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第四章
仮装担当 2
「はうっ……」
僕は何度目になるのか分からないため息を吐いていた。
「るせーな。鬱陶しいぞ」
パカン!
「って……、いったいよ千佳」
「あああ、すみませんっ! 鬱陶しいって僕のため息ですよね! もう吐きませんから!」
「気にすんな、歩。威嚇するのは剛先輩の癖のようなものだ。いちいち反応しなくていいからな」
「そうだよー。ごめんね、歩君」
「……お前ら」
「駄目だよー、後輩を無駄にビビらせちゃぁ。剛先輩本当は優しい人なんだから、誤解させちゃ損だよ」
東郷先輩の隣に座っている千佳先輩が、頭を撫でながら宥めている。そのせいか、さっきまで浮かんでいた眉間のしわは、東郷先輩の眉間から既に無くなっていた。
……千佳先輩ってすごいよなあ。
あの東郷先輩を、いっつも簡単に宥めてるんだもん。
「猛獣使いだからな」
僕の隣で礼人さんが小声でこっそりと僕に耳打ちをした。
猛獣使い?
えっ?と思って礼人さんを見ると、千佳先輩たちをチラッと見て「そう思うだろ?」とささやいた。
……ああ、猛獣。
確かに、……納得。
「ところで、歩」
「はい」
「お前ホントさっきから、なにため息吐いてんだ?」
「あ……、えっと。実はですね……」
あんまり話したくは無かったんだけど、SHRで決まったスポーツ大会の仮装担当に決まってしまったことを打ち明けた。
「マジか……」
「はい……」
絶句する礼人さんに、僕もシュンとうなだれた。
またため息を吐きそうになったので、かろうじて堪えた。
これ以上猛獣さんを困らせてはいけない。
ナデナデ。
ナデナデ。
「礼人さん……」
僕は猛獣では無いけれど、礼人さんが僕を慰めようと僕の頭を撫でてくれていた。
「クラスで決まったことに俺は口出しできないし助けてやることも出来ないけど、お前のステージはちゃんと見てやるからな」
「……え―。それはそれで、……恥ずかしいです」
「なに言ってんだ。他の奴らはカボチャだと思って、俺のためだけに仮装してると思えばいいだろ?」
「……う~」
「俺も見るよ!!」
「ふわっ!? ち、千佳先輩……聞いて……」
「うん、聞いてた。歩君が恥ずかしくないように、俺もステージ下で盛り上げてあげるから。気を大きく持ってよ」
「そうだな、頑張れ。俺は千佳の隣で、お前をあざ笑うやつがいたらちゃんと威嚇しておいてやる」
「……ふえぇ」
「そうだね。頑張ってよ。剛先輩!」
「おう」
余りにも頼もしすぎる先輩方に、僕は笑顔を引きつらせるしか出来なかった……。
僕は何度目になるのか分からないため息を吐いていた。
「るせーな。鬱陶しいぞ」
パカン!
「って……、いったいよ千佳」
「あああ、すみませんっ! 鬱陶しいって僕のため息ですよね! もう吐きませんから!」
「気にすんな、歩。威嚇するのは剛先輩の癖のようなものだ。いちいち反応しなくていいからな」
「そうだよー。ごめんね、歩君」
「……お前ら」
「駄目だよー、後輩を無駄にビビらせちゃぁ。剛先輩本当は優しい人なんだから、誤解させちゃ損だよ」
東郷先輩の隣に座っている千佳先輩が、頭を撫でながら宥めている。そのせいか、さっきまで浮かんでいた眉間のしわは、東郷先輩の眉間から既に無くなっていた。
……千佳先輩ってすごいよなあ。
あの東郷先輩を、いっつも簡単に宥めてるんだもん。
「猛獣使いだからな」
僕の隣で礼人さんが小声でこっそりと僕に耳打ちをした。
猛獣使い?
えっ?と思って礼人さんを見ると、千佳先輩たちをチラッと見て「そう思うだろ?」とささやいた。
……ああ、猛獣。
確かに、……納得。
「ところで、歩」
「はい」
「お前ホントさっきから、なにため息吐いてんだ?」
「あ……、えっと。実はですね……」
あんまり話したくは無かったんだけど、SHRで決まったスポーツ大会の仮装担当に決まってしまったことを打ち明けた。
「マジか……」
「はい……」
絶句する礼人さんに、僕もシュンとうなだれた。
またため息を吐きそうになったので、かろうじて堪えた。
これ以上猛獣さんを困らせてはいけない。
ナデナデ。
ナデナデ。
「礼人さん……」
僕は猛獣では無いけれど、礼人さんが僕を慰めようと僕の頭を撫でてくれていた。
「クラスで決まったことに俺は口出しできないし助けてやることも出来ないけど、お前のステージはちゃんと見てやるからな」
「……え―。それはそれで、……恥ずかしいです」
「なに言ってんだ。他の奴らはカボチャだと思って、俺のためだけに仮装してると思えばいいだろ?」
「……う~」
「俺も見るよ!!」
「ふわっ!? ち、千佳先輩……聞いて……」
「うん、聞いてた。歩君が恥ずかしくないように、俺もステージ下で盛り上げてあげるから。気を大きく持ってよ」
「そうだな、頑張れ。俺は千佳の隣で、お前をあざ笑うやつがいたらちゃんと威嚇しておいてやる」
「……ふえぇ」
「そうだね。頑張ってよ。剛先輩!」
「おう」
余りにも頼もしすぎる先輩方に、僕は笑顔を引きつらせるしか出来なかった……。
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