転生幼女は発酵スキルで、異世界に和食革命を起こす!味噌、醤油、酢を作って餌付けしたら、いつの間にか世界に名が轟いていた件

西野和歌

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第6章 拝啓・北の国から

第81話 完成クリームシチューでしゅ

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 光を放ったそのあとに、フライパンの中を覗き込む。

「皆の者、刮目せよ! でしゅ!」

 カチカチに美味しさが凝縮された固形物が、フライパンの中に出来上がっていた。

「あ、相変わらず、姫様の奇跡の力は素晴らしい……勿論、我々はこの秘密を魂にかけて他言せぬ事を誓います!」
「魂とか、重いでしゅ。もっといい物よこせでしゅ」
「無条件の姫への忠誠を……」
「あ、なんでも言う事きくならOKでしゅ」

 もともと手下認定はしてたでしゅけどね。
 ちなみに、アタチのファンクラブ支部は、ディランとパナマナにも出来ている。
 このまま楽勝で世界に手下を配置して、食材が自動で献上されるシステムを構築させて頂きたい。
 家にいてニート! 流行してたファイアー? ん? 燃える?
 ダメだ。当時のテレビを見ても、カタカナが多すぎて意味不明だった。
 ハヤトに異世界知識は叩き込まれたけど、あれは一発で覚えたんだよなあ。

 特に好きな言葉は「チート」です。チートチートチート!!

 大きなフライパン一杯にできた白い塊を、切り分けさせた。

「半分は保存しておくでしゅ。残り半分は、アタチの持ってきたのと混ぜるでしゅ」
「ほぉお、なぜ固めたのですか? 保存方法の為だけですかな? 何か味に違いが?」
「出来立てのシチューの素だと、まろやかになるでしゅが、日持ちはしないので、すぐに使うでしゅ。固めたのは、保存もあるでしゅけど深みが増すでしゅよ」

 お湯を入れたお椀に、出来立ての少し残して置いた、固めていない粘土の素を溶かす。
 次に、固めたのを溶かす。
 最後に、パナマナから持ち帰った素を少し溶かす。

 これで三つの違いを確認して貰った。
 料理長と、あと数人が代表で小皿に入れて味わった。

「ほほう、確かに違う」
「僕はこっちの出来立てが、優しい味付けで……」
「いやいや、固形にした方が味が濃いのは……」
「それよりも、姫が持ち帰った素の味の深みは、これは一体」

 がやがやと彼らが熱く語り合っていると、離れた場所で作業をしていたエバ達に声をかけられた。

「チビちゃーん、大鍋の野菜も煮えた感じだけど、どうするのー?」
「あ、次は鶏肉を入れるでしゅ。なければ豚肉でもいいでしゅよー」
「よーし、エバ風呂だぞ、飛び込め」
「やだーっ、アールシャンテスぅ~まだ夜じゃないわよぉ」
 
 なぜ、そう受け取った。
 そして、なぜ食材にしようとした狼よ……。

「別に狼肉でもいいでしゅけどね」
「はははっ……えーっと、鶏肉を捌くなら私も得意です姫様。なんせ、旅の途中は王子とよく野営をしてましたので」

 誤魔化した狼がとぼけて、懐かしいな……王子元気かな、とか言ってるけど、お前の主はさっきまで一緒にいたよな?
 ともかく狼は鶏肉を捌いて、鍋に入れてくれた。
 刃物捌きは確かに慣れていて、なんでも騎士なら会得している技術だそうだ。
 そこで思い出す、こいつ護衛騎士だったな……と。
 そうして、忘れていたもう一人が、私の元夫を抱えて、飛び込んできた。

「また部屋から抜け出して、何をしてるんだいアーリー!」
「まゆまゆ、ここにいたんだね! 急に消えたってメイド達が大騒ぎしてたよ!」

 私の発動スキルを感知して、スキルホイホイの兄としゅーさんが飛び込んできた。
 まあ、これで味見隊が集合したという事で、あとは素をぶち込んで、煮えるのをまつばかりだ。

 みんなで大鍋を見守った。
 大きな鍋で、みんなでシチューを食べるんだ。

「パンにつけて食べるでしゅ」
「米が欲しいね、まゆまゆ」
「米が不作で、この国のストックもないみたいなんでしゅよ」
「なら、米の原産地の北の国に行かなくてはダメだね」
「でしゅ。それには難問が待ち構えているでしゅ」

 女神が言っていた、新しい疾病の事、きっと兄や父はそれを知っていて、私が北の国にだけは行くのを反対していたんだろう。
 けれど、いかなくてはいけない。
 米だ。
 米のためにだ!
 ついでに、病とやらも、治療できる方法を確定させとけばいいんでしょ?

「煮えました! 姫様!」

 こうして、大広間でシチューとパン。そしてサラダと果物や酒、豆腐が作れるようになり、揚げ豆腐の甘醤油がけや、木苺入りヨーグルト等、私のいない間に開発された新メニューや、教えた料理も沢山並んで、城内全てがお祭り騒ぎとなった。

 皆が私達の無事を喜んでくれて、ビールをかけあい、ダンスを踊ったりと、これでもかと盛り上がる。

 私は、父の膝の上に乗せられて、必死で食事を取っていた。

「美味しいなぁ、アーちゃんと食べるととても美味しい」
「これは、パナマナで見つけたシチューでしゅ。他にも一杯、おいしい物を見つけて来たでしゅよ」
「そうかそうか、だが何を食べても、アーちゃんがいるから、美味しいんじゃとわしは思うよ」

 スリスリと抱き上げられて頬ずりされる。
 もうヒゲは痛くない。
 その顔にはスッキリとヒゲが剃られて、中年の年相応のシワのある国王の顔があった。
 私がヒゲを嫌がるから剃ると言っていたが、早速、有言実行したらしい。
 へーっ。
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