闇の中での悦楽

ルサルカ

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第八話

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 セッション2

【水戸のノートより】

 部屋は、前回と同様の部屋を使用している。彼女はノックもなく、突然入ってきた。一回目と同様、完全にLになりきった状態で彼女は現れた。彼女は、前回のような挑発的視線を見せながらも、どこか戸惑っているかのように私を見る。
 彼女は、注意深く私を観察しているようだ。それは、一度手ひどい罠にかかった野生の獣が、今度は逆に狩人を罠にはめるため策を練っている様を思わせる。
 彼女は暫く私の様子を窺った末、ようやくしゃべり始めた。

「ねえ、何見ているの」

「君の写真だよ。前に来た時に君に持ってきてもらったものだ」

「ふうん、よく見せてよ。ああ、これは私の家でとった時の写真ね」

 Lは写真を見ながら、私のほうを上目で覗く。

「ねえ、この写真を見て何考えているの。何を企んでいるのよ」

「企んだりはしないさ。ただ、考えているだけだ」

「考えているって?」

 Lは、狡猾そうな笑みを見せる。

「何考えているのよ、言ってごらんなさい」

「つまらないことだよ」

「あんたの考えていることなんて、どうせつまらないって判ってるの。いいから、いってごらんなさいよ」

「君はご主人と二人暮らしだったはずだね」

「ええそうよ」

「二人暮らしにしては、結構大きな冷蔵庫を部屋に置いているんだな」

 Lは失笑する。

「本当にくだらないこと考えているのね。ほかには何か考えたの?」

「そうだな、部屋の隅にあるこれ、ストーブにしては形がへんだけど」

 Lはあきれ顔で私を見る。

「それはねえ、いいわ、説明してあげる。まず冷蔵庫なんだけど、私は絵を描く仕事をしているけれど、けっこう不規則な生活で家に閉じこもって仕事がすることが多い。主人のほうも雑誌の編集の仕事をしているんだけど、休みが何週間もとれなかったりすることが多いわけよ。そのせいで大量に買い込んで大量に貯蔵できるような冷蔵庫が必要だったの。それともう一つ」

 Lはすこしうんざりしたように、私を見る。

「部屋の隅のそれは窯よ」

「窯?」

「ええ。私の本業は絵を描くことだけれど、趣味で焼き物、つまり陶芸もやっているの。その電熱式の窯でもちろん大きなものは焼くことできないけれど、簡単な小物だったら焼くことができるのよ。判った?」

「なるほどね」
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