僕の王子様

くるむ

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第三章

訳ありなんですか?

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みんなでぞろぞろと帰る最中、礼人さんにどこに住んでるのかを聞かれた。

下中谷シモナカタニですけど」
「下中谷? 下中谷のどこだ」
可士和カシワ町です」
「……そうか。俺んちからそう遠くは無いな。最寄りの駅からは遠いけど、歩いていけば30分位だ」
「えっ!そうなんですか?」
「ああ。俺は谷崎だ。クリスマスの時にはどっから帰るのかしか聞かなかったから気づかなかったけど」
「そうなんですか……」

歩いて30分くらいなら、礼人さんちの傍まで行ってそれから帰っても全然大丈夫じゃないか!

「あ、あのっ礼人さん。もしよかったら僕、礼人さんのお家の近くまで行きます。30分なら大した距離じゃないだろうし!」

もっと一緒にいたいと思って意気込んだ。
……意気込んで言ってしまって、しまった!と思った。

だって、礼人さんが目を真ん丸くして小首を傾げていたから。

きっと僕がそんな提案をするだなんて思ってもいなかったんだろう。

「あ……、あの。都合が悪かったら……」

ぐわしっ!

「ひゃ!?」

何かと思ったら突然、礼人さんが僕の頭をわしづかみにしていた。
あ、もちろん優しくなので、痛くはないです。

「都合が悪いことなんかねーよ。てか、それ逆にしろ。俺の方が歩んちに行く。その方が俺もちょっと助かる」

……助かる?
どういう意味だろ。

「なに、礼人。お前らだいぶ仲良くなったんじゃなかったのか? まだギクシャクしてんの?」

「……いや、違うよ。ギクシャクとかじゃなくて」

そこまで言って、ちょっと考えるそぶりを見せた礼人さんは、またボソボソと言葉を続けた。

「……普通の親子なら間が持たないとかって考えたりしないだろ? だけど俺の場合、まだ何もしゃべらないでいても気にならない状態にまではなって無いんだ。気を遣い過ぎるのは止めにしたし以前よりだいぶマシにはなったけど、それでもさ、まだちょっと……なんだよ」

「そう……か。まあ、焦らずゆっくりだな」
「ああ」

……親子?
気を遣う?

先輩方を見ると、みんな一様に礼人さんのことを心配しているような表情だ。

……なんか訳ありなんだろうか。

聞きたいけれど聞いてしまっていいのかも分からなくて、まごまごしている内に校門に着いてしまった。

そこからみんなそれぞれの方向へと帰っていく。
今日は礼人さんが僕を送ってから帰るという事になったので、2人で肩を並べて歩き始めた。
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