こんにちは、最強騎士にお持ち帰りされたダメエルフです~もう逃げられません~

西野和歌

文字の大きさ
9 / 36

9

しおりを挟む
 宿を出てまずギルドに向かう。

 今までにない規模の大きさに圧倒されながら、いくつもあるカウンターの一つに向かい、ウェダーの持ち込んだ、黒トカゲ討伐のクエストに参加したいとシャーリーは告げた。



 受付の職員は困惑した顔をしてウェダーを見つめたが、シャーリーの後ろのウェダーから目で合図を受け、参加登録を完了させた。



「証拠品は、あくまで尻尾の先だけで大丈夫です。今回は特例クエストですので、リタイアも受け付けます。くれぐれも無理しないで下さいね」



 とても親身に心配してくれたと、感激するシャーリーは知らない。

 このクエストは、本来は参加できない中級以上からであり、背後にいるウェダーの特権と能力により、ギルドが許可を出したのだった。



 いつもの冒険者用のワンピースに短いタイツ姿、背後には折りたたみ弓とウェダーに勧められた屑石の矢を入れた筒を肩から胸元にかけている。

 長い金髪を後ろにまとめ、緑の瞳を期待に輝かせながら、森の入り口まで優雅に馬車で運んでもらう。



 スタートの時点で、こんな楽をしていいのだろうか?

 いいのだとシャーリーは前向きに受け入れて、森に入っていく。

 同行者は、紺色シャツに騎士がよく履く黒ズボンのウェダーのみ。

 黒皮の胸当てだけ身に着けた軽装のウェダーに、そんな装備で大丈夫かと尋ねたら鼻で笑われた。



「じゃあ、森は私の得意なフィールドなので、ちゃんと後ろついて来て下さいね」



 とはりきった五分後、森の木々や蔦に遮られて、シャーリーは歩行に四苦八苦していた。

 十分もすると、慣れた様子で先頭がウェダーに切り替わる。



「気にしなくていいよ。野営訓練で慣れてるし、そもそも君は後方支援の狩人なんだから」

「すいません……ううっ」



 森の奥深くを目指して、二人は進む。

 邪魔な枝や蔦は、全てウェダーが剣で薙ぎ払う。

 逞しい背中の後を、シャーリーはついていくばかりだ。



 生い茂る緑の隙間から、太陽の光のカーテンがキラキラと銀の髪を照らす。

 彼が生粋の獣人ならば、きっと誇り高い銀の虎だったはず。

 眩しいほどに崇高な姿を思い浮かべ、本当にこの人の番が私なのかと、不思議で仕方ない。



「迷いなく進んでますけど、黒トカゲの匂いがわかるとか?」

「ぷはっ……流石にトカゲの匂いは勘弁してくれ。黒トカゲは水場の岩場に巣をつくる習性があるから、水のありそうな場所を探してる」

「水の場所って、わかるんですか?」

「まあ、生えている草や木や、さっきから空を飛んでいる小鳥の方向から、まあ勘なんだが」

「凄い!」



 並みの冒険者より、有能なのではないか?

