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「きゃあああっ!」
「このエルフは重要人でな。では連行する」
「なっ、ななっ!」
そのまま肩に担がれて、速足でウェダーは歩き始めた。
突然の登場と、自分に何が起こったか把握できず、ぱくぱくとシャーリーは口を動かすばかり。
周囲は好奇の目で見つめるが、決して助けようとはしない。
なにせ相手は騎士なのだ。
しかも、その服の胸元から縦に入っているラインの数は、ウェダーの地位を明確に示していた。
「助けてっ!てか降ろして!やだっ!」
足をばたつかせても、背中を両手で叩いても、ビクともせずに運ばれる。
シャーリーですら気づいていた。
ウェダーが怒りに狂っている事を……。
だけど、それは自分も同じなのだ。
最初に甘い言葉で本気にさせておいて、結局は裏切ったのは彼なのだ。
滲む目をギュッと閉じて、歯を食いしばる。
でないと、全ての感情がこぼれ出てしまいそうだったから。
そのまま馬に乗るのかと思ったが、ウェダーは人通りを抜けて歩いていく。
シャーリーは閉じていた目を開き、ただ運ばれるままだ。
ちゃんとお別れを言わなかったのは、確かに私が悪かったかも。
マーロさんにも不義理をしてしまったし、今は素直に運ばれて、ちゃんと落ち着いたら謝罪しよう……そして――
大通りから裏道に入り、中規模の店が立ち並ぶ雑多な通りに辿り着く。
行きつけに向かうかの如く、ウェダーはある酒場にエルフを担いだまま入った。
まだ昼間のせいか、客も数人が円卓でチビチビと酒を楽しんでいたが、突然の珍客に飲んでいたアルコールを噴出した。
こんな場末の店に、来ていい身分の男ではない。
あげくにエルフらしき女を連れている。
これは訳ありだと、皆が見ない振りをして顔を伏せた。
カウンターの男に、ウェダーは金貨を投げた。
「一番マシな部屋の鍵をよこせ」
「はっ、はいっ!」
慌てた店主は足元に酒瓶を転がしながら、一等室の鍵を手渡した。
目で竜すら殺せそうな気配で、騎士はそのまま二階にあがって行く。
怯えたエルフと目が合ったが、店主はサッと顔を逸らす。
二階は、この国では珍しくもない連れ込み宿となっている。
つまり、あの騎士はあのエルフと……騎士の足音が聞こえなくなった今、店主はあえて考える事を放棄した。
軋む廊下を通り、鍵と同じ花の扉を開く。
中はそれほど広くはないが、置かれた家具がマシな部類だった。
部屋の全てがビロードの赤で統一され、中央に置かれたベッドが部屋の目的を物語っていた。
ドサリと振り落とされ、シャーリーの体はシーツの上に転がった。
いつもの優しい扱いと違う、そう気づき顔をあげると目が合った。
鳶色の目が金色に輝き、先程まで氷の彫像のごとく息を殺していた男が、荒く胸を弾ませ呼吸音すらあげている。
まるで獣だ……飢えた獣が、やっと餌を捕食する。
ゴクリと唾をのんだシャーリーは、それでも勇気を出して言葉を発しようとした。
だが、それを制するかのように、ウェダーが聞いた事もない低い声を出す。
「どうして逃げた?」
「っ……違います。もう、用がないから森に帰るんです」
これは本当だ。
そもそも狙われているなら、とっとと森に帰ればいい。
あそこなら仲間達が守ってくれる。
私は容疑者でもなかった。
ただ結婚という名目で側にいて欲しいとか、彼の関わっている事件の関係で預けられていただけ。
涙を堪える為に、私の腰をまたぐように上に座って抑え込んでくる彼を睨みつける。
だが逆効果だった。
ウェダーは、せわしなく脱いだ上着をバサリとベッドの下に放り投げ、唇を舐めた。
怯える子ウサギのようなシャーリーの胸元に、大きな手が伸びる。
そしてシャーリーの身に着けているシャツを無理やりに裂こうとする動きに、悲鳴があがった。
シャーリーの体温、そして体臭が麻薬のようにウェダーを狂わせていく。
「やめて!自分で脱ぎます!破かないで!」
「あとで幾らでも買ってやるから」
「そうじゃないです!怖いから、ちゃんと話をして!」
ガクガクと体を震わせて必死で訴えたのだが、正気を失いかけたウェダーには届かない。
