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第八章
今、起きている事 4
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その日、俺はそのまま帰宅して母さんの夕ご飯の支度を手伝っていた。
とりあえず美味しい味噌汁をマスターするのが当面の俺の課題なので、今日もコツを教わりながら格闘している。
「陽太、マジで栄養士になるのか?」
兄貴が既に出来上がっている唐揚げをパクリと頬張りながら、俺の手元を覗き込む。
「うん、そのつもり。やってみると結構料理も楽しいし、意外と俺にあってるかも」
「ふうん……」
「ほら、陽太。出来上がったから先に食べちゃいなさい」
「うん、ありがと」
「なんだ、どっか出かけるのか?」
「うん、7時に友達と待ち合わせしてるんだ」
俺の言葉を聞きつけた和葉が、タタタと走り寄って来た。
「誰と会うの? 先生? 先生?」
肯定しようものなら、連れて行けと騒ぎだすのは目に見えているので「違うよ」と一蹴しておいた。
〇×書店に着いた時には、7時を1分だけ過ぎていた。
渚さんは居るかなと、キョロキョロするも見当たらない。
社会人だもんな。
仕事も忙しいだろうし、のんびり参考書でも見ながら待ってるか。
奥にある参考書のコーナーに行こうとしたところで、渚さんが現れた。
「ごめん、南くん。お待たせ」
「大丈夫です。俺も今来たとこなんで」
「そう? 良かった。……えーっと、ご飯はもう食べた?」
「はい、済ませて来ちゃいました」
「うーん、やっぱそうか」
「あ、えっと。でも、食べようと思えばまだ腹に入るんで、付き合い程度に食べますよ。そう思って、お金も持って来たんで」
「南くん……。それくらいは俺が奢るよ」
「いえ! 渚さんには俺らの事で動いてくれてるんで、本当は俺が奢らなきゃいけないくらいですし! ……だけど俺、あんまお小遣い残って無くて、すんません」
情けない表情で渚さんを窺うと、なぜか困ったような笑みを浮かべている。
「……恋人が年上だから気負いたい気持ちも分かるけど、まだ高校生なんだからさ、もうちょっと甘えても良いんだよ」
「…………」
何と言っていいのか分からず戸惑う俺に、渚さんが優しく微笑んだ。
「まあ、男として、気持ちは大いに分かるけどね」
そう言って、お茶目に渚さんはウインクをした。
とりあえず美味しい味噌汁をマスターするのが当面の俺の課題なので、今日もコツを教わりながら格闘している。
「陽太、マジで栄養士になるのか?」
兄貴が既に出来上がっている唐揚げをパクリと頬張りながら、俺の手元を覗き込む。
「うん、そのつもり。やってみると結構料理も楽しいし、意外と俺にあってるかも」
「ふうん……」
「ほら、陽太。出来上がったから先に食べちゃいなさい」
「うん、ありがと」
「なんだ、どっか出かけるのか?」
「うん、7時に友達と待ち合わせしてるんだ」
俺の言葉を聞きつけた和葉が、タタタと走り寄って来た。
「誰と会うの? 先生? 先生?」
肯定しようものなら、連れて行けと騒ぎだすのは目に見えているので「違うよ」と一蹴しておいた。
〇×書店に着いた時には、7時を1分だけ過ぎていた。
渚さんは居るかなと、キョロキョロするも見当たらない。
社会人だもんな。
仕事も忙しいだろうし、のんびり参考書でも見ながら待ってるか。
奥にある参考書のコーナーに行こうとしたところで、渚さんが現れた。
「ごめん、南くん。お待たせ」
「大丈夫です。俺も今来たとこなんで」
「そう? 良かった。……えーっと、ご飯はもう食べた?」
「はい、済ませて来ちゃいました」
「うーん、やっぱそうか」
「あ、えっと。でも、食べようと思えばまだ腹に入るんで、付き合い程度に食べますよ。そう思って、お金も持って来たんで」
「南くん……。それくらいは俺が奢るよ」
「いえ! 渚さんには俺らの事で動いてくれてるんで、本当は俺が奢らなきゃいけないくらいですし! ……だけど俺、あんまお小遣い残って無くて、すんません」
情けない表情で渚さんを窺うと、なぜか困ったような笑みを浮かべている。
「……恋人が年上だから気負いたい気持ちも分かるけど、まだ高校生なんだからさ、もうちょっと甘えても良いんだよ」
「…………」
何と言っていいのか分からず戸惑う俺に、渚さんが優しく微笑んだ。
「まあ、男として、気持ちは大いに分かるけどね」
そう言って、お茶目に渚さんはウインクをした。
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