 これは負けられないと、なぜか無意味な対抗心を燃やしたエルフを連れて、まもなく水音が耳をうつ小さな川辺に辿り着いた。

 ピョコピョコと耳を動かし、シャーリーは音を聞き分けた。



「ウェダーさん!何かいます」

「ああ、奴さんのおでましだ」



 大人でも渡り切れるかという大きな川幅、岩場には苔がむし雑草が生い茂り足場が見え辛い。

 だが、物音はする。

 何かがカサカサと鳴る音とともに、即座に黒い巨体をぬめりと現した。



 子牛と同程度の大きさの黒い爬虫類は、その口元に鋭い牙が揃っていた。

 シャーリー程度なら丸のみにされそうな巨大トカゲは、まっすぐに向かってくる。



「俺が合図したら、矢を射ってくれ」

「はいっ!気を付けて下さいね!」



 ウェダーは緩みかけた口元を引き締めて、剣を構えて魔物に向かっていく。



 ――まあ、一撃で殲滅は可能なんだが……。



 あえて威力を落として切りかかる。

 右前足を飛ばしたが、あちらは怯むどころか、より威嚇して襲い掛かろうと向かってきた。

 剣を弾くトカゲの粘膜は面倒だが、それよりも今がチャンスとシャーリーに指示を飛ばす。



「火をイメージして矢を撃ってくれ」

「えっ?え、火?」

「いいから、早く!」



 仕留めるより抑制する方が面倒だ。

 だが、彼女は必死に弓をつがえ狙いを定めた。

 俺の読みに間違いなければ……。



「いきます!離れて!」



 後ろに大きく飛び、距離をとったウェダーの前に放たれた矢が軌道を描く。

 なぜか自ら獲物に向かうように、矢じりを赤くして黒トカゲの目を貫いた。

 形容しがたい魔物の叫び声が響く。



「う、嘘!当たっちゃった」



 むしろ、たかだか一本の矢で、ここまでダメージを与えた事の方が異常なのだが、見事に命中させた奇跡にシャーリーは自ら驚き、矢をつがえたポーズのままに固まった。

 ウェダーは尻尾を水に打ち付けつつも、陸に転がりもがくトカゲに、容赦なくトドメを刺した。



「ひゃあっ!」

「はい、終了」



 手間取った時間など何だったのか、ウェダーは黒トカゲを軽く半分に叩き切った。

 上下に分かれたトカゲの下半身が水に沈んでいくのを見て、ウェダーは慌てる。



「おっと、尻尾が必要なんだ」



 ブスリと半身になった下半身の肉に剣先を突き刺して、片手で軽く引き上げた。

 そして尻尾の先を切り落とす。

 剣先の汚れが気持ち悪いのか、川の水に刃をつけた後、ブンと風を何度か切って水気をとると鞘に納めた。



 切り離された上半身は、死を迎えているがピクピクと痙攣を繰り返していた。

 足で転がしてあおむけにして、矢が刺さった目玉を注意深く見る。



「ああ……やっぱり」



 何かを確認して納得したウェダーに、シャーリーが駆け寄って来た。



「大丈夫ですか?というか凄いです!私達退治できたんですよね?」

「ああ、凄いなシャーリーは」



 膝をつき手招きで呼び寄せると、警戒心なく隣に座り込む恋人に苦笑する。

 無防備な彼女が、今まで無事に生き延びてくれた事に感謝した。

 赤く焼け焦げたトカゲの目を指さして説明してやった。



「ちゃんと魔法が発動してる。おめでとう」

「うそっ、あの矢にそんな力が?」

「石は屑でも元は魔石。確かに魔力を込めやすいが、それを発動させたのは君で間違いないよ」

「でも、私の魔力は塞がっていて使えないはずじゃ……」

「だから、もう穴が開いただろ?」



 真横の美貌がニコリと微笑んだ。



「俺が大人にしてあげたのが、効果あったのかな?」

「穴って……ちょっと、キャ――っ!」



 恥ずかしくて、思い切りウェダーの肩をバンバンと叩く。

 あははと嬉しそうに笑うウェダーだが、抵抗せずにされるがままだ。

 というか、むしろじゃれてくる子猫が可愛いといわんばかりに堪能していた。



 早朝に出発して、まだ午前中だというのに、早速クエストをクリアしてしまった。

 しかも……しかもだ……。



「私、魔法を使えるようになった?」



 長老からは、何がきっかけになるかは、わからないとは言われてはいた。

 ある日突然、覚醒する者もいたし、転んだ拍子に使える様になったり、それこそ吹き矢を吹く為に、大きく息を吸った途端に魔法が身についた者もいたらしい。

 塞がる原因も、それが剥がれる理由も、あまりにもサンプルが少すぎてわからないと、匙を投げられるのがエルフの現状。



 皆が魔法を使う中で、魔力はあれど使い方すらわからない私は、小さく生きていたものだ。

 だけど……大人になる事が発動条件だった?