ゆっくりと腰を屈めて、押し倒した愛しい番の鼻先に息がかかるほど顔を近づけた。
整った見慣れた顔のはずなのに、ウェダーの淀んだ瞳に心が冷えていく。
「今更なんですか……私と結婚したいって言ってた癖に……怖いです」
「ちゃんと説明するが、先に君を抱きたい」
「またそうやって、体で私を丸め込むんですか!そうじゃなくって」
必死に身をひねろうとしても、両手首をシーツに縫い留めるように抑え込まれ動けなくなった。
首元をペロリと舐められ、ゾクリと身をすくませると、耳元で小さくウェダーは囁く。
「後で聞く。もう限界だ……シャーリーが足りない」
「いい加減にして!」
悲しみと怒りが爆発して、シャーリーは全身で拒絶した。
様子の違うシャーリーに驚いたのか、やっと我を取り戻したウェダーが、埋めていた首元から顔をあげた。
泣きながら自分を見つめるシャーリーに、ズキリと心が痛む。
「どうして、いつもちゃんと話から入ってくれないんですか」
「……ごめん」
「どうして……もう婚約者もいるのにこんな事……私はエルフで相応しくないのはわかってます」
「誤解してる……のか?」
「手を放して下さい」
冷たく硬い言葉に、ウェダーは抑えていた手を離した途端に、部屋にバチンと大きな音が響く。
叩かれた頬に熱さを感じたものの、痛みなどほぼない。
それでも、それがシャーリーの全力であり、全ての感情を込めた全てなのだと理解していた。
「シャーリー……手首を痛めてないか?」
「最低です!何が誤解なんですか!」
「あの女と婚約したという嘘の事だ」
「……嘘?とりあえず、落ち着いて先に話をして下さい。それまで私に触らないで下さいね」
「そんな……」
ニッコリとシャーリーは笑いトドメを刺した。
「それすら守ってくれないなら、私はウェダーさんを軽蔑します」
「うっ……わかった」
二人はベッドに向かい合って座る。
乱れた服を整えようとして、シャーリーはシャツのボタンが取れかかっているのに気づいた。
犯人は申し訳なさそうに、謝罪する。
「すまん。後で好きなの何枚でも買いに行こう」
「仕事大丈夫ですか?あ、私のバックに裁縫セットがあるので持ってきてください」
「仕事は明日まで休憩をとった」
「忙しいんですね」
入り口に放り出されたままの鞄を素直に取り行ったウェダーは、鞄をガサゴソと漁る。
シャーリーの指示で、内ポケットから手のひらサイズのキットを渡すと、シャーリーはおもむろに上着を脱いだ。
ブラ姿の下着のみの上半身は、白く眩しくて、ウェダーは生唾を飲んで必死に自制心を働かせる。
「これはひどい拷問だ」
「一度軽蔑したら、二度と好きになる事はないですからね?」
「たっ……耐える!」
つい小さく笑ったシャーリーが、チクチクとボタンを繕った。
手慣れた様子だなと見守りつつ、ウェダーは自分が上半身の裸体を晒したままで、脱いだ騎士服の上着をシャーリーに被せた。
「寒そうだから、これはノーカウントで」
「ありがとうございます。すぐに終わりますよ」
「器用だな、シャーリーは」
妖しい部屋のベッドの上で、二人を包む空気が変わる。
カーテンは光を通さず、薄暗い中でランプの灯りだけだとしても、シャーリーの手は滑らかにボタンを仕上げた。
大きな騎士服に包まれたエルフの小柄な姿に、改めてウェダーは愛しさが募っていた。
先程までの荒れた嵐は静まり、心が凪いている。
彼女だけだ、彼女の存在だけが自分の全てを簡単に変えてしまう。
自らのシャツを着たシャーリーが、今度はウェダーの騎士服の裏地に針を通す。
「ここの裏生地が弱っているので、軽く縫い留めておきますね」
「ああ……助かるよ」
変な感覚だが、穏やかな気持ちがじわじわとウェダーを幸福に染めていく。
シャーリーと共に旅をしている時も感じていたが、彼女の雑務スキルは相当なものだった。
「俺の奥さんは、家庭的で幸せな家庭が作れそうだ」
その言葉にビクリと、手が止まる。
上着をウェダーに手渡すシャーリーの顔は、一瞬にして強張っていた。
「次からは、その家庭的な奥さんに繕って貰って下さいね」
貴族の女性は刺繍を嗜むそうだから、きっともっと上手に繕えるに違いない。
服ではなく、心に針を刺したようにチクチクと痛む。
