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第六話
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やがて彼女は、ひとつの館に辿り着く。
鬱蒼とした木々が茂る森の手前に、その館はある。
それは年老いた巨人が蹲ったかのように、古びて荘厳な印象を与える館であった。
館の周囲には木々が生い茂り館自身も植物の蔦で覆い隠されていたため、あたかも森の一部のようでもある。
彼女は館の大きく重い扉を押して開くと、中へ入ってゆく。
大きな玄関ホールは、薄暗く静寂に満たされている。
しかし正面にある螺旋階段は、月明かりを浴びているかのように白く輝き階上へと伸びていた。
彼女は白く輝く階段のステップを踏みしめて、昇っていく。
青い瞳の少女も、彼女の後ろについてくる。
二人はそうして階上へと、辿り着く。
階上には、ひとつの扉があった。
彼女はその扉を開き、部屋の中へと入る。
階上の部屋はやはり薄暗かったが、窓から一筋の光が差し込みかろうじて完全な闇に沈むことを押し留められていた。
部屋の奥には大きな椅子があり、そこには影が腰を降ろしている。
いや、影ではない。
影ではなく、影のように黒い肌をした少年が腰を降ろしていた。
少年は、真夜中に輝く太陽のように瞳を金色に輝かせると、闇に落ちた一片の花びらのみたいに紅い唇から言葉をこぼす。
「あなた方は、誰なのだ。そして」
少年は、すこし首を傾ける。
「僕はいったい誰なのだ」
彼女は、薄く笑みを浮かべる。
そして少年に応えた。
「あなたは、わたしの影。そして、わたしはあなたの光。わたしたちは対になり、共にこの世界にやってきた」
「そう、なのか」
少年は怪訝そうに、目を細める。
その少年に、彼女は言葉をかけた。
「まず、あなたは目覚めねばならない」
彼女は少年に歩み寄る。
「隣の部屋へ、ゆきましょう」
彼女は、後ろにいる青い瞳の少女に声をかける。
「わたしたちは、これからすることがある。おまえはここで、待つのだよ、妹よ」
青い瞳の少女は、こくりと頷く。
「わかりました、お姉さま」
鬱蒼とした木々が茂る森の手前に、その館はある。
それは年老いた巨人が蹲ったかのように、古びて荘厳な印象を与える館であった。
館の周囲には木々が生い茂り館自身も植物の蔦で覆い隠されていたため、あたかも森の一部のようでもある。
彼女は館の大きく重い扉を押して開くと、中へ入ってゆく。
大きな玄関ホールは、薄暗く静寂に満たされている。
しかし正面にある螺旋階段は、月明かりを浴びているかのように白く輝き階上へと伸びていた。
彼女は白く輝く階段のステップを踏みしめて、昇っていく。
青い瞳の少女も、彼女の後ろについてくる。
二人はそうして階上へと、辿り着く。
階上には、ひとつの扉があった。
彼女はその扉を開き、部屋の中へと入る。
階上の部屋はやはり薄暗かったが、窓から一筋の光が差し込みかろうじて完全な闇に沈むことを押し留められていた。
部屋の奥には大きな椅子があり、そこには影が腰を降ろしている。
いや、影ではない。
影ではなく、影のように黒い肌をした少年が腰を降ろしていた。
少年は、真夜中に輝く太陽のように瞳を金色に輝かせると、闇に落ちた一片の花びらのみたいに紅い唇から言葉をこぼす。
「あなた方は、誰なのだ。そして」
少年は、すこし首を傾ける。
「僕はいったい誰なのだ」
彼女は、薄く笑みを浮かべる。
そして少年に応えた。
「あなたは、わたしの影。そして、わたしはあなたの光。わたしたちは対になり、共にこの世界にやってきた」
「そう、なのか」
少年は怪訝そうに、目を細める。
その少年に、彼女は言葉をかけた。
「まず、あなたは目覚めねばならない」
彼女は少年に歩み寄る。
「隣の部屋へ、ゆきましょう」
彼女は、後ろにいる青い瞳の少女に声をかける。
「わたしたちは、これからすることがある。おまえはここで、待つのだよ、妹よ」
青い瞳の少女は、こくりと頷く。
「わかりました、お姉さま」
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