「感謝してくれていいよ?シャーリー」

「それとこれは、別です」



 ピシャリと調子に乗った彼の言葉を遮って、矢を見つめた。

 確かに刺さったトカゲの目玉の部分は、焼けて溶けている。

 普通の矢では、ありえない事だ。

 実感がじわじわと湧き上がり、喜びに満ちていく。



「これで私も立派なエルフとして、やれファイヤーとかブリザードとか、ビシバシ魔法を駆使して活躍できるんだ」

「いや、それはどうだろう?」

「ええーっ!」

「試してみよう」



 ウェダーに手を繋がれて、少しトカゲの上半身から距離を置く。



「じゃあ、魔法で攻撃してみて?」

「どうやって?」



 活躍する気はあるのだが、何せ使い方がわからない。

 笑いを堪えた涙目のウェダーが、指示を出す。



「ププッ、じゃあ活躍できるように、また弓で狙ってくれるかな?」

「はいっ」



 元気よく答えて、目の前のまだビクビクしているトカゲに狙いを定めた。



「今度は、ブリザードかな?冷たくなれって、氷をイメージして撃ってみて」

「ええっと、こうかな?」



 ギリギリと指先で矢をつがえて引きながら、私は言われるがままに、気合を込めた。



「放て」

「冷たくなれっ!」



 風を切ってバシュッと刺さった途端に、トカゲに薄い氷の幕が張った。

 だが、すぐにホロホロと割れたガラスのように零れ落ちていく。

 それでもウェダーには十分だった。



「うん、出来たね。えらいえらい」

「威力……弱すぎ」



 へこむシャーリーが座り込んだが、ウェダーは満足そうだった。



「凄いよシャーリー。ゼロとイチでは全然違う」

「ですね。これから、鍛えたらいいんですもんね」



 立ち直りだけが取り柄のシャーリーは、なんとか元気をとり戻した。

 だが、そんな温かな雰囲気も、一瞬にしてウェダーの動きによって止まる。



 何かを聞きつけたウェダーと、数秒遅れて耳の良いエルフもその音を拾った。

 ガサガサといくつも這いまわる音、先程のトカゲと似た足音が、こちらに勢いよく向かってきている。



「血の匂いを嗅ぎつけたか……群れだったみたいだな」

「黒トカゲのですか?まさか、この魔物は群れなんか作る習性はないはず」

「誰かが……っと」



 口を滑らせそうになったウェダーは、慌てて口元を手で押さえた。

 幸いなことに、シャーリーは向かってくる音に警戒して気づかない。

 ウェダーのこのクエストの目的の一つ、シャーリーの能力開花の確認は終えた。

 残りの今の状況は、願ってもない幸運だった。



 シャーリーの言う通り、黒トカゲは群れる生態ではない。

 なのにギルドで討伐まで募集され、あげく今複数向かってくる気配からして、ウェダーは確信する。



 こいつらも何者かによる増殖か――



「行ってくる。ここで待ってろ」

「私も行きます」

「ここで待機。命令に従え……っと、じゃないな」



 騎士の顔から、一瞬恋人の顔に戻る。



「君が大事だから、ここで待っていて」

「一人でなんて危険です」

「少しは惚れた女の前で、カッコつけさせてくれ」



 ニッコリと笑うウェダーに見惚れた隙に、人では飛び越えられぬ川幅を軽い助走のみで飛び越えた。

 その姿に、シャーリーが唖然としていると、ウェダーの背中はその先の森に消えていく。



 すぐに物音に変化が訪れた。



 人ならば聞こえぬ魔物の呻きを、シャーリーはハッキリと聞き分ける。

 全てがすぐに鳴いては消えていく絶叫に、ウェダーの剣舞が見えるようだった。

 数分もすれば、森は再び静寂を取り戻し、心地よい小川のせせらぎが聞こえるばかり。

 ガサガサと草をかきわけてウェダーの姿が現れた瞬間、シャーリーはホッとした。



「良かったぁ、無事だった」

「うん?ああ、この程度……というか、少し川辺から離れてくれ。そこに着地するから」



 刃先を川につけると、汚れた色が清められた。

 軽く跳躍して、見事に川を越えてシャーリーの目前に着地した瞬間、シャーリーが飛びついた。



「あんなに数がいるのに、一人で戦うなんて心配したんだから!」



