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第7章 四大精霊と救世主
第101話 配給でしゅよ~
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懐かしい夢を見た。
子供たちが泣いている。
またお父さんが倒れたと叫んでる。
また無理をしたんだな。それだけはやめろって言ったのに。
無理して残業代を稼いだり、休日まで早朝から働きに出かけたり。
もっと体を労わってくれないとダメじゃないか、またあのバイト先に迎えに……。
……。
あれ?
どこだったのかな? 記憶が消えている。
そういえば、他にも色々と覚えていた些細な事が思い出せない。
私は気づいていた。
最近どうも幼児化の思考に占領されていっている。
いや、本来はそれが正しいのだ。
前世がなければ、私はただの4歳児なのだから。
言葉も最初の頃より、変化をきたしている。
以前なら、人前で涙も感情もコントロールできたはずだ。
そう、中身は立派な成人済のベテランなのだから。
なのに、羊を見て怯え、父に甘え安心する。
まるで、私が消えていくみたいだ。
あれ? 私って誰? どっち?
ああそうか、今のアタチと過去の私が、交じり合ってきているんだ。
だったら神様・女神様……どうか大切な思い出だけは消さないで。
それこそが、私が異世界からきた証なのだから。
―――― てか消したら世界を滅ぼしてやる ――――
*****
目覚めると、いつものごとく羊の家の二階の寝室。
カボチャパンツは守られ干されていない。よし乙女の矜持は守ったぞ。
「おはよう、まゆまゆ」
「しゅーさんおはようでしゅよ」
「調子はどうだい?」
「すっごくいいでしゅよ」
そう、ひと眠りしたからか回復が半端ねぇっす!
走れる走れると、その場で足ふみすると、しゅーさんは苦笑して飲み物を差し出してくれた。
手を繋がれて、ご機嫌で下の階の居間に向かった。
「お腹すいた? ティナさんの作ったごはんもあるし、まゆまゆが作って完成したおじやもあるよ?」
「おじや食べるでしゅーっ!」
「ここに持ってこようか?」
「みんなが外なら、外に行くでしゅーっ!」
ちなみに、暖炉前に置かれたタライの中身は亀のジョージ。
中身の亀は一旦机に置かれ、タライの湯をティナがせっせと入れ替えていた。
ジョージ……亀だしなぁ。
ピョンと外に飛び出すと、亀とティナを除く皆で集合だ。
各自、お椀におじやを盛ってワイワイと食べている。
私に気づいたアールが、上機嫌の笑顔で手を振った。
「チビ姫様最高ーっ!」
「たりめーよ!」
羊もいちいち頷きながら味わって食べ、エバは火の間近で暖を取りつつ、必死に流し込んでいる。
ゼンは、フゥフゥとデブ特有の荒い息で食べている……醜い……食ってるデブはだだのデブ。
デブでも可愛いいデブとか、良いデブとか色々あるんだけど……。
「まゆまゆ、どうしてゼンさん見てうずうずしているの?」
「色々と言いたい事が……」
「うん。なんとなく言わない方がいい気がするから忘れようね」
亀の前にもおじやが並べられると、ゆったりとジョージはお椀に顔を突っ込んだ。
私はしゅーさんにダッコされて、各鍋を覗き込む。
一つの鍋こそ、皆でガッついたせいか中身が三分の一減っていたが、それ以外は大きな鍋にモリモリの盛りだ。
「沢山の量だけど、それでも足りるかな?」
「いけるでしゅよ。ともかく第一に病人には具入りで食べさせるでしゅ。一口でいいでしゅ」
「一口でいいなら、いけそうな気がするね」
精霊たちは目を見張る。ただし亀はお椀に顔を突っ込んだままだ。
「そして、残りの汁は百倍に薄めて、一口でいいから世界のみんなに飲ませると、病の予防になるでしゅよ」
おおおーっと、皆のざわめきが心地よい。うむ、苦しゅうない。
更にまだあるのだよ。
「女神いわく、この汁飲ませると、以後も未知なる病への抵抗力があがるらしいでしゅ」
「あら、なら人は病にかからなくなるのかしら?」
エバの良い質問に私は、チッチッチッと答えてあげる。
「人の世界に本来ある病は、自然のままに今まで通り気を付けないとダメでしゅ。だけど、不自然な気の流れで発生した病に関しては、精霊の加護で効果があるでしゅよ」
「ならば、まずは私の国の病の者たちに与えるのが先決ですね」
羊が綺麗に食べ終えたお椀に、静かにスプーンを置いた。
「力もみなぎりました。この量でこれだけの回復量……流石は究極の料理です。私の米がメインとはいえ、各国の野菜の旨味とそして……」
「あーいいから、とっとと皆に食べさせてくるでしゅよ」
「いいでしょう、さて我が力を久しぶりに全力で発揮しましょうかね」
皆で羊に釣られて外に出た。
亀は着込んだエバの胸元に放り込まれていた。
目が半分死んでいた。
ゼファーは丸太の台に立ち、天を仰いで両手を広げた。
神からの啓示のように、響き渡る声を発する。
『我が民よ、私の民よ、私こそがこの北の国の精霊ゼファーである。愚かな帝国の王に見切りをつけ、私はお前たちに愛想が尽きていた。だが、再度お前たちに再生のチャンスを与えよう』
偉そうに言ってるけど、それ私が作った鍋な?
