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第5章 いらっしゃい南国パナマナ
第74話 僕がやります
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私は必死で笛のように鳴らそうとするが、空気がこもるばかりで、ぶべっ、べっと鳴るばかり……で、当然魚は寄って来ない。
「あーもう、やめろ。食うな食うな」
ボロボロになった葉っぱを、意地になって吹いていると、口の中にグスグスになった葉っぱが入ってきた。
ロコが急いで私の口から葉っぱをかき出して、しゅ-さんは、竿を一度降ろして私の頭を撫でてくれた。
兄が駆け寄り、エバは水筒から水を差し出してくれた。
「はいチビちゃん、泣かないで。クチュクチュペーしようね」
「うぇっ、ええっ」
「ほらチビ姫、まだ葉っぱはあるから、泣くな泣くな」
「ううっ、くちゅくちゅ……ぺーっ」
口の中の細かい緑の繊維が、水と共に吐き出され、口の中がスッキリした。
それでもショックと苦味で泣きべそをかく私を、兄が抱き上げて、背中をトントンしてくれる。
悔しい悔しい、あと少しで念願のカツオが手に入るのに。
兄にしがみつきながら、スンスンと泣く私。
そんな時に、見かねた小さな勇者が立ち上がった。
「まゆまゆ、僕がするよ」
「でしゅ?」
「別に僕でもいいでしょ? だってカツオは僕だって知ってる」
しゅーさんの言葉に、ロコ以外は目を合わせて頷いた。
「確かに」
「うちの坊や素敵」
「君なら、アーリーと同じ知識を持っているからな」
そんな皆の同意の言葉に、ロコが怒鳴りつけた。
「だいたい、お前なんだよ! その前世とか、前の知識とか意味わかんねーし」
「君なんかが、入れる余地はないよ」
「んなわけあるか! 今は今だって言ってるだろーが!」
「はいはい、チビ共とりあえず落ち着けよ」
アールが間に入って仲裁した。
「とりあえず、我の為に食材をとれ小僧」
「まゆまゆの為に頑張ります、精霊様……だよね? ロコ」
「うっ……わーったよ、嫁の為だ! 何すりゃいい?」
「カツオは必ず僕が呼び寄せる。ただし凄く暴れる魚だから気を付けてくれ」
「お前、大丈夫なのかよ」
「釣りは得意じゃないけど、一応は経験はあるから……ワカサギだけど」
そう言って、各自が持ち場にスタンバイする。
安全の為に、グズる私をロコにパスして、兄とアールは網を持って水辺近くで待機した。
浜辺ではバケツスタンバイのまま、砂山を作って一人楽しんでいる馬鹿鳥と、そして竿を構えて、口に葉っぱを咥えたしゅーさんがいた。
私とロコは、そんなみんなから少し離れた場所で見守っている。
「あっち行くでしゅ、あっち行くでしゅ」
「こら、騒ぐとあいつの集中力が乱れるだろ。大人しくしてろ」
「うっ」
ショボンと停止した私は、静かに目を瞑るしゅーさんを見つめた。
美少年になっちゃって……赤い髪なのに派手に感じないのは、品の良さがにじみ出る優しい顔つきのせいだろう。
この世界で出会ってから、私を見つめる若草色の瞳は閉じられて、そして彼の口元から高らかな笛の音が鳴り響いた。
ピュイィーッ!
