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第七話
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わたしは森を走った。
ぎりぎり人間が走っても不自然ではないくらいの速度に、おさえる。
体感的には時速四十キロくらいな感じ?
原チャリで走ってるくらいの速度だ。
まあ、ぎり人間がそれくらいで走れなくはないだろうけれど、それを十分以上続けるのは無理だね。
でもわたしは、一時間くらいはその速度でいけそう。
走りながら、さっきのことを考える。
この世界の兵士は、あまり戦うひとという感じがない。
わたしが前の世界で高校を中退したあと、アムステルダムを放浪していたとき。
そこのアンダーグラウンドな世界にはチェチェンや旧ユーゴスラビア、ダルフールやアフガニスタンから流れてきた傭兵たちがいた。
さっき相手をした兵の目は、傭兵たちの絶望を突き抜けたところにいるような目の色と、全く違う。
ダークもアールヴ君も、むしろ純朴な瞳をしている。
結構平和な世界なんだろうなと、思う。
多分この世界には一瞬にしてひとを挽肉にかえるようなガトリングガンも、ひとを消し炭に変えるテルミット弾もないんだろう。
戦争でそんなに殺したらきっと農民がいなくなって、皆な飢えることになるんじゃあないかね。
戦争で皆殺しとかそういう邪悪で残酷な贅沢さは、わたしがかつていた世界だから許されたものだ。
そんな馬鹿なことを考えているうちに、獣の気配を察知する。
森は一面、雪によって純白の世界に染められていた。
その世界に、灰色の染みみたいなグリズリーが動いている。
わたしは、グリズリーの前に立った。
微笑みを投げて、挨拶する。
「やあ、こんちわ。君は、ひとを食べたりするやつかな?」
グリズリーは返答するように、獰猛な咆哮をあげる。
立ち上がると、わたしの倍以上は背丈があった。
胴回りも太いので、さっきのダーク君五人分くらいか?
グリズリーは飢えで輝く瞳で、わたしを見ている。
あ、これは人食べてるよねーと思い、わたしはにんまり笑う。
人食いなら、気楽に殺せる。
グリズリーは、鉈のような爪が生えてる前足をわたしに向かって繰り出す。
お、アールヴ君より少し速いか? と思う。
でも、遅い。欠伸でそうなくらい、遅い。
わたしはダッキングで躱すと、間合いを詰める。
前足を振るうためグリズリーは身を屈めていたので、ちょうど背伸びすれば届く所に顎があった。
わたしはカエルパンチの要領で、ジャンプしながらグリズリーの顎にアッパーをかます。
あれ、っと思う。
くるんとグリズリーは綺麗に一回転して、さらに地面にバウンドしてもう一回転すると木にぶちあたる。
木から雪が落ちて、グリズリーを白く染めた。
少年マンガのヤラレ役くらいの、見事な吹っ飛び方だ。
弱っわ、と思ったが野生動物なんできっと大したダメージはないと思うことにする。
全力で移動し、グリズリーが起き上がる前に再び間合いを詰めた。
振り下ろすように、グリズリーの頭にストレートパンチをかます。
グシャっていう、感触があった。
あ、まともに頭蓋骨を殴ったんで拳が砕けた、と慌てて手をみる。
なんともなかった。
白目を剥いてるグリズリーを見ると、殴ったところが陥没している。
頭蓋骨、脆っろと驚く。
卵の殻みたいに、脆そう。
でも野生動物なんで、まだ立ち上がってくるんじゃあないかな。
わたしはグリズリーの背中に乗ると、掌打を脊髄に当ててプラーナを流し込む。
つまりチャクラから溢れ出る生命エネルギーを、流し込んだ。
それは、リリベッドを殺したように、グリズリーの神経系統をずたずたに壊す。
グリズリーは二三回痙攣すると、動きを完全に止める。
ぎりぎり人間が走っても不自然ではないくらいの速度に、おさえる。
体感的には時速四十キロくらいな感じ?
原チャリで走ってるくらいの速度だ。
まあ、ぎり人間がそれくらいで走れなくはないだろうけれど、それを十分以上続けるのは無理だね。
でもわたしは、一時間くらいはその速度でいけそう。
走りながら、さっきのことを考える。
この世界の兵士は、あまり戦うひとという感じがない。
わたしが前の世界で高校を中退したあと、アムステルダムを放浪していたとき。
そこのアンダーグラウンドな世界にはチェチェンや旧ユーゴスラビア、ダルフールやアフガニスタンから流れてきた傭兵たちがいた。
さっき相手をした兵の目は、傭兵たちの絶望を突き抜けたところにいるような目の色と、全く違う。
ダークもアールヴ君も、むしろ純朴な瞳をしている。
結構平和な世界なんだろうなと、思う。
多分この世界には一瞬にしてひとを挽肉にかえるようなガトリングガンも、ひとを消し炭に変えるテルミット弾もないんだろう。
戦争でそんなに殺したらきっと農民がいなくなって、皆な飢えることになるんじゃあないかね。
戦争で皆殺しとかそういう邪悪で残酷な贅沢さは、わたしがかつていた世界だから許されたものだ。
そんな馬鹿なことを考えているうちに、獣の気配を察知する。
森は一面、雪によって純白の世界に染められていた。
その世界に、灰色の染みみたいなグリズリーが動いている。
わたしは、グリズリーの前に立った。
微笑みを投げて、挨拶する。
「やあ、こんちわ。君は、ひとを食べたりするやつかな?」
グリズリーは返答するように、獰猛な咆哮をあげる。
立ち上がると、わたしの倍以上は背丈があった。
胴回りも太いので、さっきのダーク君五人分くらいか?
グリズリーは飢えで輝く瞳で、わたしを見ている。
あ、これは人食べてるよねーと思い、わたしはにんまり笑う。
人食いなら、気楽に殺せる。
グリズリーは、鉈のような爪が生えてる前足をわたしに向かって繰り出す。
お、アールヴ君より少し速いか? と思う。
でも、遅い。欠伸でそうなくらい、遅い。
わたしはダッキングで躱すと、間合いを詰める。
前足を振るうためグリズリーは身を屈めていたので、ちょうど背伸びすれば届く所に顎があった。
わたしはカエルパンチの要領で、ジャンプしながらグリズリーの顎にアッパーをかます。
あれ、っと思う。
くるんとグリズリーは綺麗に一回転して、さらに地面にバウンドしてもう一回転すると木にぶちあたる。
木から雪が落ちて、グリズリーを白く染めた。
少年マンガのヤラレ役くらいの、見事な吹っ飛び方だ。
弱っわ、と思ったが野生動物なんできっと大したダメージはないと思うことにする。
全力で移動し、グリズリーが起き上がる前に再び間合いを詰めた。
振り下ろすように、グリズリーの頭にストレートパンチをかます。
グシャっていう、感触があった。
あ、まともに頭蓋骨を殴ったんで拳が砕けた、と慌てて手をみる。
なんともなかった。
白目を剥いてるグリズリーを見ると、殴ったところが陥没している。
頭蓋骨、脆っろと驚く。
卵の殻みたいに、脆そう。
でも野生動物なんで、まだ立ち上がってくるんじゃあないかな。
わたしはグリズリーの背中に乗ると、掌打を脊髄に当ててプラーナを流し込む。
つまりチャクラから溢れ出る生命エネルギーを、流し込んだ。
それは、リリベッドを殺したように、グリズリーの神経系統をずたずたに壊す。
グリズリーは二三回痙攣すると、動きを完全に止める。
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