しゅーさんがエバに、これってこの国の全国民が聞いてるのかな? と確認すると、エバがそうよーと笑っていた。そういえば、エバも最初に何か声飛ばしてきたような?
羊は本当に力を取り戻したのだろう。
黒い光が羊を取り巻くが、以前の暗闇と嫌悪を抱く輝きではなく、夜眠る子らを包む慈愛に満ちた漆黒の色だ。
巨大な黒い霧から塊となり、グングンと周囲を染めていく。
なかなかの圧巻だった。
「さあ、私の国民たちよ。今からお前たちの口に女神の加護を与えます。助かりたいものは口を開けて待つように。そしてそれを、わが身に入れるために飲み込みなさい」
どや顔の羊がきめぇ……っていうかみんな、食べ物はよく噛んで飲み込んでね?
ゼファーの力で、鍋の中身が即座に減っていく。
鍋に吸い込まれた黒い煙は塵となり、一斉に空にあがって拡散された。
そうして、この国の病の者たちに配分は完了したようだった。
子供たちが泣いている。
またお父さんが倒れたと叫んでる。
また無理をしたんだな。それだけはやめろって言ったのに。
無理して残業代を稼いだり、休日まで早朝から働きに出かけたり。
もっと体を労わってくれないとダメじゃないか、またあのバイト先に迎えに……。
……。
あれ?
どこだったのかな? 記憶が消えている。
そういえば、他にも色々と覚えていた些細な事が思い出せない。
私は気づいていた。
最近どうも幼児化の思考に占領されていっている。
いや、本来はそれが正しいのだ。
前世がなければ、私はただの4歳児なのだから。
言葉も最初の頃より、変化をきたしている。
以前なら、人前で涙も感情もコントロールできたはずだ。
そう、中身は立派な成人済のベテランなのだから。
なのに、羊を見て怯え、父に甘え安心する。
まるで、私が消えていくみたいだ。
あれ? 私って誰? どっち?
ああそうか、今のアタチと過去の私が、交じり合ってきているんだ。
だったら神様・女神様……どうか大切な思い出だけは消さないで。
それこそが、私が異世界からきた証なのだから。
―――― てか消したら世界を滅ぼしてやる ――――
*****
目覚めると、いつものごとく羊の家の二階の寝室。
カボチャパンツは守られ干されていない。よし乙女の矜持は守ったぞ。
「おはよう、まゆまゆ」
「しゅーさんおはようでしゅよ」
「調子はどうだい?」
「すっごくいいでしゅよ」
そう、ひと眠りしたからか回復が半端ねぇっす!