途端に、竿が激しく左右に揺れた。
しゅーさんが必死に踏ん張るが、あまりの速度に足がもつれそうになっている。
「ここにいろよ」
私にそう告げると同時に、ダッシュでロコはしゅーさんの元に走っていった。
しゅーさんは必死に竿を手放すまいと、頑張っていた。
兄たちも、水辺の糸の先を目指して必死で移動する。
そして、網ですくおうとするが、あまりの速さに捕獲できない様子だ。
「なんだこの速さ」
「くそっ、水の中じゃ風は通じないんだよな!」
しゅーさんの体に、ほんの少し大きいロコが後ろから抱きかかえるように体を固定した。
「手だけ離すな。体は俺が支えてやる」
「わかった、頼む」
そういいながらも、二人の体はブンブンと左右に振られまいと、必死で踏ん張っていた。
糸が限界を迎えるのも、時間の問題だろう。
それ程に激しく魚は移動する。
「カツオめぇぇぇーっ!」
怒りに燃えた私は、ツカツカと他人事のように砂遊びをしているエバの所まで走っていく。
そして、背中をドンと押してエバの作った砂を足で潰してやった。
「やだん! ひどいわチビちゃん!」
「耳を貸せいっでしゅ!」
男たちが戦う中で、私がエバに指示を出すと、エバはニヤリと笑った。
「思い切りでいいのね」
「いいでしゅ! ただしタイミングは守れでしゅ! 合図はするでしゅよ」
「わかったわ」
激しい戦いの中で、魚は水面から、なかなか顔を出す事はない。
何せ暴れて強い力で、引き寄せる事ができないのだ。
私とエバは、しゅーさん達の所に行き、エバはそのままチビを二人抱えて抱きしめる。
「あら、これは役得ね。さあ、坊やたち、そろそろ糸も限界だから、力づくは不可能よ」
「ではエバ様、どうすれば」
「私の可愛い坊や。私を誰かお忘れかしら?」
フフッと笑ったエバが、私に目配せをしてきた。
私は糸の先一点を指さして、大声で怒鳴った。
「にーたん達は一旦退却でしゅ! やれエバ! 全力ファイアーマーックス!」
「あははははーっ任せてーっ!」
チュドーン!!
大きな火柱が魚のいるらしきポイントに高く立ち上った。
それと同時に糸から火がつき、竿に炎が伝ってくる。
「竿を手放せいでしゅ」
とぅっ! と私が二人の竿を握る手に手刀を入れると、竿が地面に落ちると同時に、竿は炎に包まれた。
唖然としてる二人をよそに、私は海辺の近くの兄達に命令した。
「その浮いている大きな魚を持ってこーぃでしゅ!」
「おいおい、丸焦げだぞ! 馬鹿エバが!」
「アーリー、形が残っているのが奇跡みたいなものだが、本当にこれでいいのかい?」
水の中で湯気をあげた魚を、兄たちは網に入れて持ってきた。
香ばしい匂いの、どう見ても黒こげの私の身体程度はある大きなカツオが、捕獲された。
「あーもう、やめろ。食うな食うな」
ボロボロになった葉っぱを、意地になって吹いていると、口の中にグスグスになった葉っぱが入ってきた。
ロコが急いで私の口から葉っぱをかき出して、しゅ-さんは、竿を一度降ろして私の頭を撫でてくれた。
兄が駆け寄り、エバは水筒から水を差し出してくれた。
「はいチビちゃん、泣かないで。クチュクチュペーしようね」
「うぇっ、ええっ」
「ほらチビ姫、まだ葉っぱはあるから、泣くな泣くな」
「ううっ、くちゅくちゅ……ぺーっ」
口の中の細かい緑の繊維が、水と共に吐き出され、口の中がスッキリした。
それでもショックと苦味で泣きべそをかく私を、兄が抱き上げて、背中をトントンしてくれる。
悔しい悔しい、あと少しで念願のカツオが手に入るのに。
兄にしがみつきながら、スンスンと泣く私。
そんな時に、見かねた小さな勇者が立ち上がった。
「まゆまゆ、僕がするよ」
「でしゅ?」
「別に僕でもいいでしょ? だってカツオは僕だって知ってる」
しゅーさんの言葉に、ロコ以外は目を合わせて頷いた。
「確かに」
「うちの坊や素敵」
「君なら、アーリーと同じ知識を持っているからな」
そんな皆の同意の言葉に、ロコが怒鳴りつけた。
「だいたい、お前なんだよ! その前世とか、前の知識とか意味わかんねーし」
「君なんかが、入れる余地はないよ」
「んなわけあるか! 今は今だって言ってるだろーが!」
「はいはい、チビ共とりあえず落ち着けよ」
アールが間に入って仲裁した。
「とりあえず、我の為に食材をとれ小僧」
「まゆまゆの為に頑張ります、精霊様……だよね? ロコ」
「うっ……わーったよ、嫁の為だ! 何すりゃいい?」
「カツオは必ず僕が呼び寄せる。ただし凄く暴れる魚だから気を付けてくれ」
「お前、大丈夫なのかよ」
「釣りは得意じゃないけど、一応は経験はあるから……ワカサギだけど」
そう言って、各自が持ち場にスタンバイする。
安全の為に、グズる私をロコにパスして、兄とアールは網を持って水辺近くで待機した。
浜辺ではバケツスタンバイのまま、砂山を作って一人楽しんでいる馬鹿鳥と、そして竿を構えて、口に葉っぱを咥えたしゅーさんがいた。
私とロコは、そんなみんなから少し離れた場所で見守っている。
「あっち行くでしゅ、あっち行くでしゅ」
「こら、騒ぐとあいつの集中力が乱れるだろ。大人しくしてろ」
「うっ」
ショボンと停止した私は、静かに目を瞑るしゅーさんを見つめた。
美少年になっちゃって……赤い髪なのに派手に感じないのは、品の良さがにじみ出る優しい顔つきのせいだろう。
この世界で出会ってから、私を見つめる若草色の瞳は閉じられて、そして彼の口元から高らかな笛の音が鳴り響いた。
ピュイィーッ!
