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第三章
驚きの真実
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僕がちょっぴり困惑しているのを、白石先輩が感じてくれたようだった。
僕に近づいてきて、「荷物貸して。中に入ろう」と促してくれた。
白石先輩のその一言で、みんな突っ立ったままになっていることに気が付いたようだ。みんなぞろぞろと白石先輩の後に続いた。
中に入ると桐ケ谷先輩は既にいて、僕らを見ると「おう」と片手をあげて、そのまま目線を下に向けた。
どうやら読書というよりは、受験勉強をしているらしい。
きっとそれをみんな理解しているんだろうな。みんな結構お喋りしたりするけれど、勉強の邪魔にならないようにと思っているんだろう。みんな小さな声でボソボソと話しているから。
礼人さんは今日も僕の隣に座って、今日借りて来た本を広げた後トントンと肩を叩いた。
「なんだ、じじむさいな。疲れてんのか?」
「……ちょっと、昨日ゲームし始めたら止められなくなっちまってさ。昨夜あんまり寝てないんだよ」
「……あ、だから」
黒田先輩と礼人さんの会話に、今日の膝枕の件を思い出してまたドキドキし始めた。
思わず言葉を漏らした僕に、黒田先輩と白石先輩が僕を見た。
「えっと、さっき礼人さん熟睡してたから……」
「ええっ!? 鹿倉君、礼人が寝てるとき傍にいたの!?」
「嘘っ!」
「マジか!!」
「ホントかよ!」
なにに驚かれたのか分からないのだけど、少し離れたところにいる千佳先輩らからも驚きの声が上がった。先輩たちの表情を見ていると、本気でびっくりしているようだ。
「あ……、あの……?」
礼人さんを見ると、なんだか苦笑いをしている。
……どういうこと?
「鹿倉君は知らなかったんだね。礼人の寝顔って、ここにいるみんな、誰も見たことないんだよ」
「……え?」
「神経質だからな、俺。他人がいるとどんなに眠くても寝れないんだよ」
「……え、でも……」
だってさっきは膝枕も頼まれたし……。
驚きの真実を知らされて、僕の心臓がバクバクし始めた。
だって、だってこれって……。まるで僕が紫藤さんの特別だって言われてるようなものだ。
「本当なのか? 礼人」
受験勉強の手を止めて、向こうの方から桐ケ谷先輩が声を掛けた。信じられないといった表情だ。
「……まあ。どういう訳か、こいつが傍にいると癒される気分になるんですよね」
「そうか、良かったな。安心したよ」
心底ほっとしたような安心した表情を浮かべているから、どうやら揶揄っているわけではなさそうだ。おまけに僕まで優しい表情で見られてしまって、なんだか居心地が悪かった。
しかもみんなの注目を浴びてしまって、ドギマギする。
「うわー、ってことは本物だね! 良かったねー、礼人!」
「そうとわかったらウダウダしてんなよ。しっかり捕まえとけ」
「鹿倉君なら俺も安心してみてられるな。……良かった」
「そうだな。眠いから授業さぼるって聞いた時はどうかと思ったけど、却ってラッキーだったな」
な、なに?
何でみんなそんな祝福ムードなの?
僕は礼人さんのことを好きだからまだいいけど、こんなふうに揶揄われて、礼人さんが僕と一緒にいるのを嫌だって思ったりしたら困るよ!
