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第二話
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白い長衣をまとい白い髪を靡かせたふたりの少女は、夜空で月が雲に隠れるように部屋の奥にある暗がりへと入り込む。
それでも白い少女たちは、朧月のように闇の中で輝いてみえた。
ふたりは部屋の奥にあるクローゼットを開くと、その中へと入ってゆく。
衣服の連なる森のようなその中を進むと、突然ストンと穴へ入り込んだ。
ふたりは、螺旋のようにのたくる穴を滑り落ち、ぽとりとその部屋へ辿り着く。
あの黒い鳥たちが吐く炎が落ちているのか、時折轟音が響き部屋の床が震えた。
まるで巨獣の体内で、その鼓動を聞くかのようだと思う。
ふたりの白い少女は、夜に降る雪の結晶みたいにその姿を輝かせ部屋の奥にある幕を開いていった。
そこには微かな光が差し込んでおり、山羊の頭をもつ巨人像が照らしだされている。
「はじめましょうか、お姉さま」
「はじめようか、妹よ」
青い瞳の少女は、巨人の手にしている刀を手に取った。
ふたりの少女は、互いに身につけている長衣を脱ぎさり、白百合の花びらにも似た裸身をさらけだす。
青い瞳の少女は、すらりと刀を抜き放つ。
「ああなんて美しいのでしょう、お姉さま」
紅い瞳の少女は、妹の言葉に頷いてみせる。
「ああ、美しいね。白百合丸は」
その刀には、白い花びらを散らしたように、白い刃文が踊っていた。
その刀はまごうかたなき死の静謐を秘めていたが、その繊細な美しさはあたかも美少女のようである。
ふたりの少女は裸の胸と胸を合わせると、溶け合おうとするかのようにしっかりと抱き合った。
まるで元々ひとつのものであったものが、分け隔てられていたのを再びもとのひとつに戻ろうとしているかのようだ。
ふたりの少女は互いの吐息を浴びながらその頬と頬を、そして、胸と胸を、その足と足をしっかりと合わせている。
青い瞳の少女は白百合丸の刀身を手にすると、姉の背中に突き刺した。
紅い瞳の少女は、ふうと息を吐き出し、陶酔するように目を閉じ眉間に皺をよせる。
そして刀身は、青い瞳の少女の胸に届き、純白の肌を真紅の血に染めながら少女の体内へと侵入していく。
ふたりは刀に貫かれながら、ひとつの全きものへと変化したような気持ちになる。
ふたりの足元には、真紅の血が湖のように広がってゆく。
それは、命そのものを燃やしているかのように紅い水であった。
ゆっくりと虚像が動き大きな角を生やした山羊の頭を、ふたりの少女によせる。
「おまえたちの捧げた贄は、確かに受け取った。では何が望みであるか」
青い瞳の少女は悽愴に顔を歪めつつ、しっかりとした声で言い放つ。
「わたしたちは、この世の理の外へゆくことがのぞみでございます」
「いいだろう」
山羊の頭は、少し笑ったように見える。
そしてふたりの少女に口付けるように、吐息を吹きつけた。
とたんにふたりは、白百合の花びらとなり真紅の海へと沈んでいく。
それでも白い少女たちは、朧月のように闇の中で輝いてみえた。
ふたりは部屋の奥にあるクローゼットを開くと、その中へと入ってゆく。
衣服の連なる森のようなその中を進むと、突然ストンと穴へ入り込んだ。
ふたりは、螺旋のようにのたくる穴を滑り落ち、ぽとりとその部屋へ辿り着く。
あの黒い鳥たちが吐く炎が落ちているのか、時折轟音が響き部屋の床が震えた。
まるで巨獣の体内で、その鼓動を聞くかのようだと思う。
ふたりの白い少女は、夜に降る雪の結晶みたいにその姿を輝かせ部屋の奥にある幕を開いていった。
そこには微かな光が差し込んでおり、山羊の頭をもつ巨人像が照らしだされている。
「はじめましょうか、お姉さま」
「はじめようか、妹よ」
青い瞳の少女は、巨人の手にしている刀を手に取った。
ふたりの少女は、互いに身につけている長衣を脱ぎさり、白百合の花びらにも似た裸身をさらけだす。
青い瞳の少女は、すらりと刀を抜き放つ。
「ああなんて美しいのでしょう、お姉さま」
紅い瞳の少女は、妹の言葉に頷いてみせる。
「ああ、美しいね。白百合丸は」
その刀には、白い花びらを散らしたように、白い刃文が踊っていた。
その刀はまごうかたなき死の静謐を秘めていたが、その繊細な美しさはあたかも美少女のようである。
ふたりの少女は裸の胸と胸を合わせると、溶け合おうとするかのようにしっかりと抱き合った。
まるで元々ひとつのものであったものが、分け隔てられていたのを再びもとのひとつに戻ろうとしているかのようだ。
ふたりの少女は互いの吐息を浴びながらその頬と頬を、そして、胸と胸を、その足と足をしっかりと合わせている。
青い瞳の少女は白百合丸の刀身を手にすると、姉の背中に突き刺した。
紅い瞳の少女は、ふうと息を吐き出し、陶酔するように目を閉じ眉間に皺をよせる。
そして刀身は、青い瞳の少女の胸に届き、純白の肌を真紅の血に染めながら少女の体内へと侵入していく。
ふたりは刀に貫かれながら、ひとつの全きものへと変化したような気持ちになる。
ふたりの足元には、真紅の血が湖のように広がってゆく。
それは、命そのものを燃やしているかのように紅い水であった。
ゆっくりと虚像が動き大きな角を生やした山羊の頭を、ふたりの少女によせる。
「おまえたちの捧げた贄は、確かに受け取った。では何が望みであるか」
青い瞳の少女は悽愴に顔を歪めつつ、しっかりとした声で言い放つ。
「わたしたちは、この世の理の外へゆくことがのぞみでございます」
「いいだろう」
山羊の頭は、少し笑ったように見える。
そしてふたりの少女に口付けるように、吐息を吹きつけた。
とたんにふたりは、白百合の花びらとなり真紅の海へと沈んでいく。
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