転生幼女は発酵スキルで、異世界に和食革命を起こす!味噌、醤油、酢を作って餌付けしたら、いつの間にか世界に名が轟いていた件

西野和歌

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第4章 女神降臨

第48話 スキル・バージョンアーップ!

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 できた液体にはゴロゴロとした粒の塊が出来ていたが、これで正解なのだ。
 四角のトレー容器に流して、上から蓋をするようにガーゼを被せた。
 万能ですよねガーゼ、赤ちゃんの口元を拭くのにも優しいよ?

「プルプルと固まれーっ! さあおいちくなぁーれっ!」

 シュババーッ! ピカッ! でよし、ゆっくりとガーゼを取り払うと、真っ白いプリンのような固形物が出来上がっていた。

「アーリーこれは何だい?」
「豆腐でしゅ」
「豆腐とは? 我が国でも初めて見る物だと思うが、アーリーの知識は本当に教会で得たものだけなのか?」

 たまに鋭い兄に、アワワとなってしまう。

「前に図書室で、古い本に色々と載ってたでしゅよ」
「字は読めないよね? まだ三歳なんだから」
「アールに、図書室で読み聞かせして貰ったでしゅよ」

 んあ? と返事はしたが、エバに背中から羽交い絞めされている駄犬は無視した。
 本当は仲良しだろお前ら。

「アーリーは料理が好きなんだね」
「好きでしゅよ」

 そら、買うよりコスパがいいなら、張り切るでしょうが。

「だから、色んな国の料理が気になるのかな? そのスキルも料理が好きなアーリーの為に授けられた気がするな」
「美味しいは、世界を幸せにするでしゅよ」

 オカラと豆腐が、出来上がりました。
 まだ前世の事とか、なぜか父と兄には言いたくないんだよね。
 だって、我が子の中身がばぁさんだって知ったら、ショックでしょ?
 せっかく王族になったのに、叩きだされるのは勘弁だよ。
 あえて天使のまま突き進むのは、むしろ彼らのためなのだ。

 グズグズのオカラは、先ほど助手君が潰してくれたコメに混ぜて、再度コネコネして貰った。
 小さなピンポン玉ほどの大きさを一つ作って見せると、わきわきとエバや他の手の空いた調理人たちも玉を作ってくれた。

 その間に私はタレを作る。
 今回は二種類だ、醤油タレと味噌タレの二つ。

「アール、こっちこっち」

 お前一番暇そうだから、手伝えや。
 鍋に砂糖と醤油と水を投入。
 焦がさないようにグツグツします。

「じゃーがいも、じゃーがいもっ! 剥いて剥いて」
「これで、いいのか? 本当、人使いの荒い姫様ですね」

 お前、人じゃなくて狼じゃん。とりあえず数個剥いて貰って、コロコロとサイコロサイズに切って貰った。
 そのジャガイモを、私は小さな袋に入れてスキルを使うよ!

「パラリラリ~粉ににゃれ! おいちくなぁーれ!」

 今日はスキルの大放出デーだ。
 なんせディランでも調理室に連れてって貰ったけど、他国では見学がせいぜいで、自分勝手にスキルを使用することはできなかったのだ。無念。

 だからさ、もう早く帰国したくてウズウズしてたんだよ。
 材料あるのに作れないジレンマ、あれ食べたい、これ食べたいで頭が一杯だったのだから。

 じゃがいもの粉は片栗粉になりました。
 この国でも作られている粉だけど、今ちょっと品薄で城にはなかったんだよね。

 私のスキルは無から有を作ることはできない。あくまで有るものを変化させ発酵させるスキルなのだ。
 というか、発酵だけでなくエバとアールの力も加わってバージョンアップしてるっぽい。

 でも、実はここだけの話、新しい力の発動は普段の発酵より体力も精神力も消耗してしまう。

 グツグと醤油と砂糖で香ばしい匂いがする鍋を見て、日本酒欲しいなぁとチラリと兄を見た。
 兄は無言で私の頼んだ、先ほどのコメとオカラミックスの玉を茹でてくれていたので、まあいいかと見逃してやった。

 スネていた父が、目が合った途端に、小さく手を振ってきたが、残念ながらハチミツには用がないのだ。邪魔そうだし座っとけ。

 片栗粉を入れた醤油砂糖のタレは、トロミがついていい香りが広がった。
 おっさん達の鼻の穴が広がって怖いです。

 味噌ダレは砂糖と水と片栗粉をぶち込んで、トロトロと煮て作った。
 こちらも、また格別の匂いに、おっさん達の目がらんらんと輝いて気持ち悪かった。

 茹で上がりの玉は、食べやすく一手間かける。

「こっちの玉は、全て串で刺したわよー」
「では、焼くからエバ手伝うでしゅ」
「どこを燃やせばいいの?」
「焦げ目だけつけたら、いいでしゅよ」

 網を用意して、団子の串に焦げ目をつけていく。
 楽しいらしく、割と真面目にエバは働いた。
 おっさん達は、いそいそと皿を用意してくれたし、兄は醤油タレ、アールは味噌タレの各自担当で、出来上がった串をチャポンとつけて、タレを絡めていった。

「お祭りみたいで楽しいね」
「婦人会で、よく作らされたでしゅ」

 なんとなく、しゅーさんと目を合わせてニッコリだ。
 私は机に顔を伏せて、不貞腐れている父の体をツンツンした。

「とーたん、とーたん」
「なんじゃア~ちゃん。わしなんかなぁ、わしなんかなぁ、いらない子なんじゃ」
「みてみて、楽しいでしゅよ」

 賑わいは頂点を迎えているらしく、兄とアールで、手に最高何本の串が持てるかで争っている。馬鹿具合はいい勝負なんだよなぁ。

 周囲も拍手喝采で、野次が飛びまくりだ。

「ほら、楽しそうでしゅ」
「だな、わしだけ仲間外れ、ふんだ」
「とーたんは特別でしゅよ?」

 ニコニコと私は、とっておきの笑顔を振りまいた。
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