転生幼女は発酵スキルで、異世界に和食革命を起こす!味噌、醤油、酢を作って餌付けしたら、いつの間にか世界に名が轟いていた件

西野和歌

文字の大きさ
70 / 134
第5章 いらっしゃい南国パナマナ

第71話 情熱バニャニャ

しおりを挟む
 私は初めて、ジョージから貰った土の力を使ってみた。

「きたれ、土ほじほじーっ!」

 ザクザクザクと見えない手で抑えられたように、地面に少し浅めの長方形の穴があいた。
 底は平らで、うむうむイメージ通りである。
 私は天才!

「ロコとしゅーさんは、バナナを剥くでしゅ。エバはそれを、用意された大きな葉の上に載せるでしゅ」
「はぁーい」
「わかったよ、まゆまゆ」
「嫁の頼みだ。仕方ねーな」

 また男子ズが揉めているが無視をして、次は大きい男子ズだ。

「私めは何を?」
「アールは、火をたく枝を見つけこーいでしゅ」
「おやアーリー、ならお兄ちゃんも行ってこようか?」
「迷子になるから、届いた枝を底に均一に並べて、バナナの皮も燃料として燃やすから、放りこめでしゅ」

 夜空に月と星が輝きだし、周囲の島人も手伝ってくれた。
 男性達には、焼き網を用意して貰って、穴に橋を渡すように置いてもらう。
 枝を運ぶのに往復しているアールが文句を言った。

「おい、なぜか私だけ重労働じゃございませんか?」
「気のせいでしゅよ」

 狼は夜目がきくんだから、とっとと枝とってこい。
 バナナは赤と黄色をそれぞれ一本ずつ、エバは仲良くなった女性たちと葉っぱの上に並べていく。

「うちの亭主は体は大きいけど、バナナに負けるわぁ~」
「きゃ~やだ~っ」

 ……あえて、何もつっこむまい。私は天使な幼女なのだから。
 割と男より女の方が、色々とすごいなぁ……、ほらチビ男子ズが遠い目をしてる。

「旦那さんがバナナより弱いって、どれだけ軟弱なんだろうね?」

 ね? と笑いかける兄が馬鹿すぎて、逆に愛しくなってしまったよ。
 てか、それで盛り上がれる火の鳥も凄いけどな。

 兄とアールと男性陣に土台の準備はお任せして、今度は私の未来の夫AとBに手伝ってもらう。

「この黒砂糖を、粉にすればいいんだね」
「そこに俺の塩を少し足せばいいんだな?」

 うむうむ、よきにはからえ。
 石の塊のままだった黒砂糖は、ゴリゴリとすり鉢ですると簡単に粉々になった。

「あっそれ、お塩お塩、俺の嫁~」
「なぜアタチを混ぜたでしゅか」

 しょっぱい顔をして、じと目でロコを睨んでしまった。
 ともかく、黒砂糖に塩が混ざって、甘じょっばい粉が完成した。

 私は石のテーブルに整列した、バナナの葉っぱのせと向かい合う。

「ではいきましゅ! スプーン闘魂!」

 シャリシャリと葉っぱバナナに、砂糖塩を振りかけていく。
 数は持ってきたバナナを全て使ったので、三十セット近くある。
 一本が大きいので、皆で分ければいいだろう。