 ついホロリと本音が出てしまったが、そのままウェダーの腰に抱きついた。

 対してウェダーは、嬉しくて仕方ない。

 カチャリと剣を鞘に戻し、いざ両腕で愛しいエルフを抱きしめようとすれば、手は空振りする。



 苦笑いしつつ、ウェダーはシャーリーに尋ねた。



「尻尾の数で報酬が決まるけど、向こうのトカゲのも切り取ってこようか?」



 だが、予想通りシャーリーは首を横に振った。



「私はいいです。ウェダーさんの手柄なので、好きにしてください」

「そうか、ならもう帰ろう」

「えっ?いいんですか?」

「用は済んだ」



 そう言って、二人は道を戻り森を抜けた。

 待っていた馬車に乗り込み、即座にギルドに向かうと、受付の職員が喜んでくれた。



「おかえりなさい。まあ、ウェールズ様がついてるから大丈夫だと思ったけど、無事で良かったわね」

「はい、ありがとうございます」



 つい嬉しくて、満面の笑みを浮かべたシャーリーは、トカゲの尻尾を差し出した。

 麻袋に入れた拳程度の大きさの尻尾には、黒トカゲ特有のギザギザのヒレが細かくついている。



「うん、間違いなく黒トカゲよ。カードを貸して貰っていいかしら?」



 差し出したシャーリーのカードを受け取り、何やらガサゴソと手続きを始めた。

 時間は正午を過ぎた頃、周りの冒険者がチラホラといる中で、大人しくシャーリーは完了を待つ。

 そして、小さな報酬の入った袋とカードが差し出された。



「おめでとう。ちゃんと頑張った経験値も入ってたわよ。凄いわね、魔力が発動って書いてあるし、いきなり才能に目覚めちゃった?」



 笑いながら差し出された袋には、銀貨が二十枚も入っていた。

 普段は銅貨レベルの報酬ばかりなので、喜びより驚きが大きい。



「こ、こんなに!」

「それだけの事をあなたはしたのよ?胸を張りなさい」



 こくこくと素直に受付嬢の言葉に頷きつつ、カードを見て手が震えた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

責任を取らなくていいので溺愛しないでください

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
漆黒騎士団の女騎士であるシャンテルは任務の途中で一人の男にまんまと美味しくいただかれてしまった。どうやらその男は以前から彼女を狙っていたらしい。 だが任務のため、そんなことにはお構いなしのシャンテル。むしろ邪魔。その男から逃げながら任務をこなす日々。だが、その男の正体に気づいたとき――。 ※2023.6.14:アルファポリスノーチェブックスより書籍化されました。 ※ノーチェ作品の何かをレンタルしますと特別番外編(鍵付き)がお読みいただけます。

初恋をこじらせた騎士軍師は、愛妻を偏愛する ~有能な頭脳が愛妻には働きません!~

如月あこ
恋愛
 宮廷使用人のメリアは男好きのする体型のせいで、日頃から貴族男性に絡まれることが多く、自分の身体を嫌っていた。  ある夜、悪辣で有名な貴族の男に王城の庭園へ追い込まれて、絶体絶命のピンチに陥る。  懸命に守ってきた純潔がついに散らされてしまう! と、恐怖に駆られるメリアを助けたのは『騎士軍師』という特別な階級を与えられている、策士として有名な男ゲオルグだった。  メリアはゲオルグの提案で、大切な人たちを守るために、彼と契約結婚をすることになるが――。    騎士軍師(40歳)×宮廷使用人(22歳)  ひたすら不器用で素直な二人の、両片想いむずむずストーリー。 ※ヒロインは、むちっとした体型(太っているわけではないが、本人は太っていると思い込んでいる)

乙女ゲームの世界に転移したら、推しではない王子に溺愛されています

砂月美乃
恋愛
繭(まゆ)、26歳。気がついたら、乙女ゲームのヒロイン、フェリシア(17歳)になっていた。そして横には、超絶イケメン王子のリュシアンが……。推しでもないリュシアンに、ひょんなことからベタベタにに溺愛されまくることになるお話です。 「ヒミツの恋愛遊戯」シリーズその①、リュシアン編です。 ムーンライトノベルズさんにも投稿しています。

