転生幼女は発酵スキルで、異世界に和食革命を起こす!味噌、醤油、酢を作って餌付けしたら、いつの間にか世界に名が轟いていた件

西野和歌

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第6章 拝啓・北の国から

第79話 女神の願い

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 ムニュっとした温かいボリュームに包まれて、ひたすらムギュムギュと抱きしめられて堪能される……これは!

「何するでしゅか! 女神でしゅね!」
「やーん、やっぱり可愛いっ!」
「なんとなく、呼ばれた気がしたんでしゅよ!」
「うんうん偉いね、よく来てくれたわね『まゆみ』……じゃなくって、ここでは『アリアナ』ちゃんね」

 何を言いたいのか、女神が初めて私の名を呼んだ。
 その気配に、私は真剣な何かを感じてピタリと抵抗を止めた。

 私を背後から抱きしめながら、女神が小さく呟いた。

「あなたには本当に感謝している。あの子たちに、元気を分けてくれてありがとう。あの子たちだけでなく、あなたに関わった人たちが、美味しい物を食べて幸せになっていくわ」
「……別に、アタチが食べたいからでしゅ。ついででしゅよ」
「ふふっ、精霊のあの子たちも、少しずつ力を取り戻しているの。それは確かなんだけど、どうも異常が発生しているのよ」

 嫌な予感がする。

「本来なら、もう回復していてしかるべき量なのに、どうも精霊の力がどこかに漏れている気配がするの。ごめんなさいね、私がこれ異常関わると災害が発生するレベルの影響だから、手出しができない。わかるのは、あなたの与えた力が、どこかに行っていて、世界のパランスがおかしくなっているって事よ」
「どういう事でしゅか?」
「あなたを呼び寄せたのが、この世界に干渉する最後のパランスのギリギリだったのよ。あくまで、あなたの旦那君はオマケなんだけど。最近新しい疾病が発生しているの知ってる?」

 なんだそれは? 聞いた事もない。
 私は、前を向きながら小さく首を横に振った。
 怖くないよと、頭を撫でられたけど、ブンと頭をふって拒絶する。

「おかしいでしゅ。頑張ってるのに、状況が良くなってないでしゅ!」
「その病は、北の国で猛威をふるっているわ。なんとか北のあの子が、自分のエリア内で治めようとしたけれど、どうもあの子は自分もそのまま消えるつもりみたいね。もう、どれだけ私が声をかけても、あの子に届かないのよ」
「そいつを、元気にすればいいんでしゅか?」
「それと、あの国の新しい病を治療方法を教えるわね。それには、あの子の力も必要なのよ……だけど、あの子は私も人も嫌いだから……」
「アタチも女神が嫌いでしゅ! 人任せすぎるでしゅよ!」

 私の言葉に、女神はビクンと体を震わせた。
 少しの沈黙が私達を包む。
 私を抱きしめる、白く細い腕が小刻みに震えた。

「未熟な女神でごめんなさいね……私はただ、みんなが幸せになって欲しかったの……」

 だったら、何でこの結果なんだ。
 自分たちだけでなく、異世界の魂である私やしゅーさん、そしてゼンや、その妹さんまで、知ってるだけでも巻き込んでいるじゃないか。
 なのに、これ以上責められず私は口ごもっていると、別の声が女神を慰めた。

「あなたは、私達の命をすくって下さいました。女神様」

 それはエバ、そして隣にはいつの間にか現れたアールもいた。

「女神って言ったって、万能神じゃないんだぜ。しかも、その女神は割とドジだからな。俺たちや、ただ救われるのを待つだけの他の生き物たちも、力を合わせなきゃならねーのさ」

 知ってたよ、女神なのに手間のかかる娘っ子だって事位はさ。
 それでも、自らの立場はきちんと理解して責任は負わなくちゃダメなんだ。
 人に任せて、はいゴメンじゃダメなんだよ。

 そう思った私の心を、女神は読み取った。

「そうよね、その通りよ。だから、ちゃんと最後の責任は取るし、私にしか出来ない事があるなら言いなさい」
「人の心を読んだんでしゅか!」

 私はクルリと向きを変えられ、向かい合い抱きなおされた。
 顔が互いに向かい合い、女神はこれでもかと神々しい笑顔を向けた。

「私の愛しい子よ、あなたに祝福を。あなたと私は心で繋がっているのよ」

 その笑顔の美しさに私が見惚れていると、頬にキスをされた。

「お願いね、チビちゃん。最後はちゃんと責任をとるから、私の愛しい者たちと世界を託すわね」
「おいまて女神、ゴラァ! アタチは美味しい物さえ食べられたらって、何勝手に消えてるんでしゅかーっ!」

 言うだけ言って、女神は消えた。
 祭壇の上で天に向かって、私は悪態をつく。

「出てこい乳デカのドジ女神! アタチはもっと言いたい事が山ほどあるんでしゅよーっ!」

 ダムダムしていると、エヴァにヒョイと拾い上げられた。

「乳デカ族は滅べでしゅ!」
「あらあら可愛い、大きくなーれ、大きくなーれ」

 いい子いい子と、乳に顔を埋められた。ギブギブ!!
 私を撫でながら、エバはアールに言う。

「ともかく、北の方に行くのは確定ね」
「あいつが自爆すんのは勝手だが、そうか、病の噂は本当だったんだな」
「あちらの王国が消滅したのも、その病のせいでしょう?」
「だから、他国は国交を切ったんだ」
「凄い勢いよね、たかだか20年程度で国が滅びそうなんて……」
「まあ、このチビが女神様より治療方法を聞いたのと、あと何より今は大事な事がある」

 乳に埋もれて窒息寸前で足掻いている私を、アールが指さした。

「おかえり会の御馳走」

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