転生幼女は発酵スキルで、異世界に和食革命を起こす!味噌、醤油、酢を作って餌付けしたら、いつの間にか世界に名が轟いていた件

西野和歌

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第6章 拝啓・北の国から

第78話 おらおら! ご帰還でしゅよ!

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 南の国のバカンスは終わり、沢山の食材を抱えて誇らしげに私達は帰還した。

「帰ったでしゅよーっ!」

 南国のヤシの皮ワンピースフリフリの、首や手首には貝殻アクセサリージャラジャラ! 頭にゃ花の冠添えだゴラ!
 どうよ、このちょっぴり日焼けした、可愛さMAXの姿!
 可愛いだろ? 可愛すぎるだろ? と笑顔をはちきれさせて手をブンブンと振ってあげると、出迎えの懐かしい皆が、うぉーっと大きな波のごとく歓声をあげた。

「あーあー夢か、天使が俺の天使が降臨した!」
「尊い……これは尊死の気配……尊すぎて寿命が三年縮んだぞ」 
「おかえりなさいませ、お姫様! 御帰還を今か今かと正座して待っておりましたーっ!」 

 うむうむ、正座なんてそんなそんな……土下座でいいよ? うふっ♪

「アーリーが帰ってきて、やはり皆が嬉しそうだな」

 馬車を操る兄が、なぜか誇らしげに頷いていた。

「流石は僕のまゆまゆ、人気者で嬉しいな」
「ここの連中のノリの良さって凄いわよねえ」

 馬車内にいた、しゅーさんとエバも一緒になって、外の盛り上がりに目を見張っている。

 馬車の周囲を囲み、一斉にクラッカーを鳴らし、紙吹雪が舞い、太鼓やラッパ、謎の民族楽器までが盛大に鳴り響いた!
 祭りだ、これは祭りだな! 血沸き肉躍る私は、その場で足をダムダムする。

 なぜか周囲の浮かれた盛り上がりに、皆も疲れが飛んで笑顔になる。
 外で一人、馬に乗って同行しているアールてすら、呆れつつも笑っていた。

「まあ、うちの奴らは呑気でいいこった」

 出迎えボルテージは限界突破しているらしい。
 城の前につき、私は久方ぶりに祖国の大地を踏みしめた。

「可愛さに目が潰れる!誰か!目薬ぃぃ!!」
  「姫の帰還を祝して、本日を“可愛さ記念日”と制定して下さい!!」
  「おいみんな! 今すぐ記念碑を建てるぞ!! 等身大どころか百倍サイズで!!」
  「お姫様のために、道に花びら敷き詰めて!! …って、あれ!? もう踏んでた!! 尊い!!!」

 ふみふみと花絨毯を踏みしめて、両手を広げて涙目の、いい年こいたオッサン国王の前に向かう。
 てか、嫌だな……いかついヒゲ顔が、涙でベトベトで気持ち悪い。

 途中で足を停止した私に、兄が言う。

「悲しいけれど、現実は受け止めようね。あれが私達の父なんだ」
「ここの国民たちも道連れでしゅ。奴が国王でしゅよ」

 うわぁ、私が停止したから、向こうから来たよ。
 しかも、花吹雪がベチョベチョの顔に引っ付いて、ヒゲに花びら! ヒゲに花びら!

「アーリーアーナ――っ! 我が愛しいの天使よぉぉおおおーっ!」
「くんなくんな!」

 一歩後ろに後ずさったが、あえなく捕獲される。

「アーちゃんだぁーっ、無事か? ケガはないか? よくぞ無事に、あああっ、女神よ感謝します! 今日もうちの娘は最高に可愛いすぎる!!」

 いや、だからその女神のせいで、旅に出てるのもあるんだろうが。
 顔をほおずりされそうになり、必死に抵抗する。

「嫌でしゅ! ヒゲが嫌でしゅ!」
「わかった剃ろう! だがお帰りのほっぺにちゅーでしゅよ」
「死んでも嫌でしゅーっ!!」
「照れ屋で可愛い、うちのアーちゃんは本当に、食べたい程に可愛い、可愛い」
「ぴぎょぇぇーっ!!」

 ぷしゅぅぅぅーっと、私は死亡した。
 力尽きた私を、これでもかと抱きしめ頬ずりする父に、兄が礼儀正しく腰を折る。

「ただいま戻りました父上」
「あ、いたな」
「……」
「よし、皆の者、アーちゃん、違う、我が娘アリアナとお付きの者たちの慰労会を開催するぞ! 国を挙げて祝福せよ!」

 いつのまに国家行事になったんだと、遠くなる意識の中で私は思ったが、うぉおーっと、盛り上がるみんなの姿と、面白がるエバやアール、そして笑うしゅーさんを見て、ああ帰って来たんだなと、心から実感したのだった。

 ともかく、慰労会という名のおかえりなさいの会に出るために、私は城内の自分の私室に戻された。

「はい、姫様こっちみてーきゃー可愛い」
「南国ドレスも素敵ですけど、こっちのフリフリも可愛いですよ」
「やーん、ピンクもいいけど、青も捨てがたい」

 いつものこどく着せ替え人形にされるのみ、懐かし……くもないな。
 南国のあの集落でも、似た感じだった気がする。
 やはり、私の可愛さは世界共通なのだ……フッ。

 と、フッではないな。
 このままでは、自動的に着せ替えられた後に、父の元に返還されてしまう。
 それは勘弁だと、私は逃げ出す事にした。

「ちょっとチッチに行きたいでしゅよ」
「あら偉いですね、ちゃんと自分で言えるんですね」
「もうオムツじゃないんでしゅよ!」

 フンスと私は胸を張る。ふふっ、私の中身はばぁさんだけど、当時もオムツはつけなかったぜ?
 人生は、オムツに始まり、オムツに終わる! そして私はカボチャパンツ! リンゴ柄!

 ついてこようとするメイド達に、私は誇らしげに告げた。

「もうお姉ちゃんだから、一人で出来るでしゅ!」
「まあ偉い」「流石は姫様ね」「賢いですね、私達の姫様は」

 そのまま私室に隣接されている化粧室に一人入ると、静かにカチャリと鍵を閉めた。
 そして、洗面台の扉を開けてガサコソとする。
 そうだ、最初に部屋から脱走した時の通路がここにあるのだ。
 中に入ると、抜け穴の通路につながっているのだが、久しぶりに入ると入口で少しつっかえた。

「太ったでしゅかね?」

 いや、たぶん成長したんだなと納得して、そのまま中を久しぶりに通過した。
 以前はなんなく辿り着けた調理室だが、なぜか私はアールの祭壇に辿り着いてしまった。
 ちなみに、狼はいない。
 無人の広々とした祭壇の空間は、ヒカリゴケのおかげで暗くはないものの、荘厳で聖なる空気に包まれていた。

「狼がいないだけで、こんなに聖なる場所になるんでしゅね。でも、何でここに来てしまったんでしゅかねぇ」

 私はとりあえず、祭壇によじ登って、ふぅと溜息をついて座り込んだ。
 すると、後ろから突然、温かい何かに包み込まれた。

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