転生幼女は発酵スキルで、異世界に和食革命を起こす!味噌、醤油、酢を作って餌付けしたら、いつの間にか世界に名が轟いていた件

西野和歌

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番外編

その後のアリアナちゃんと愉快な下僕ども・1

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 わちゃちゃーでしゅ!アリアナちゃんでしゅよ?元気でしゅか?
 あーはいはい、元気かい、そーかい良かったね。
 ん?何だその態度はって、いやさ聞いておくれな、今私は絶賛……。

「ねぇねぇ、おチビちゃん。お願いよぅ、聖女になりましょうよ」
「うっさいでしゅ、嫌でしゅ乳デカは去れ!」

 アールにおやつをあげると騙されて、秘密の通路を通って地下の狼の寝床こと女神の祭壇に来た。
 そしたら、待ちかねていた女神に押し売りセールスされている。
 今なら『聖女』大安売りでっせ?いかがっすかー?(怒

 うんざり顔どころか、眉間にしわを寄せて嫌がる私などものともせずに、女神は懇願する。

「やっぱり人々には、生きた崇拝の証が必要だと思うのよ、ぜひ聖女になって頂戴!」
「やでしゅ、面倒は嫌でしゅ、働きたくないでしゅ」
「お供えとか一杯貰えるわよ?」

 おい心を揺らつかせるな、だが断る。
 以前と違い、人々の祈りが直接精霊たちや女神に届きやすくなった今、女神は祈り強化の為に聖女が欲しいらしい。
 しらん。

「精霊のあの子達全員と仲良しのチビちゃんだからこそ、相応しいと思うのよ」
「ケッ、あいつらは奴隷でしゅけど、あいつらも私を弁当か給食係としか思ってないでしゅよ」

 腹減ったら遊びにくるもんなぁ。
 ジョージ以外は、もう勝手に来るから、孫が突撃する祖母の気持ちで食事を与えてあげている。
 ていうか、別に自分の国のお供えや祈りでも、お腹は満たされているはずなのだが?

 私がイヤイヤしていると、女神は思い詰めた顔でトンデモない事を言い始めた。

「いっそ新しい聖女召喚が必要かしらね?」
「学べよ馬鹿乳タップリーナがぁぁぁぁ――!!」

 怒鳴りつけ、私は投げるものがなかったので、首にいつもぶら下げている、母の形見の気味悪いピーマンネックレスをぶん投げた。
 想いと父のセンスの悪い呪いがかかったピーマンは、女神の乳で跳ね返されて、私の手元に見事に戻って来た。

「キャン!」
「召喚なんて絶対に許さないでしゅ。ともかくお前に必要なのは、人の祈りと信仰を信じる心でしゅ」
「ガーン!」

 落ち込んだ女神に背を向けて、私はとっととその場を去った。
 とりあえず、私を女神に売り飛ばしたアールを、縄でグルグル巻きにして、女官たちに引き渡してやった。
 徹底的に、もて遊ばれるがいい。ヒャンヒャン鳴いてるけどザマァ。

「アーリー……アールがムゴい事に、ああっ女装させられて、見ていられない」
「アールは人気者でしゅねぇ、にーたんも行くでしゅか?」

 ギャアアアと城内に響くアールの悲鳴と、私の暗黒笑顔に、兄は無言で首を横に振った。

「うちに狼なんてなかった」

 そしてアールの存在をなかった事にした兄は、間違いなく私の兄だった。

「その手のひらの返しの早さは、トップとして大事でしゅよ」
「よい犠牲だったねアーリー」
「狼なんてなかった」
「なかったねぇ」

 兄妹が一つになった瞬間だった。
 そこでホッコリしていたら、兄が思い出したように国王である父が私を探しているという。

「なんでしゅかね?」
「さあ?何かはしゃいで、国中のデザイナーを呼べとか何か?」
「また、あの元ヒゲが……嫌な気がするでしゅ」
「頑張ってアーリーに好かれようとヒゲを剃ったおかげで、最近は国の奥さんたちに人気らしいよ」
「興味ないでしゅ」

 どうでもいいが、ともかく父の元に行くと、なぜか女官たちや大臣たちと盛り上がる父がいた。

「祝杯だ、国中を……いや、この世界すべての者達が新たなる聖女の誕生を祝いましょうぞ王!」
「きゃーっ!うちの姫様がとうとう聖女様に!やだっ、ティアラ新調しなくっちゃ!あとはドレスもっ!」
「法を変えなくては!聖女法が必要ですぞ、いやいっそアリアナ様は適用外の超越した存在として……」
「神殿からも祝いが届いております!ぜひ聖書に姫様を入れさせていただきたいと、大神官が面会を求めています」

 ……は?

「女神様いわく、うちの娘がこの世界を統べる聖女になるらしい。愛しいうちのアーちゃんだからこそ選ばれたのだ!」

 父の言葉に、皆が拳をあげて「おーっ!」と盛り上がる。

「全ては我が娘の為に!」
「全てはアリアナ様の為に!」

 私は静かに扉をソッと閉じた。
 激しい熱気と、止められない勢いと盛り上がり、ある意味危険な宗教じみた気配すらある。
 閉じた扉の向こうを指さして、私は兄に目で訴えた。
 だが、兄も唖然とした顔で、またもや無言で首を横に振る。

「流石に先走り過ぎだ、私から父上にちゃんと伝えてあげるから……」

 プルプルと私は震える。

「どうしたんだい?チッチかい?」
「情けなさと怒りでしゅ」
「落ち着きなさい。ちゃんと私が皆に、まずは落ち着くように言っておくから」
「……部屋に帰るでしゅ」
「そうだね、落ち着くまで部屋にいなさい」

 抱きしめられ頭を撫でられ、私は一人部屋に戻った。
 誰も入らないように指示して、ベッドにドカッとふてね(不貞寝)する。
 怒りと、なんだろう、コレは?
 ああ、わかった。勝手に決められた事に失望しているんだ。

「先にちゃんと私の意見も聞いて欲しかったでしゅよ」

 そんなに聖女になって欲しいの?名誉だから?
 しゅーさんは、自国に帰って今はいない。
 兄は父の説得に行ってくれたが、効果があるかはわからない。

 私はガバッと起きた。
 クローゼットを開け、エッホエッホとリュックサックに荷物を詰める。
 服とパンツとパンツとパンツ。カボチャのパンツ。
 懐かしい旅をしていた時に愛用した品々を放り込み、少し悩んだ末に、ポケットに入れたままの千切れたピーマンネックレスも入れた。

 そして机に向かって、習ったばかりの字で手紙を書く。

『あたまひやせ、せいじょいや』

 よいしょとサックを背負い、トテトテと部屋にある風呂場に向かう。
 ここは普段はあまり使わない。城には王室専用の、ライオンの口から湯がドバドバ出る大浴場がある。
 なので皆は知らない。気づいてるのはアールくらいかな?
 私は風呂に少しだけ水を張った。蛇口をひねるだけで水が出る便利さよ。
 そして、指先を沈め、スキルを発動する。

「ジョージの所に行きたいでしゅ。ぴえん」

 私の問いかけに、すぐにジョージは反応してくれた。
 ジョージの放つ澄んだ水の光が風呂場を包み、私を南国に運んでくれた。

 そう、家出じゃ家出!
 反省しろっフンっ!

 そうして、数時間後にアリアナの置き手紙で城はパニックとなり、国王は全軍による捜索隊を結成しようとして兄に止められていた。
 アールは女官のおもちゃを継続中で役立たずだった。
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