走れる走れると、その場で足ふみすると、しゅーさんは苦笑して飲み物を差し出してくれた。
手を繋がれて、ご機嫌で下の階の居間に向かった。
「お腹すいた? ティナさんの作ったごはんもあるし、まゆまゆが作って完成したおじやもあるよ?」
「おじや食べるでしゅーっ!」
「ここに持ってこようか?」
「みんなが外なら、外に行くでしゅーっ!」
ちなみに、暖炉前に置かれたタライの中身は亀のジョージ。
中身の亀は一旦机に置かれ、タライの湯をティナがせっせと入れ替えていた。
ジョージ……亀だしなぁ。
ピョンと外に飛び出すと、亀とティナを除く皆で集合だ。
各自、お椀におじやを盛ってワイワイと食べている。
私に気づいたアールが、上機嫌の笑顔で手を振った。
「チビ姫様最高ーっ!」
「たりめーよ!」
羊もいちいち頷きながら味わって食べ、エバは火の間近で暖を取りつつ、必死に流し込んでいる。
ゼンは、フゥフゥとデブ特有の荒い息で食べている……醜い……食ってるデブはだだのデブ。
デブでも可愛いいデブとか、良いデブとか色々あるんだけど……。
「まゆまゆ、どうしてゼンさん見てうずうずしているの?」
「色々と言いたい事が……」
「うん。なんとなく言わない方がいい気がするから忘れようね」
亀の前にもおじやが並べられると、ゆったりとジョージはお椀に顔を突っ込んだ。
私はしゅーさんにダッコされて、各鍋を覗き込む。
一つの鍋こそ、皆でガッついたせいか中身が三分の一減っていたが、それ以外は大きな鍋にモリモリの盛りだ。
「沢山の量だけど、それでも足りるかな?」
「いけるでしゅよ。ともかく第一に病人には具入りで食べさせるでしゅ。一口でいいでしゅ」
「一口でいいなら、いけそうな気がするね」
精霊たちは目を見張る。ただし亀はお椀に顔を突っ込んだままだ。
「そして、残りの汁は百倍に薄めて、一口でいいから世界のみんなに飲ませると、病の予防になるでしゅよ」
おおおーっと、皆のざわめきが心地よい。うむ、苦しゅうない。
更にまだあるのだよ。
「女神いわく、この汁飲ませると、以後も未知なる病への抵抗力があがるらしいでしゅ」
「あら、なら人は病にかからなくなるのかしら?」
エバの良い質問に私は、チッチッチッと答えてあげる。
「人の世界に本来ある病は、自然のままに今まで通り気を付けないとダメでしゅ。だけど、不自然な気の流れで発生した病に関しては、精霊の加護で効果があるでしゅよ」
「ならば、まずは私の国の病の者たちに与えるのが先決ですね」
羊が綺麗に食べ終えたお椀に、静かにスプーンを置いた。
「力もみなぎりました。この量でこれだけの回復量……流石は究極の料理です。私の米がメインとはいえ、各国の野菜の旨味とそして……」
「あーいいから、とっとと皆に食べさせてくるでしゅよ」
「いいでしょう、さて我が力を久しぶりに全力で発揮しましょうかね」
皆で羊に釣られて外に出た。
亀は着込んだエバの胸元に放り込まれていた。
目が半分死んでいた。
ゼファーは丸太の台に立ち、天を仰いで両手を広げた。
神からの啓示のように、響き渡る声を発する。
『我が民よ、私の民よ、私こそがこの北の国の精霊ゼファーである。愚かな帝国の王に見切りをつけ、私はお前たちに愛想が尽きていた。だが、再度お前たちに再生のチャンスを与えよう』
偉そうに言ってるけど、それ私が作った鍋な?
しゅーさんがエバに、これってこの国の全国民が聞いてるのかな? と確認すると、エバがそうよーと笑っていた。そういえば、エバも最初に何か声飛ばしてきたような?
羊は本当に力を取り戻したのだろう。
黒い光が羊を取り巻くが、以前の暗闇と嫌悪を抱く輝きではなく、夜眠る子らを包む慈愛に満ちた漆黒の色だ。
巨大な黒い霧から塊となり、グングンと周囲を染めていく。
なかなかの圧巻だった。
「さあ、私の国民たちよ。今からお前たちの口に女神の加護を与えます。助かりたいものは口を開けて待つように。そしてそれを、わが身に入れるために飲み込みなさい」
どや顔の羊がきめぇ……っていうかみんな、食べ物はよく噛んで飲み込んでね?
ゼファーの力で、鍋の中身が即座に減っていく。
鍋に吸い込まれた黒い煙は塵となり、一斉に空にあがって拡散された。
そうして、この国の病の者たちに配分は完了したようだった。
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