格の話」
うちの精霊みたいに、捻くれてたら面倒だ。
聞いているのは、美女で胸が大きい情熱的な火の玉女とだけ。
「ええっと、タイプでいえば……ほら、ご近所の地区長だった、田中さんの奥さんみたいな感じかな?」
「ああ、世話焼きタイプの姉御肌ね、了解」
心から納得した。
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