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第三章
その笑顔がコワいです……
鳥海先生からのハグから解放されてホッとする。
紫藤先生の事が気になるから、そちらに視線を向けたいんだけど、あまり頻繁に紫藤先生に視線を持って行っては不自然だろうかと余計な事を考えてしまって、俺は正面に居る加藤先生に目を向けた。
その加藤先生は、俺が落ち着いたと見て取ったんだろう。少しホッとしたような顔をしていた。
「南くん、小山たちはおそらく退学処分になるだろう。君は事情を聞く限り、巻き込まれただけのようだから何も気にしなくて良いからな。困ったことがあったら、ここに居る鳥海先生に話を聞いてもらうと良い。鳥海先生が忙しいときは、私も紫藤先生も居るし、担任の柴谷先生に相談しても良い」
「はい。ありがとうございます」
きっと事情聴取はこれで終わりだろう。俺は立ち上がってペコリと頭を下げた。
そのまま生徒指導室を出ていこうとしたら、鳥海先生に呼ばれて立ち止まる。
「授業まで少し時間があるね、少し歩きながら話をしようか」
「え? あ、いえ……、あの……」
さっきハグされた時に紫藤先生の冷えた目を見た後だけに、かなり戸惑った。断らなきゃならないほど大した事でも無いとは思うんだけど、視界の端に映る、嫌ににこやかな紫藤先生の笑顔が(本性を知っているだけに)妙に怖い。
「遠慮するな」
俺のそんな戸惑いを、人見知りに似た遠慮だと勘違いしたんだろう。鳥海先生は俺の肩を叩いて引き寄せ、肩を抱くようにして俺を廊下へと連れ出した。
「加藤先生が仰っていたように、南くんは遠慮しないで俺を頼ってくれて良いんだからな。俺は、みんなが気持ちよく学校生活が送れるようにと、派遣されているってことを忘れないでくれ」
「は、はい。分かりました」
「頼れる先生が傍に居て、良かったね。南くん」
「え? センセ……」
鳥海先生に肩を抱かれた状態で歩いている俺の後ろを、紫藤先生が歩いていた……。
まったく気が付かなかった……(汗
俺が振り返って見上げると、紫藤先生はいつものように(計算された笑顔で)優しくニコリとほほ笑んだ。
コワい……。
何だか、凄くコワいんですが……。
「そうだよ。頼って良いんだからな」
鳥海先生はそう言って、肩を抱いている手を離して俺の頭をわしゃわしゃと撫でまわした。
そして、廊下の端の方を指さして、「あそこがカウンセリングルームだから。いつでもおいで」と言って、そこで別れた。
紫藤先生の事が気になるから、そちらに視線を向けたいんだけど、あまり頻繁に紫藤先生に視線を持って行っては不自然だろうかと余計な事を考えてしまって、俺は正面に居る加藤先生に目を向けた。
その加藤先生は、俺が落ち着いたと見て取ったんだろう。少しホッとしたような顔をしていた。
「南くん、小山たちはおそらく退学処分になるだろう。君は事情を聞く限り、巻き込まれただけのようだから何も気にしなくて良いからな。困ったことがあったら、ここに居る鳥海先生に話を聞いてもらうと良い。鳥海先生が忙しいときは、私も紫藤先生も居るし、担任の柴谷先生に相談しても良い」
「はい。ありがとうございます」
きっと事情聴取はこれで終わりだろう。俺は立ち上がってペコリと頭を下げた。
そのまま生徒指導室を出ていこうとしたら、鳥海先生に呼ばれて立ち止まる。
「授業まで少し時間があるね、少し歩きながら話をしようか」
「え? あ、いえ……、あの……」
さっきハグされた時に紫藤先生の冷えた目を見た後だけに、かなり戸惑った。断らなきゃならないほど大した事でも無いとは思うんだけど、視界の端に映る、嫌ににこやかな紫藤先生の笑顔が(本性を知っているだけに)妙に怖い。
「遠慮するな」
俺のそんな戸惑いを、人見知りに似た遠慮だと勘違いしたんだろう。鳥海先生は俺の肩を叩いて引き寄せ、肩を抱くようにして俺を廊下へと連れ出した。
「加藤先生が仰っていたように、南くんは遠慮しないで俺を頼ってくれて良いんだからな。俺は、みんなが気持ちよく学校生活が送れるようにと、派遣されているってことを忘れないでくれ」
「は、はい。分かりました」
「頼れる先生が傍に居て、良かったね。南くん」
「え? センセ……」
鳥海先生に肩を抱かれた状態で歩いている俺の後ろを、紫藤先生が歩いていた……。
まったく気が付かなかった……(汗
俺が振り返って見上げると、紫藤先生はいつものように(計算された笑顔で)優しくニコリとほほ笑んだ。
コワい……。
何だか、凄くコワいんですが……。
「そうだよ。頼って良いんだからな」
鳥海先生はそう言って、肩を抱いている手を離して俺の頭をわしゃわしゃと撫でまわした。
そして、廊下の端の方を指さして、「あそこがカウンセリングルームだから。いつでもおいで」と言って、そこで別れた。
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