転生幼女は発酵スキルで、異世界に和食革命を起こす!味噌、醤油、酢を作って餌付けしたら、いつの間にか世界に名が轟いていた件

西野和歌

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第8章 魔界の決戦

第110話 女神の降臨・鍋喰ってる

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 私たちが、達成感に包まれていたその瞬間。
 天井よりキラキラとした金粉が降ってきた。


 反射的に掴もうとしても、粉は手のひらで消えていく。って金粉違うのかよっ!
 ……この登場は覚えがあるなぁ。

 精霊たちがジョージを除いて、恭しくその場に膝をついた先には……
 普通に椅子に座って、テーブルで女神鍋をハフハフ食べている天然女神がいた。

「何食べてるでしゅか――――!!」
「ほわわっ、これ美味しいわねぇ。流石は私の愛し子だわぁ」
「まてまて、何でここに現れたんでしゅか!」
「ちょっとまって、あらプルプルの鳥のコラーゲン。美容に最高ウフっ」

 ウフっじゃねーよ。おいおい、精霊以外の残り三人は何が起こったか硬直して固まってるし……この女神なんとかしてくれ。
 
「はー最高! おチビちゃん本当に最高だわぁ!」
「最高はわかったでしゅけど、何しに来たんでしゅか?」

 あー、そうだったわねと、まずは女神は立ち上がり、頭を下げる精霊&タライに向かって女神らしく威厳ある声で語りかけた。

「お前たち、良くやりました。今再び世界が一つになり、人々の謎の病も取り払われました。そしてゼファー」

 ビクリと大きく体を震わせる羊が、ズザザッと滑り込み女神の足元にひれ伏した。

「わ、私がっ……私がふがいないばかりに……」
「ゼファー様っ!」
「下がりなさい、この方は女神です!」
「あ、ああ、あっ」

 ゼファーの横で、ティナも頭を床に擦り付けた。
 てか、そんなのしなくていいのに……偉そうでしゅね女神の癖に。

 女神は伏せる二人の肩にそっと手を置いた。

「いいのです、あなたの苦しみを救ってあげれなくてごめんなさいね」
「……そのお言葉だけでも……」
「誰よりも人に傷つけられ、それでもあなたは誰よりも救いたくて、あの子たちと同じくこの世界を守ると立ち上がってくれたのに、私の力がふがいないばかりに……」
「違います! 私がっ……」

 むせびなく羊と、それを慈愛で許す女神の美しい図だ。
 ……ただ私は気づいてしまった。

 アールが下向きながら、舌出して呆れてる。お前は本当に良い度胸だな。
 だが、私も同意だ。

「お涙頂戴はもうお腹いっぱいでしゅよ! 本題に入れでしゅ女神!」

 私は足をダムダムと床を踏むと、やっと場がこちらに集中した。
 金粉は偽物だ! その女神はただのポンコツ女神だ、目を覚ませ皆の者!

「お腹いっぱいよ~ありがとうね」
「ならとっとと帰れでしゅ。やっと世界が平和になったんでしゅよ」

 これから世界が繋がった記念として、今後の国交と貿易と、何より美味しい物の献上について話し合わなくてはいけないのだ。

 だが、私の期待は女神の一言で破壊された。

「あのねチビちゃん。やっと私や精霊たちへの祈りの力、全ての源の力がどこに流れているかわかったのよ」

 そんな話もあったなー。

「おかしいと思ったのよ。魔界が遠ざかり、数百年は何事もなく世界が循環するはずだったのに、300年前に突然そのパランスが崩れたの」
「そうや! あんたや! ワイが転生する時に会ったんは!」

 興奮して女神にかかっていこうとするゼンを、即座にアールが後ろから羽交い絞めにして抑え込んだ。

「おい、落ち着けデブ」
「離してくれっ! ワイはいい、だけど妹はなんでっ!」
「ったく、気絶させていいかチビ姫様」
「ちょっと待って欲しいでしゅ」

 仕方ないなぁと、残っていた大きなパンを掴んで、ゼンの騒ぐ口にぶち込んで貰った。
 目をシロクロさせて、フガフガしながら、やっと静かになったデブだが、アールは騎士の力のみで抑え込んだままだ。

「この子も運命に巻き込まれた哀れな子。まゆみ……いいえアリアナ。全ては魔界にありました」
「いきなりこっち巻き込むにゃぁぁぁっ!!」

 あまりの振りに、私はにゃー語対応してしまった。
 おい、嫌な予感しかしない、マジでしない、嫌だ嫌だ。
 だが、女神は空気なんか読まない。
 むしろ、切り裂いた。

「魔界に魔王が誕生しています。 ミツオあなたもわかっていますね」
 
 パンをゴクンと飲み込んだゼンが、ガクリと首をうなだれた。
 てかミツオかよお前、と笑っている場合ではなかった。

「女神よ、説明を頼みたい」

 アールの言葉に、のそのそとじじいの姿になったジョージが覚醒したのか、集合した。
 目がショボショボしてるが、年寄りは早起きが得意だし大丈夫だ。生きろ。

「魔界を封印して十数年後、聖女が勇者……当時の初代国王と喧嘩をして家出をしたのを知っていますね?」

 精霊たちはバツが悪そうに頷いた。

「あなた達に罪はありません。人と人の仲たがいに介入の余地はありませんから。ただ、聖女が魔界に引きこもってから、世界のバランスがおかしくなったと思いませんか?」

 その言葉に精霊たちはハッとした顔をする。
 そこにゼンこと聖女の兄のハヤトの叫びが部屋に轟いた。

「ワイの妹が元凶や言うんか!!」
「そうです」

 冷たい声に、私たちの背中に悪寒が走った。
 しゅ-さんが小声で呟いた。

「あんまりだよ……だって勝手に召喚された上に、破滅の元凶扱いだなんて……あんまりだ」

 そんな言葉にすら女神はサラリと返答した。

「ですが魔界に引きこもったのも、魔王に身を堕としたのも己の意思です。そして、こちら側の世界の力を自らに取り込んで、もう間もなく魔界の扉すら手にかけるでしょう」
「扉は精霊様方が、守っていらっしゃるはず」
「この子達の体内より、引き裂いて魔物たちが飛び出てくるでしょうね」
「そ、そうなったら、どうなるんですか!」

 しゅーさんの震えに、女神が静かに目を伏せた。

「魔王と化した彼女は、この世界を憎んでいます。そうですねミツオ?」
「くっ……」
「この世界は滅ぼされます」

 どうやら嫌な予感は的中してしまったようだ。
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