「大盤振る舞いだね、びっくりした」

 しゅーさんが、私の横に付き添いながらそうつぶやくので、教えてあげた。

「バニャニャは、日持ちしないんでしゅよ」
「あーなる」

 心から納得したらしい、良かったね。
 腐らせるよりは、恩に着せた方がいいだろうよ。
 ふりかけ終わったら、今度は丁寧に女性陣が包んでくれた。

「小さいのに、お料理できるなんて偉いわねえ」
「可愛いし、ロコの良いお嫁さんになるわねぇ」
「手品も得意みたいだし、毎日が楽しそうねぇ」

 うん? 手品?
 ジョージにこっそり聞くと、記憶を消すのではなく、認識を妨害するように細工をしたらしい。

「さっき嬢ちゃんに、また力を貰ったからのう。それ位は簡単じゃよ」

 やる気さえ出せば、やはり亀は有能なんだよね。
 きっと、洞窟の力はジョージに吸収されて回復できたのだと思う。

「なら、食べ物はいらなくないでしゅか? あのからくりから皆が力を注げは……」
「効率が悪すぎて、すぐに腹が減ってしまうんじゃ。あれは、あくまでスキル確認用じゃ」

 そう簡単にはいかないか……まあいい。
 私は新しい食材が手に入って、ご機嫌なのだ。

「おーいチビ姫ちゃん、並べ終わったぞ」

 アールに呼ばれて、私は一段下がった穴の上に、網がのせられ、その網に並べられたバナナを包んだ葉っぱの包みを見て、ニンマリとする。

「おいおい、何をする気だよ」

 ロコが私を、訝しげに見つめるが、泣いて驚けよ?

「極上スィーツが完成するでしゅよ、さあみんな下がってでしゅ!」

 ここで私は、人差し指を穴の底にある小枝に向けて叫んだ。

「燃えろよ燃えろぉーいでしゅ!」

 ファイアー! と気合を入れたが、小さな種火がシュバッと出ただけで、煙はあがったが火はつかなかった。

 しょんぼり……。
 どうも、力が尽きてきた様子……そういえばフラついてきたしなぁ。

「はいはい、ちゃんと私を頼りなさいね」

 エバが後ろから、座り込んで落ち込む私をヒョイと抱えて、指先をスィッと動かした。
 瞬間に、炎の柱がシャババーッ! と立ち上がり、周囲がザワリとどよめいた。

「ちゃんと弱火にしろいでしゅ!」
「あら、ごめんなさいね。ウフフ」

 ウフフじゃないし、乳に後頭部が埋まってモニユモニュなんだわ、許せん。
 ともかく、ついた火はゴゥゴゥと音を立てて、葉っぱを焦がしていく。

 甘く焦げた匂いが立ち込めて、そこで私はアールや兄たち男性陣に怒鳴りつけた。

「では、水をぶっかけて消火せよ! ただし葉っぱに水かけたらダメでしゅよ!」
「うぇーいっ!」

 夜に火を見て、変なスイッチが入った野郎どもが、バケツリレー方式で、海水を運んで、網の隙間から水を流しいれた。

 モクモクと煙が立ち込めて、目が少し痛いくらいだが、火は見事に消火できた様子だ。
 そして、網には、黒こげの葉っぱの包みが並んでいた。

「おいおい、これは流石に失敗だろうが、勿体ねーけど仕方ねーな」

 ロコが大きな溜息をつくと、しゅーさんがギッと睨みつけた。

「まゆまゆのする事に間違いは、あってもないよ」

 庇うの? 庇わないの? どっちなの?

「これで調理は間違ってないんだよね? まゆまゆ」
「一個取って欲しいでしゅ、ああ熱いから、こう棒で引き寄せるといいでしゅよ」

 手短な一つがアチチの黒焦げが、私の前に差し出された。
 ふむ、フォークも用意して貰い、いざ開封の儀式を行う!
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった

元侯爵令嬢の異世界薬膳料理~転生先はみんな食事に興味が無い世界だったので、美味しいご飯で人の身も心も癒します~

向原 行人
ファンタジー
 異世界へ転生して数日。十七歳の侯爵令嬢、アリスとして目覚めた私は、早くも限界を迎えていた。  というのも、この世界……みんな食事に興味が無くて、毎食パンとハムだけとか、ハムがチーズに変わるとか、せいぜいその程度だ。  料理というより、食材を並べているだけって感じがする。  元日本人の私としては温かいご飯がたべたいので、自分で食事を作るというと、「貴族が料理など下賤なことをするのは恥だ!」と、意味不明な怒られ方をした。  わかった……だったら、私は貴族を辞める!  家には兄が二人もいるし、姉だっているから問題無いでしょ。  宛てもなく屋敷を飛び出した私は、小さな村で更に酷い食事事情を目の当たりにする。  育ち盛りの子供たちや、身体を使う冒険者たちが、それだけしか食べないなんて……よし、美味しいご飯でみんなも私も幸せになろう!  医食同源! 大食いモフモフ聖獣に、胃袋を掴んでしまった騎士隊長と一緒に、異世界で美味しくて身体に良い食材探しだ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

処理中です...