途端に、竿が激しく左右に揺れた。
しゅーさんが必死に踏ん張るが、あまりの速度に足がもつれそうになっている。
「ここにいろよ」
私にそう告げると同時に、ダッシュでロコはしゅーさんの元に走っていった。
しゅーさんは必死に竿を手放すまいと、頑張っていた。
兄たちも、水辺の糸の先を目指して必死で移動する。
そして、網ですくおうとするが、あまりの速さに捕獲できない様子だ。
「なんだこの速さ」
「くそっ、水の中じゃ風は通じないんだよな!」
しゅーさんの体に、ほんの少し大きいロコが後ろから抱きかかえるように体を固定した。
「手だけ離すな。体は俺が支えてやる」
「わかった、頼む」
そういいながらも、二人の体はブンブンと左右に振られまいと、必死で踏ん張っていた。
糸が限界を迎えるのも、時間の問題だろう。
それ程に激しく魚は移動する。
「カツオめぇぇぇーっ!」
怒りに燃えた私は、ツカツカと他人事のように砂遊びをしているエバの所まで走っていく。
そして、背中をドンと押してエバの作った砂を足で潰してやった。
「やだん! ひどいわチビちゃん!」
「耳を貸せいっでしゅ!」
男たちが戦う中で、私がエバに指示を出すと、エバはニヤリと笑った。
「思い切りでいいのね」
「いいでしゅ! ただしタイミングは守れでしゅ! 合図はするでしゅよ」
「わかったわ」
激しい戦いの中で、魚は水面から、なかなか顔を出す事はない。
何せ暴れて強い力で、引き寄せる事ができないのだ。
私とエバは、しゅーさん達の所に行き、エバはそのままチビを二人抱えて抱きしめる。
「あら、これは役得ね。さあ、坊やたち、そろそろ糸も限界だから、力づくは不可能よ」
「ではエバ様、どうすれば」
「私の可愛い坊や。私を誰かお忘れかしら?」
フフッと笑ったエバが、私に目配せをしてきた。
私は糸の先一点を指さして、大声で怒鳴った。
「にーたん達は一旦退却でしゅ! やれエバ! 全力ファイアーマーックス!」
「あははははーっ任せてーっ!」
チュドーン!!
大きな火柱が魚のいるらしきポイントに高く立ち上った。
それと同時に糸から火がつき、竿に炎が伝ってくる。
「竿を手放せいでしゅ」
とぅっ! と私が二人の竿を握る手に手刀を入れると、竿が地面に落ちると同時に、竿は炎に包まれた。
唖然としてる二人をよそに、私は海辺の近くの兄達に命令した。
「その浮いている大きな魚を持ってこーぃでしゅ!」
「おいおい、丸焦げだぞ! 馬鹿エバが!」
「アーリー、形が残っているのが奇跡みたいなものだが、本当にこれでいいのかい?」
水の中で湯気をあげた魚を、兄たちは網に入れて持ってきた。
香ばしい匂いの、どう見ても黒こげの私の身体程度はある大きなカツオが、捕獲された。
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