そしてウェダーもやっと本題を思い出す。
「誤解なんだ……いや、あの女と偽装婚約したのは事実だが、それは職務に必要だからだ」
「職務?例の事件ですか?」
やっとまともに向き合えると内心安堵の息を吐き、真面目な顔でシャーリーはウェダーと向き合った。
相変わらず、銀の髪はランプの光にゆれて幻想的で、切れ長の目は優しい色に戻って見つめてくれた。
まるで、先程までの獣などいなかったみたいだ。
ウェダーはもう迷うことなくシャーリーに告白を始めた。
「君に黙っている方が誤解を生むとは……。すまない、短期決戦で君の耳に入る頃には全て終わらせるつもりだった」
「偽装婚約って、あの金髪の目のキツイ伯爵令嬢とですよね?」
指先で目の端をつりあげ真似をするシャーリーに、ウェダーはつい噴き出した。
口元を手で塞ぎ、声をあげて笑う。
「あははっ!ああ、そうだ。前に話したしつこい女が彼女だ。今回の事件の重要参考人で、情報を聞き出すのに近づくしかなかった」
「彼女は私を知ってました。私の事を話したんですか?自分こそ正式な婚約者なのだから、とっとと消えろと言われました」
ピタリと笑い声が停止し、ガラリと吹雪すら思わせる凍り付いたウェダーが、聞こえぬ小声で呟いた。
「殺す」
「何か言いましたか?だから、はっきり言って下さい。そりゃあ、私は役立たずで足手まといかも知れないですけど、何も知らないのは不安で辛いです」
そっとウェダーの手を握り、向き合った。
ちょこんと座るシャーリーが、上目遣いに懇願する。
「信じたいんです。でも、不安にさせられるのは嫌」
なんて可愛い生き物なのかと、ウェダーは三度瞬きをする。
小さな手が、必死で俺の手を握る。
喜びと共に、改めて事件を解決すべきと覚悟を決めた。
「やっと笛の秘密がわかりそうなんだ。その情報を手に入れる為に、俺は奴らと婚姻して家族になりたいと申し出た。勿論、これは極秘で他言無用で頼む」
「……ごめんなさい。私が我儘言ったから……」
「君を不安にさせて、本当に反省している。もっと配慮が必要だった。俺は君の事になると気の回らない馬鹿になり下がる」
「そんな事ないです!私こそ、ごめんなさい。信じられなくて……本当に」
ホロリと流れる涙を拭きたくて、けれど自分から触れられないウェダーは降参した。
「君を慰めたい。抱きしめるだけだ、どうか許可を頼む」
「私からしがみ付いたら、優しく抱きしめ返すだけなら許します」
ドンと小さな体が胸に収まり、ウェダーは両手で隠すように抱きしめた。
欲望だけでなく、愛が優しく自分に広がっていくのを、確かにウェダーも感じた。
しがみついたシャーリーも、手が回しきれない大きな背中に必死でしがみつく。
やっと彼が自分の所に戻ってくれた気持ちで一杯だ。
「嬉しい……ずっと、本当は寂しかったんです」
「俺もだシャーリー。まもなく片を付けるよ。その為に駆けずり回って耐えたんだ」
「私もマーロさんに、魔法の基礎を教えて貰ったんです。少しですが、付与魔法を使えるようになったんですよ」
「それは凄い」
シャーリーの才能に、最初に気づいたのはウェダーだ。
その見立てに間違いはなく、やはり付与だったのかと片隅の冷静な騎士の自分が納得していた。
「シャーリー。マーロには再度ちゃんと気を付けるように頼む。こちらから警護もつける。だからあの屋敷で、もう少しだけ待っていて欲しい」
「私にも、またあの女性が怒鳴りに来るんですか?」
「そっちは、どうとでもなる。問題は、君の魔法の才能が狙われる事だ」
「私の才能って……付与……あっ!」
やはりシャーリーは愚かではなかった。
気付かれてしまい、既に巻き込まれていたなとウェダーは抱きしめる腕に少し力を入れた。
「笛に魔法を付与した者がいるはずだ。そして、あちらからすれば、他にも付与できる者がいれば何人でも欲しいはず」
「私そんなの作れるほど、魔力は強くないそうですよ?保有量こそ、そこそこですけど威力はまた別の問題みたいです」
「それをあちら側がどうとらえるかは別として、危険なのに違いない」
真剣な目で、ウェダーはシャーリーに再度言い聞かせた。
「騎士として、一人の男として、君を守りたい」
