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第三章
礼人さん
待ちに待った放課後になって、僕は加賀くんと別れて読書同好会に向かった。
校舎を出て中庭を突っ切っていると、後ろから声がかかった。
「歩!」
「はい? あ、紫藤さん。今からですか?」
うわあ。
今日はツイてる。また紫藤さんと2人っきりの時間が持てるよ。
同好会の部屋までの短い時間でも、僕にとっては宝物のような時間だ。
「ああ。なあ、悪いけど一緒に図書館に付き合ってくれるか? いくつか借りて行こうと思っているんだ」
「はい、喜んで! ……もしかして、あそこにあった本はみんな図書館のモノですか?」
「いや、全部じゃないよ。家にある読み終えていらなくなった本とかが大半だ。ただ、図書館の本は定期的に返却しないといけないだろ?だから、時々こうやって何冊か見繕うことになるんだよ」
「そうなんですか。あ、じゃあその返却しないといけない本は?」
「ああ。それは要さんと涼さんが、昨日返してくれているから」
……涼さん?
って、確か顧問の先生だよな?
顧問の先生にさん付けって……、もちろん先生のことを愛称で呼んだりしてる人もいるにはいるけど、礼人さんはそんなタイプじゃないって思ってた……。
「なに?」
僕が不思議に思っていることに、紫藤さんが気が付いたようだ。
僕ってそんなに顔に出やすいのかな?
「あ、いえ、あの。涼さんって顧問の先生ですよね? 先生にさん付けって僕の中ではないんで、よほど親しいのかなって思って」
「ああ……、そういうこと。まあ、親しいっちゃー親しいんだけどな。俺ら幼馴染だから」
「えっ、そうなんですか!?」
「そ。だからついつい、さん付けしちゃうんだよな。改めて先生だなんて呼びにくくてさ。おかげで誰も涼さんのことを先生とは呼ばなくなっちまってる」
「そうなんですか……」
すごい仲いいんだなあ、みんな。
ホケーと感心している僕に、紫藤さんがニコリと笑った。
「お前も、同好会の一員だからな。涼さんって呼んでもいいんだぞ」
「ええっ!? で、でも。不快に思われちゃいますよ!」
「小心者だなー。大丈夫、大丈夫」
紫藤さんは楽しそうにそう言いながら、僕の頭をわしゃわしゃと撫でる。
「ええぇ~。やっぱり無理ですよぉ」
「そうか? ……じゃあ、俺のことは礼人と呼べ。紫藤さんってガラじゃねーし」
「えっ!?」
な、名前で呼んでいいの!?
礼人……礼人さん!?
うわー、うわー、うわー!!!
「なんだ、それも嫌か?」
「と、と、と、とんでもないです!!!」
真っ赤になって齧り付くようにそう言うと、紫藤さんは楽しそうに笑ってくれた。
「よし、じゃあ行くぞ歩」
「はい。……礼人……さん」
うれしすぎて、夢みたいで。
図書館へと向かう道のりは、まるで雲の上に乗っているみたいだった。
校舎を出て中庭を突っ切っていると、後ろから声がかかった。
「歩!」
「はい? あ、紫藤さん。今からですか?」
うわあ。
今日はツイてる。また紫藤さんと2人っきりの時間が持てるよ。
同好会の部屋までの短い時間でも、僕にとっては宝物のような時間だ。
「ああ。なあ、悪いけど一緒に図書館に付き合ってくれるか? いくつか借りて行こうと思っているんだ」
「はい、喜んで! ……もしかして、あそこにあった本はみんな図書館のモノですか?」
「いや、全部じゃないよ。家にある読み終えていらなくなった本とかが大半だ。ただ、図書館の本は定期的に返却しないといけないだろ?だから、時々こうやって何冊か見繕うことになるんだよ」
「そうなんですか。あ、じゃあその返却しないといけない本は?」
「ああ。それは要さんと涼さんが、昨日返してくれているから」
……涼さん?
って、確か顧問の先生だよな?
顧問の先生にさん付けって……、もちろん先生のことを愛称で呼んだりしてる人もいるにはいるけど、礼人さんはそんなタイプじゃないって思ってた……。
「なに?」
僕が不思議に思っていることに、紫藤さんが気が付いたようだ。
僕ってそんなに顔に出やすいのかな?
「あ、いえ、あの。涼さんって顧問の先生ですよね? 先生にさん付けって僕の中ではないんで、よほど親しいのかなって思って」
「ああ……、そういうこと。まあ、親しいっちゃー親しいんだけどな。俺ら幼馴染だから」
「えっ、そうなんですか!?」
「そ。だからついつい、さん付けしちゃうんだよな。改めて先生だなんて呼びにくくてさ。おかげで誰も涼さんのことを先生とは呼ばなくなっちまってる」
「そうなんですか……」
すごい仲いいんだなあ、みんな。
ホケーと感心している僕に、紫藤さんがニコリと笑った。
「お前も、同好会の一員だからな。涼さんって呼んでもいいんだぞ」
「ええっ!? で、でも。不快に思われちゃいますよ!」
「小心者だなー。大丈夫、大丈夫」
紫藤さんは楽しそうにそう言いながら、僕の頭をわしゃわしゃと撫でる。
「ええぇ~。やっぱり無理ですよぉ」
「そうか? ……じゃあ、俺のことは礼人と呼べ。紫藤さんってガラじゃねーし」
「えっ!?」
な、名前で呼んでいいの!?
礼人……礼人さん!?
うわー、うわー、うわー!!!
「なんだ、それも嫌か?」
「と、と、と、とんでもないです!!!」
真っ赤になって齧り付くようにそう言うと、紫藤さんは楽しそうに笑ってくれた。
「よし、じゃあ行くぞ歩」
「はい。……礼人……さん」
うれしすぎて、夢みたいで。
図書館へと向かう道のりは、まるで雲の上に乗っているみたいだった。
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