白百合姉妹

ルサルカ

文字の大きさ
6 / 9

第六話

しおりを挟む
 やがて彼女は、ひとつの館に辿り着く。
 鬱蒼とした木々が茂る森の手前に、その館はある。
 それは年老いた巨人が蹲ったかのように、古びて荘厳な印象を与える館であった。
 館の周囲には木々が生い茂り館自身も植物の蔦で覆い隠されていたため、あたかも森の一部のようでもある。
 彼女は館の大きく重い扉を押して開くと、中へ入ってゆく。
 大きな玄関ホールは、薄暗く静寂に満たされている。
 しかし正面にある螺旋階段は、月明かりを浴びているかのように白く輝き階上へと伸びていた。
 彼女は白く輝く階段のステップを踏みしめて、昇っていく。
 青い瞳の少女も、彼女の後ろについてくる。
 二人はそうして階上へと、辿り着く。
 階上には、ひとつの扉があった。
 彼女はその扉を開き、部屋の中へと入る。
 階上の部屋はやはり薄暗かったが、窓から一筋の光が差し込みかろうじて完全な闇に沈むことを押し留められていた。
 部屋の奥には大きな椅子があり、そこには影が腰を降ろしている。
 いや、影ではない。
 影ではなく、影のように黒い肌をした少年が腰を降ろしていた。
 少年は、真夜中に輝く太陽のように瞳を金色に輝かせると、闇に落ちた一片の花びらのみたいに紅い唇から言葉をこぼす。

「あなた方は、誰なのだ。そして」

 少年は、すこし首を傾ける。

「僕はいったい誰なのだ」

 彼女は、薄く笑みを浮かべる。
 そして少年に応えた。

「あなたは、わたしの影。そして、わたしはあなたの光。わたしたちは対になり、共にこの世界にやってきた」

「そう、なのか」

 少年は怪訝そうに、目を細める。
 その少年に、彼女は言葉をかけた。

「まず、あなたは目覚めねばならない」

 彼女は少年に歩み寄る。

「隣の部屋へ、ゆきましょう」

 彼女は、後ろにいる青い瞳の少女に声をかける。

「わたしたちは、これからすることがある。おまえはここで、待つのだよ、妹よ」

 青い瞳の少女は、こくりと頷く。

「わかりました、お姉さま」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

久しぶりに帰省したら私のことが大好きな従妹と姫はじめしちゃった件

楠富 つかさ
恋愛
久しぶりに帰省したら私のことが大好きな従妹と姫はじめしちゃうし、なんなら恋人にもなるし、果てには彼女のために職場まで変える。まぁ、愛の力って偉大だよね。 ※この物語はフィクションであり実在の地名は登場しますが、人物・団体とは関係ありません。

背徳のマスカレイド

紫苑
恋愛
これは大人の社交場、SMの世界を覗いた主人公 美麗の少し変わった恋の物語です。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

М女と三人の少年

浅野浩二
恋愛
SМ的恋愛小説。

最後の女

蒲公英
恋愛
若すぎる妻を娶ったおっさんと、おっさんに嫁いだ若すぎる妻。夫婦らしくなるまでを、あれこれと。

処理中です...