ドキリと高鳴る胸を隠すように、シャーリーは赤くなった顔をウェダーの胸にうずめて隠す。
その仕草が小鳥のようだと、愛しい目で見つめられている事すら気づかない。
「私がもっと立派だったら、守られるだけでなく、何か協力できたのに。悔しいな」
「事件の危険が去ったら、君に助けを求めるかもしれない」
「えっ、本当に?」
「あの笛をこの国の付与魔法使いに確認して貰ったら、人では作成は難しいそうだ。なんでも、動物や魔物を追い払うならともかく、仲間のように認識させて呼び寄せる性質を付与する事は難しいらしい」
「確かに、エルフは森に住み動物やそれに近い魔物に関しては、人より相性はいいかも知れない……って、エルフが関与してるんですか!」
「その確信を得る為の、あの女との接触だったんだ」
驚くシャーリーに、ここまで話せば納得して貰えるか探るウェダーだったが、これで十分だったらしい。
優しくなら触ってもいいと許されたウェダーは、彼女の柔らかい金髪を撫でる。
ふわふわと柔らかく心地よい髪は、いつまでも愛でていたい気持ちにさせた。
「獣人も近い存在ではありますが、彼らは魔力は少ないですから……魔法使いは人よりも少ない位ですし」
その分、獣人は人よりも数段優れた肉体能力を保有している。
人に近い外観である程に、その能力が高いのは常識だ。
「エルフがそんな悪事に手を染めるなんて」
「まだ推測の段階で、確定じゃないんだ。他に、何か聞きたい事はないか?」
心配そうなウェダーの困りごとは、きっと事件より私の行動だったのは明白だ。
けれど、ちゃんと話をしてくれた。
大事な機密まで、私の身を案じて教えてくれた。
シャーリーはウェダーの腕から抜け出して、両手の拳を胸元で握って目を輝かせた。
先程までの、雨雲のような気配など追い払った笑顔で、元気を取り戻す。
「私、やるべき事がわかりました。まずウェダーさんを信じて、マーロさんに謝罪して、再度保護して貰います」
「ああ、奥方は快く受け入れてくれるはずだ。というか、元気になったなら、次は愛を深め合って……」
「急いで帰って、魔法の訓練をもっと頑張ります。私の魔法が役に立つかも知れないんですよね?」
「えっ、ああ。それはともかく、シャーリー、どうしてベッドから飛び降りて、あれ?リュックを背負うのか?」
「のろのろしてたらダメです、ウェダーさん。早く事件を解決する為に頑張りましょう!あっ、でも無理はしないで下さいね。それと」
心から残念そうにベッドに腰かけたまま硬直しているウェダーに、素早く近づき自ら彼の頬にキスをした。
「幸運のおまじないです。エルフのキスはきっとご利益がありますよ」
「シャーリー、愛してる!」
その流れで今度こそと回した手は宙を抱く。
甘い雰囲気など蹴散らす勢いで、愛しい番は扉を開けた。
「ほらウェダーさん!早く行きましょう!」
「せめて、一度だけでも君を堪能したくて、一番近場のこんな宿に飛び込んだのに……」
「事件が解決したら、その時は二人っきりでゆっくりしましょうね」
「ああ、ご褒美が楽しみだ」
「はい、私に用意できるご褒美なら差し上げますから、ちゃんと考えておいて下さい」
俄然やる気が出たウェダーは、カギを店主に放り投げ二人で宿を出た。
既に夕闇が迫る時間帯で、街は帰路に向かう者や、今から飲みに向かうものなど様々だ。
そして、ウェダーは気づく。
例のごとく、早速振り切ったはずの伯爵家の見張りが潜んでいた。
「ギルドに馬を預けてるんだ」
「馬?乗馬できたんですか?」
そのまま少し歩くとギルドにすぐ到着する。
乗って来た黒馬に感動したエルフと、めったに懐かない愛馬がシャーリーを即座に受け入れた事に、ウェダーはますます守りを固める事にした。
二人乗りで高い視線に変わった途端に、はしゃぐシャーリーがウェダーを褒めた。
「馬に乗れるなんて、すごいです!って……あっ、騎士様だから当然なのか」
私って馬鹿なのかな?と乾いた笑いで誤魔化すエルフを前に乗せて、ウェダーは慎重に手綱を操り走り出した。
来た時の疾風とは違うそれなりのスピードで、シャーリーが怯えないか確認しながら速度を加速する。
そんな事も知らない当人は、無邪気に馬から見る首都の風景を楽しんでいた。