可愛げのない令嬢は甘やかされ翻弄される

よしゆき
恋愛
両親に可愛がられず、甘え方を知らず、愛嬌のない令嬢に育ったアルマ。彼女には可愛らしく愛嬌のある自分とは正反対の腹違いの妹がいた。  父に決められた婚約者と出会い、彼に惹かれていくものの、可愛げのない自分は彼に相応しくないとアルマは思う。婚約者も、アルマよりも妹のリーゼロッテと結婚したいと望むのではないかと考え、身を引こうとするけれど、そうはならなかった話。

伯爵は年下の妻に振り回される 記憶喪失の奥様は今日も元気に旦那様の心を抉る

新高
恋愛
※第15回恋愛小説大賞で奨励賞をいただきました!ありがとうございます! ※※2023/10/16書籍化しますーー!!!!!応援してくださったみなさま、ありがとうございます!! 契約結婚三年目の若き伯爵夫人であるフェリシアはある日記憶喪失となってしまう。失った記憶はちょうどこの三年分。記憶は失ったものの、性格は逆に明るく快活ーーぶっちゃけ大雑把になり、軽率に契約結婚相手の伯爵の心を抉りつつ、流石に申し訳ないとお詫びの品を探し出せばそれがとんだ騒ぎとなり、結果的に契約が取れて仲睦まじい夫婦となるまでの、そんな二人のドタバタ劇。 ※本編完結しました。コネタを随時更新していきます。 ※R要素の話には「※」マークを付けています。 ※勢いとテンション高めのコメディーなのでふわっとした感じで読んでいただけたら嬉しいです。 ※他サイト様でも公開しています

【完】麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜

こころ ゆい
恋愛
※完結しました!皆様のおかげです!ありがとうございました! ※既に完結しておりますが、番外編②加筆しました!(2025/10/17)  狼獣人、リードネストの番(つがい)として隣国から攫われてきたモモネリア。  突然知らない場所に連れてこられた彼女は、ある事情で生きる気力も失っていた。  だが、リードネストの献身的な愛が、傷付いたモモネリアを包み込み、徐々に二人は心を通わせていく。  そんなとき、二人で訪れた旅先で小さなドワーフ、ローネルに出会う。  共に行くことになったローネルだが、何か秘密があるようで?  自分に向けられる、獣人の深い愛情に翻弄される番を描いた、とろ甘溺愛ラブストーリー。

勘違い妻は騎士隊長に愛される。

更紗
恋愛
政略結婚後、退屈な毎日を送っていたレオノーラの前に現れた、旦那様の元カノ。 ああ なるほど、身分違いの恋で引き裂かれたから別れてくれと。よっしゃそんなら離婚して人生軌道修正いたしましょう!とばかりに勢い込んで旦那様に離縁を勧めてみたところ―― あれ?何か怒ってる? 私が一体何をした…っ!?なお話。 有り難い事に書籍化の運びとなりました。これもひとえに読んで下さった方々のお蔭です。本当に有難うございます。 ※本編完結後、脇役キャラの外伝を連載しています。本編自体は終わっているので、その都度完結表示になっております。ご了承下さい。

聖銀竜に喰われる夜――冷酷な宰相閣下は、禁書庫の司書を執愛の檻に囚える

真守 輪
恋愛
「逃がさない。その賢しい口も、奥の震えも――すべて、私のものだ」 王宮で「禁書庫の未亡人」と揶揄される地味な司書・ルネ。 その正体は、好奇心旺盛でちょっぴり無作法な、本を愛する伯爵令嬢。 彼女には、誰にも言えない秘密があった。 それは、冷酷非道と恐れられる王弟・ゼファール宰相に、夜の禁書庫で秘密に抱かれていること。 聖銀竜の血を引き、興奮すると強靭な鱗と尾が顕れる彼。 人外の剛腕に抱き潰され、甘美な絶望に呑み込まれる夜。 「ただの愛人」と割り切っていたはずなのに、彼の孤独な熱に触れるたび、ルネの心は無防備に暴かれていく。 しかし、ルネは知らなかった。 彼が近づいた真の目的は、彼女が守る「禁書」――王国を揺るがす禁断の真実にあったことを。 「君は、私のものだ。禁書も、その魂も、すべてな」 嘘から始まった関係が、執着に変わる。 竜の情欲と宮廷の陰謀が絡み合う、背徳のインモラル・ロマンス。

処理中です...