【第三章開始】転生したら公爵令嬢になって辺境伯に嫁ぐことになったけど「貴女は必要無い」と言われたので、好きにすることにしました

ルサルカ

文字の大きさ
8 / 49
第一章 転生覚醒編

第八話

 わたしは腰に吊るしていた魔法書を取り出し、空間魔法を発動するとグリズリーの死体を収納した。
 ふと周りを見ると、いつの間にか灰色狼に取り囲まれている。

「やあ、よく来たね。歓迎するよ」

 わたしの挨拶に応えるように、灰色狼が襲いかかってきた。
 お、速いね。
 子供が投げるキャッチボールの玉くらいの、速さになった。
 野球なら、ちょうど打ち頃のストレートって感じ?
 わたしはカウンターになるよう、フックを狼に打ち込む。
 あっさり狼は倒れて、白目を剥いて泡を吹く。
 え、弱っわ、と驚いた。
 君たちそんな弱くて、よく自然界を生き抜いたなと思う。
 次々に狼が襲いかかってきたが、わたしはもう作業のように淡々と殴り倒す。
 あっという間に、十頭の狼が泡を吹いて痙攣することになった。
 わたしはそいつらにもプラーナを流し込んでトドメを指すと、空間魔法で収納する。
 さて、もう何頭かグリズリー倒したいなと思う。
 多分、さっきのは病気かなんかで弱ってたんだよね。弱すぎるし。
 もうちょっと歯ごたえのある相手を求めて、わたしは走った。

 わたしが城に戻ったのは、昼下がりだ。
 昼食は食べそこねたけれど、晩ごはんのおかずには間に合ったね。
 わたしは庭仕事をしていたメイドを捕まえ、アンを呼んでもらう。
 メイドはとても迷惑そうにしていたが、だるそうにアンを呼びに行ってくれた。
 険悪な顔をしたアンがやってきたので、わたしは上機嫌に笑いながら三頭のグリズリーと十五頭の灰色狼をアンの前に並べる。
 アンは驚いたのか、尻もちをついて口をパクパクさせた。
 何その大げさなリアクションと思い、わたしはクスクス笑う。

「いったい、どうやって。ウマは使われてませんよね」

 わたしは、アンの言葉に頷く。

「もちろん。走っていって、走ってもどりましたわ」

 アンは、首を振る。

「それでは、日が暮れるというか。明日の朝までかかります」

 わたしは、おほほと笑う。

「大げさですわね。森なんて、ちょっと走ればすぐにつきますわよ」

 アンは、首を振ってため息をついた。

「しかも、こんなに狩って」

「ああ、大丈夫。群れに属してないはぐれを狩りましたので」

 必要以上に捕食獣を狩ると、今度はムースの類が増えて畑を荒らされる。
 でも群れからはぐれた連中は狩場で狩りをできないので、結局里に降りてきて家畜を襲う。
 だから、春になる前に狩っといたほうがいい。
 アンは、眉間にシワをよせる。

「何も狩りに使う道具は、持っていかれてませんでいたよね」

 アンの言葉に、わたしは頷く。

「飢えて弱ってましたので、軽く叩いたら死にました」

 我ながら言ってることが、無茶苦茶だと思う。
 アンは、凶悪な目でわたしを睨む。
 わたしは口元に手をあて、おほほと笑う。

「お手数かけますけれど、解体できる方を呼んでいただけますか?」
感想 1

あなたにおすすめの小説

離宮に隠されるお妃様

agapē【アガペー】
恋愛
私の妃にならないか? 侯爵令嬢であるローゼリアには、婚約者がいた。第一王子のライモンド。ある日、呼び出しを受け向かった先には、女性を膝に乗せ、仲睦まじい様子のライモンドがいた。 「何故呼ばれたか・・・わかるな?」 「何故・・・理由は存じませんが」 「毎日勉強ばかりしているのに頭が悪いのだな」 ローゼリアはライモンドから婚約破棄を言い渡される。 『私の妃にならないか?妻としての役割は求めない。少しばかり政務を手伝ってくれると助かるが、後は離宮でゆっくり過ごしてくれればいい』 愛し愛される関係。そんな幸せは夢物語と諦め、ローゼリアは離宮に隠されるお妃様となった。

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない

二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。 ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。 当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。 だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。 ――君の××××、触らせてもらえないだろうか?

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

魚人族のバーに行ってワンナイトラブしたら番いにされて種付けされました

ノルジャン
恋愛
人族のスーシャは人魚のルシュールカを助けたことで仲良くなり、魚人の集うバーへ連れて行ってもらう。そこでルシュールカの幼馴染で鮫魚人のアグーラと出会い、一夜を共にすることになって…。ちょっとオラついたサメ魚人に激しく求められちゃうお話。ムーンライトノベルズにも投稿中。

婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜

紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。 連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。