「このエルフは重要人でな。では連行する」
「なっ、ななっ!」
そのまま肩に担がれて、速足でウェダーは歩き始めた。
突然の登場と、自分に何が起こったか把握できず、ぱくぱくとシャーリーは口を動かすばかり。
周囲は好奇の目で見つめるが、決して助けようとはしない。
なにせ相手は騎士なのだ。
しかも、その服の胸元から縦に入っているラインの数は、ウェダーの地位を明確に示していた。
「助けてっ!てか降ろして!やだっ!」
足をばたつかせても、背中を両手で叩いても、ビクともせずに運ばれる。
シャーリーですら気づいていた。
ウェダーが怒りに狂っている事を……。
だけど、それは自分も同じなのだ。
最初に甘い言葉で本気にさせておいて、結局は裏切ったのは彼なのだ。
滲む目をギュッと閉じて、歯を食いしばる。
でないと、全ての感情がこぼれ出てしまいそうだったから。
そのまま馬に乗るのかと思ったが、ウェダーは人通りを抜けて歩いていく。
シャーリーは閉じていた目を開き、ただ運ばれるままだ。
ちゃんとお別れを言わなかったのは、確かに私が悪かったかも。
マーロさんにも不義理をしてしまったし、今は素直に運ばれて、ちゃんと落ち着いたら謝罪しよう……そして――
大通りから裏道に入り、中規模の店が立ち並ぶ雑多な通りに辿り着く。
行きつけに向かうかの如く、ウェダーはある酒場にエルフを担いだまま入った。
まだ昼間のせいか、客も数人が円卓でチビチビと酒を楽しんでいたが、突然の珍客に飲んでいたアルコールを噴出した。
こんな場末の店に、来ていい身分の男ではない。
あげくにエルフらしき女を連れている。
これは訳ありだと、皆が見ない振りをして顔を伏せた。
カウンターの男に、ウェダーは金貨を投げた。
「一番マシな部屋の鍵をよこせ」
「はっ、はいっ!」
慌てた店主は足元に酒瓶を転がしながら、一等室の鍵を手渡した。
目で竜すら殺せそうな気配で、騎士はそのまま二階にあがって行く。
怯えたエルフと目が合ったが、店主はサッと顔を逸らす。
二階は、この国では珍しくもない連れ込み宿となっている。
つまり、あの騎士はあのエルフと……騎士の足音が聞こえなくなった今、店主はあえて考える事を放棄した。
軋む廊下を通り、鍵と同じ花の扉を開く。
中はそれほど広くはないが、置かれた家具がマシな部類だった。
部屋の全てがビロードの赤で統一され、中央に置かれたベッドが部屋の目的を物語っていた。
ドサリと振り落とされ、シャーリーの体はシーツの上に転がった。
いつもの優しい扱いと違う、そう気づき顔をあげると目が合った。
鳶色の目が金色に輝き、先程まで氷の彫像のごとく息を殺していた男が、荒く胸を弾ませ呼吸音すらあげている。
まるで獣だ……飢えた獣が、やっと餌を捕食する。
ゴクリと唾をのんだシャーリーは、それでも勇気を出して言葉を発しようとした。
だが、それを制するかのように、ウェダーが聞いた事もない低い声を出す。
「どうして逃げた?」
「っ……違います。もう、用がないから森に帰るんです」
これは本当だ。
そもそも狙われているなら、とっとと森に帰ればいい。
あそこなら仲間達が守ってくれる。
私は容疑者でもなかった。
ただ結婚という名目で側にいて欲しいとか、彼の関わっている事件の関係で預けられていただけ。
涙を堪える為に、私の腰をまたぐように上に座って抑え込んでくる彼を睨みつける。
だが逆効果だった。
ウェダーは、せわしなく脱いだ上着をバサリとベッドの下に放り投げ、唇を舐めた。
怯える子ウサギのようなシャーリーの胸元に、大きな手が伸びる。
そしてシャーリーの身に着けているシャツを無理やりに裂こうとする動きに、悲鳴があがった。
シャーリーの体温、そして体臭が麻薬のようにウェダーを狂わせていく。
「やめて!自分で脱ぎます!破かないで!」
「あとで幾らでも買ってやるから」
「そうじゃないです!怖いから、ちゃんと話をして!」
ガクガクと体を震わせて必死で訴えたのだが、正気を失いかけたウェダーには届かない。
ゆっくりと腰を屈めて、押し倒した愛しい番の鼻先に息がかかるほど顔を近づけた。
整った見慣れた顔のはずなのに、ウェダーの淀んだ瞳に心が冷えていく。