「おい、お前ら。安心してくれたんなら、そう構うな。歩が困ってる」
「そういう意味じゃありません!」
「え?」
「あ……、えっと」
礼人さんに勘違いされるのは絶対嫌だって思いから、つい心の中でぐちゃぐちゃ考えていたことが反射的に出てしまっていた。結果、礼人さんに驚かれて他の先輩方にも驚かれた。
みんなにジッと見られて、一層の恥ずかしさにじわじわと顔に熱が集まり始めた。
……やっちゃった。
なに言ってんだよ、僕。……恥ずかしい。
「あー、もう本当に。参るよなあ、歩には」
礼人さんが微笑みながら僕の頭をナデナデする。
微笑ましく皆から見つめられて、僕の顔はさらに熱くなっていた。
僕に近づいてきて、「荷物貸して。中に入ろう」と促してくれた。
白石先輩のその一言で、みんな突っ立ったままになっていることに気が付いたようだ。みんなぞろぞろと白石先輩の後に続いた。
中に入ると桐ケ谷先輩は既にいて、僕らを見ると「おう」と片手をあげて、そのまま目線を下に向けた。
どうやら読書というよりは、受験勉強をしているらしい。
きっとそれをみんな理解しているんだろうな。みんな結構お喋りしたりするけれど、勉強の邪魔にならないようにと思っているんだろう。みんな小さな声でボソボソと話しているから。
礼人さんは今日も僕の隣に座って、今日借りて来た本を広げた後トントンと肩を叩いた。
「なんだ、じじむさいな。疲れてんのか?」
「……ちょっと、昨日ゲームし始めたら止められなくなっちまってさ。昨夜あんまり寝てないんだよ」
「……あ、だから」
黒田先輩と礼人さんの会話に、今日の膝枕の件を思い出してまたドキドキし始めた。
思わず言葉を漏らした僕に、黒田先輩と白石先輩が僕を見た。
「えっと、さっき礼人さん熟睡してたから……」
「ええっ!? 鹿倉君、礼人が寝てるとき傍にいたの!?」
「嘘っ!」
「マジか!!」
「ホントかよ!」
なにに驚かれたのか分からないのだけど、少し離れたところにいる千佳先輩らからも驚きの声が上がった。先輩たちの表情を見ていると、本気でびっくりしているようだ。
「あ……、あの……?」
礼人さんを見ると、なんだか苦笑いをしている。
……どういうこと?
「鹿倉君は知らなかったんだね。礼人の寝顔って、ここにいるみんな、誰も見たことないんだよ」
「……え?」
「神経質だからな、俺。他人がいるとどんなに眠くても寝れないんだよ」
「……え、でも……」
だってさっきは膝枕も頼まれたし……。
驚きの真実を知らされて、僕の心臓がバクバクし始めた。
だって、だってこれって……。まるで僕が紫藤さんの特別だって言われてるようなものだ。
「本当なのか? 礼人」
受験勉強の手を止めて、向こうの方から桐ケ谷先輩が声を掛けた。信じられないといった表情だ。
「……まあ。どういう訳か、こいつが傍にいると癒される気分になるんですよね」
「そうか、良かったな。安心したよ」
心底ほっとしたような安心した表情を浮かべているから、どうやら揶揄っているわけではなさそうだ。おまけに僕まで優しい表情で見られてしまって、なんだか居心地が悪かった。
しかもみんなの注目を浴びてしまって、ドギマギする。
「うわー、ってことは本物だね! 良かったねー、礼人!」
「そうとわかったらウダウダしてんなよ。しっかり捕まえとけ」
「鹿倉君なら俺も安心してみてられるな。……良かった」
「そうだな。眠いから授業さぼるって聞いた時はどうかと思ったけど、却ってラッキーだったな」
な、なに?
何でみんなそんな祝福ムードなの?
僕は礼人さんのことを好きだからまだいいけど、こんなふうに揶揄われて、礼人さんが僕と一緒にいるのを嫌だって思ったりしたら困るよ!
「おい、お前ら。安心してくれたんなら、そう構うな。歩が困ってる」
「そういう意味じゃありません!」
「え?」
「あ……、えっと」
礼人さんに勘違いされるのは絶対嫌だって思いから、つい心の中でぐちゃぐちゃ考えていたことが反射的に出てしまっていた。結果、礼人さんに驚かれて他の先輩方にも驚かれた。
みんなにジッと見られて、一層の恥ずかしさにじわじわと顔に熱が集まり始めた。
……やっちゃった。
なに言ってんだよ、僕。……恥ずかしい。
「あー、もう本当に。参るよなあ、歩には」
礼人さんが微笑みながら僕の頭をナデナデする。
微笑ましく皆から見つめられて、僕の顔はさらに熱くなっていた。
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