「今更なんですか……私と結婚したいって言ってた癖に……怖いです」
「ちゃんと説明するが、先に君を抱きたい」
「またそうやって、体で私を丸め込むんですか!そうじゃなくって」
必死に身をひねろうとしても、両手首をシーツに縫い留めるように抑え込まれ動けなくなった。
首元をペロリと舐められ、ゾクリと身をすくませると、耳元で小さくウェダーは囁く。
「後で聞く。もう限界だ……シャーリーが足りない」
「いい加減にして!」
悲しみと怒りが爆発して、シャーリーは全身で拒絶した。
様子の違うシャーリーに驚いたのか、やっと我を取り戻したウェダーが、埋めていた首元から顔をあげた。
泣きながら自分を見つめるシャーリーに、ズキリと心が痛む。
「どうして、いつもちゃんと話から入ってくれないんですか」
「……ごめん」
「どうして……もう婚約者もいるのにこんな事……私はエルフで相応しくないのはわかってます」
「誤解してる……のか?」
「手を放して下さい」
冷たく硬い言葉に、ウェダーは抑えていた手を離した途端に、部屋にバチンと大きな音が響く。
叩かれた頬に熱さを感じたものの、痛みなどほぼない。
それでも、それがシャーリーの全力であり、全ての感情を込めた全てなのだと理解していた。
「シャーリー……手首を痛めてないか?」
「最低です!何が誤解なんですか!」
「あの女と婚約したという嘘の事だ」
「……嘘?とりあえず、落ち着いて先に話をして下さい。それまで私に触らないで下さいね」
「そんな……」
ニッコリとシャーリーは笑いトドメを刺した。
「それすら守ってくれないなら、私はウェダーさんを軽蔑します」
「うっ……わかった」
二人はベッドに向かい合って座る。
乱れた服を整えようとして、シャーリーはシャツのボタンが取れかかっているのに気づいた。
犯人は申し訳なさそうに、謝罪する。
「すまん。後で好きなの何枚でも買いに行こう」
「仕事大丈夫ですか?あ、私のバックに裁縫セットがあるので持ってきてください」
「仕事は明日まで休憩をとった」
「忙しいんですね」
入り口に放り出されたままの鞄を素直に取り行ったウェダーは、鞄をガサゴソと漁る。
シャーリーの指示で、内ポケットから手のひらサイズのキットを渡すと、シャーリーはおもむろに上着を脱いだ。
ブラ姿の下着のみの上半身は、白く眩しくて、ウェダーは生唾を飲んで必死に自制心を働かせる。
「これはひどい拷問だ」
「一度軽蔑したら、二度と好きになる事はないですからね?」
「たっ……耐える!」
つい小さく笑ったシャーリーが、チクチクとボタンを繕った。
手慣れた様子だなと見守りつつ、ウェダーは自分が上半身の裸体を晒したままで、脱いだ騎士服の上着をシャーリーに被せた。
「寒そうだから、これはノーカウントで」
「ありがとうございます。すぐに終わりますよ」
「器用だな、シャーリーは」
妖しい部屋のベッドの上で、二人を包む空気が変わる。
カーテンは光を通さず、薄暗い中でランプの灯りだけだとしても、シャーリーの手は滑らかにボタンを仕上げた。
大きな騎士服に包まれたエルフの小柄な姿に、改めてウェダーは愛しさが募っていた。
先程までの荒れた嵐は静まり、心が凪いている。
彼女だけだ、彼女の存在だけが自分の全てを簡単に変えてしまう。
自らのシャツを着たシャーリーが、今度はウェダーの騎士服の裏地に針を通す。
「ここの裏生地が弱っているので、軽く縫い留めておきますね」
「ああ……助かるよ」
変な感覚だが、穏やかな気持ちがじわじわとウェダーを幸福に染めていく。
シャーリーと共に旅をしている時も感じていたが、彼女の雑務スキルは相当なものだった。
「俺の奥さんは、家庭的で幸せな家庭が作れそうだ」
その言葉にビクリと、手が止まる。
上着をウェダーに手渡すシャーリーの顔は、一瞬にして強張っていた。
「次からは、その家庭的な奥さんに繕って貰って下さいね」
貴族の女性は刺繍を嗜むそうだから、きっともっと上手に繕えるに違いない。
服ではなく、心に針を刺したようにチクチクと痛む。
そしてウェダーもやっと本題を思い出す。
「誤解なんだ……いや、あの女と偽装婚約したのは事実だが、それは職務に必要だからだ」
「職務?例の事件ですか?」
やっとまともに向き合えると内心安堵の息を吐き、真面目な顔でシャーリーはウェダーと向き合った。
相変わらず、銀の髪はランプの光にゆれて幻想的で、切れ長の目は優しい色に戻って見つめてくれた。
まるで、先程までの獣などいなかったみたいだ。
ウェダーはもう迷うことなくシャーリーに告白を始めた。
「君に黙っている方が誤解を生むとは……。すまない、短期決戦で君の耳に入る頃には全て終わらせるつもりだった」
「偽装婚約って、あの金髪の目のキツイ伯爵令嬢とですよね?」
指先で目の端をつりあげ真似をするシャーリーに、ウェダーはつい噴き出した。
口元を手で塞ぎ、声をあげて笑う。
「あははっ!ああ、そうだ。前に話したしつこい女が彼女だ。今回の事件の重要参考人で、情報を聞き出すのに近づくしかなかった」
「彼女は私を知ってました。私の事を話したんですか?自分こそ正式な婚約者なのだから、とっとと消えろと言われました」
ピタリと笑い声が停止し、ガラリと吹雪すら思わせる凍り付いたウェダーが、聞こえぬ小声で呟いた。
「殺す」
「何か言いましたか?だから、はっきり言って下さい。そりゃあ、私は役立たずで足手まといかも知れないですけど、何も知らないのは不安で辛いです」
そっとウェダーの手を握り、向き合った。
ちょこんと座るシャーリーが、上目遣いに懇願する。
「信じたいんです。でも、不安にさせられるのは嫌」
なんて可愛い生き物なのかと、ウェダーは三度瞬きをする。
小さな手が、必死で俺の手を握る。
喜びと共に、改めて事件を解決すべきと覚悟を決めた。
「やっと笛の秘密がわかりそうなんだ。その情報を手に入れる為に、俺は奴らと婚姻して家族になりたいと申し出た。勿論、これは極秘で他言無用で頼む」
「……ごめんなさい。私が我儘言ったから……」
「君を不安にさせて、本当に反省している。もっと配慮が必要だった。俺は君の事になると気の回らない馬鹿になり下がる」
「そんな事ないです!私こそ、ごめんなさい。信じられなくて……本当に」
ホロリと流れる涙を拭きたくて、けれど自分から触れられないウェダーは降参した。
「君を慰めたい。抱きしめるだけだ、どうか許可を頼む」
「私からしがみ付いたら、優しく抱きしめ返すだけなら許します」
ドンと小さな体が胸に収まり、ウェダーは両手で隠すように抱きしめた。
欲望だけでなく、愛が優しく自分に広がっていくのを、確かにウェダーも感じた。
しがみついたシャーリーも、手が回しきれない大きな背中に必死でしがみつく。
やっと彼が自分の所に戻ってくれた気持ちで一杯だ。
「嬉しい……ずっと、本当は寂しかったんです」
「俺もだシャーリー。まもなく片を付けるよ。その為に駆けずり回って耐えたんだ」
「私もマーロさんに、魔法の基礎を教えて貰ったんです。少しですが、付与魔法を使えるようになったんですよ」
「それは凄い」
シャーリーの才能に、最初に気づいたのはウェダーだ。
その見立てに間違いはなく、やはり付与だったのかと片隅の冷静な騎士の自分が納得していた。
「シャーリー。マーロには再度ちゃんと気を付けるように頼む。こちらから警護もつける。だからあの屋敷で、もう少しだけ待っていて欲しい」
「私にも、またあの女性が怒鳴りに来るんですか?」
「そっちは、どうとでもなる。問題は、君の魔法の才能が狙われる事だ」
「私の才能って……付与……あっ!」
やはりシャーリーは愚かではなかった。
気付かれてしまい、既に巻き込まれていたなとウェダーは抱きしめる腕に少し力を入れた。
「笛に魔法を付与した者がいるはずだ。そして、あちらからすれば、他にも付与できる者がいれば何人でも欲しいはず」
「私そんなの作れるほど、魔力は強くないそうですよ?保有量こそ、そこそこですけど威力はまた別の問題みたいです」
「それをあちら側がどうとらえるかは別として、危険なのに違いない」
真剣な目で、ウェダーはシャーリーに再度言い聞かせた。
「騎士として、一人の男として、君を守りたい」
ドキリと高鳴る胸を隠すように、シャーリーは赤くなった顔をウェダーの胸にうずめて隠す。
その仕草が小鳥のようだと、愛しい目で見つめられている事すら気づかない。
「私がもっと立派だったら、守られるだけでなく、何か協力できたのに。悔しいな」
「事件の危険が去ったら、君に助けを求めるかもしれない」
「えっ、本当に?」
「あの笛をこの国の付与魔法使いに確認して貰ったら、人では作成は難しいそうだ。なんでも、動物や魔物を追い払うならともかく、仲間のように認識させて呼び寄せる性質を付与する事は難しいらしい」
「確かに、エルフは森に住み動物やそれに近い魔物に関しては、人より相性はいいかも知れない……って、エルフが関与してるんですか!」
「その確信を得る為の、あの女との接触だったんだ」
驚くシャーリーに、ここまで話せば納得して貰えるか探るウェダーだったが、これで十分だったらしい。
優しくなら触ってもいいと許されたウェダーは、彼女の柔らかい金髪を撫でる。
ふわふわと柔らかく心地よい髪は、いつまでも愛でていたい気持ちにさせた。
「獣人も近い存在ではありますが、彼らは魔力は少ないですから……魔法使いは人よりも少ない位ですし」
その分、獣人は人よりも数段優れた肉体能力を保有している。
人に近い外観である程に、その能力が高いのは常識だ。
「エルフがそんな悪事に手を染めるなんて」
「まだ推測の段階で、確定じゃないんだ。他に、何か聞きたい事はないか?」
心配そうなウェダーの困りごとは、きっと事件より私の行動だったのは明白だ。
けれど、ちゃんと話をしてくれた。
大事な機密まで、私の身を案じて教えてくれた。
シャーリーはウェダーの腕から抜け出して、両手の拳を胸元で握って目を輝かせた。
先程までの、雨雲のような気配など追い払った笑顔で、元気を取り戻す。
「私、やるべき事がわかりました。まずウェダーさんを信じて、マーロさんに謝罪して、再度保護して貰います」
「ああ、奥方は快く受け入れてくれるはずだ。というか、元気になったなら、次は愛を深め合って……」
「急いで帰って、魔法の訓練をもっと頑張ります。私の魔法が役に立つかも知れないんですよね?」
「えっ、ああ。それはともかく、シャーリー、どうしてベッドから飛び降りて、あれ?リュックを背負うのか?」
「のろのろしてたらダメです、ウェダーさん。早く事件を解決する為に頑張りましょう!あっ、でも無理はしないで下さいね。それと」
心から残念そうにベッドに腰かけたまま硬直しているウェダーに、素早く近づき自ら彼の頬にキスをした。
「幸運のおまじないです。エルフのキスはきっとご利益がありますよ」
「シャーリー、愛してる!」
その流れで今度こそと回した手は宙を抱く。
甘い雰囲気など蹴散らす勢いで、愛しい番は扉を開けた。
「ほらウェダーさん!早く行きましょう!」
「せめて、一度だけでも君を堪能したくて、一番近場のこんな宿に飛び込んだのに……」
「事件が解決したら、その時は二人っきりでゆっくりしましょうね」
「ああ、ご褒美が楽しみだ」
「はい、私に用意できるご褒美なら差し上げますから、ちゃんと考えておいて下さい」
俄然やる気が出たウェダーは、カギを店主に放り投げ二人で宿を出た。
既に夕闇が迫る時間帯で、街は帰路に向かう者や、今から飲みに向かうものなど様々だ。
そして、ウェダーは気づく。
例のごとく、早速振り切ったはずの伯爵家の見張りが潜んでいた。
「ギルドに馬を預けてるんだ」
「馬?乗馬できたんですか?」
そのまま少し歩くとギルドにすぐ到着する。
乗って来た黒馬に感動したエルフと、めったに懐かない愛馬がシャーリーを即座に受け入れた事に、ウェダーはますます守りを固める事にした。
二人乗りで高い視線に変わった途端に、はしゃぐシャーリーがウェダーを褒めた。
「馬に乗れるなんて、すごいです!って……あっ、騎士様だから当然なのか」
私って馬鹿なのかな?と乾いた笑いで誤魔化すエルフを前に乗せて、ウェダーは慎重に手綱を操り走り出した。
来た時の疾風とは違うそれなりのスピードで、シャーリーが怯えないか確認しながら速度を加速する。
そんな事も知らない当人は、無邪気に馬から見る首都の風景を楽しんでいた。
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