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第四章
礼人さんの過去
遅れてやって来た黒田先輩と白石先輩、それに桐ケ谷先輩が来た頃には僕の仮装担当の話題は終了していて、また各々が読書をしたりいちゃついたり(?)のいつもの雰囲気に戻っていた。
「あ……」
「ん? 今度はなんだ?」
唐突に、礼人さんに報告しなきゃならないことがある事を思い出した。
「すみません。今度僕んちに来てくれることになってましたけど、さっきの……仮装のせいで出来なくなってしまいました」
「え?」
「……同じ仮装担当になった高橋君と練習しなくちゃならないので、学校に行くことになっちゃって」
「ああ……、そっか」
「はい。楽しみにしてたんですけど……」
「仕方ないな。……何時から行くことになってるんだ?」
「えっと、1時集合です。教室に」
「ふうん……。ま、頑張れ」
「はい……」
あ~、凹む。
何でこうなっちゃうんだろうなあ、もう。
「そういえば、礼人さんはバレーですか?」
「俺? 不本意ながらサッカーだ」
「えっ! そうなんですか?」
あ~。
ライバル増えそう。
でも、……キラキラしたかっこいい礼人さんが見れるんだよね。
どうしよう。
女子が群がるのを見るのは嫌だけど、カッコいい礼人さんを見れそうなことはすごく楽しみだ。
「俺のせいじゃないからな」
え?
心の中で勝手にいろんなことを思い描いて気持ちを乱高下させていたら、奥の方から黒田先輩の声が聞こえて来た。
「分かってるよ。誰もクロのせいだなんて思ってないから」
……?
どういうことだろ?
黒田先輩のせいじゃない……??
「クロと俺同じクラスなんだよ。で、な。あいつ中学の時サッカーやってて結構すごかったんだ。それを知ってる女子がサッカーすべきだって騒いでさ、ついでになぜか俺まで巻き込まれちゃったんだよな」
そういえば、礼人さんも中学の時部活で色々あったって言ってたよな。
「もしかして礼人さんも昔サッカーやってたんですか?」
「いや。俺はテニスだ」
……テニス!!
すごいっ!!
絶対、絶対礼人さんに似合ってるよ!
グリグリ。
え?
「…………」
コツン。
余りにも似合い過ぎるテニスを礼人さんがやっていたって聞いて、思わず勝手にいろいろ想像していたら(多分顔はニヤけていたはずだ)礼人さんが僕の頭をグリグリとした。
そして礼人さんの顔を見て、そんな自分にちょっぴり後悔したんだ。
だって、見上げた礼人さんの表情は、ちょっぴり自嘲したような諦めたような、何とも言えない表情だったから……。
バカだ、僕。
礼人さんが過去のことを話してくれて、それにまだ囚われていることもちゃんと分かっていたのに。
しかも優しい礼人さんは僕の表情を見て、おそらく瞬時に僕の気持ちの変動に気が付いたんだろう。額を優しくコツンと叩いて、暗に"気にすんな"と言ってくれている。
「礼人さん!」
「うん?」
のんびりと返すその返事に、礼人さんの優しさが痛いほど伝わって堪らなくなった。
膝立ちになって、ギュウッと礼人さんを抱きしめた。
「え? あゆ……」
ギュウウウウッ。
何を言っていいのかなんて分からない。
ごめんなさいだなんて、絶対ないし。今の僕の気持ちをどう表現したらいいのかも分からない。
だから、僕が。
僕の気持ちがちゃんと伝われば良いってそれだけを思って、僕は礼人さんの体を力いっぱい抱きしめた。
「あ……」
「ん? 今度はなんだ?」
唐突に、礼人さんに報告しなきゃならないことがある事を思い出した。
「すみません。今度僕んちに来てくれることになってましたけど、さっきの……仮装のせいで出来なくなってしまいました」
「え?」
「……同じ仮装担当になった高橋君と練習しなくちゃならないので、学校に行くことになっちゃって」
「ああ……、そっか」
「はい。楽しみにしてたんですけど……」
「仕方ないな。……何時から行くことになってるんだ?」
「えっと、1時集合です。教室に」
「ふうん……。ま、頑張れ」
「はい……」
あ~、凹む。
何でこうなっちゃうんだろうなあ、もう。
「そういえば、礼人さんはバレーですか?」
「俺? 不本意ながらサッカーだ」
「えっ! そうなんですか?」
あ~。
ライバル増えそう。
でも、……キラキラしたかっこいい礼人さんが見れるんだよね。
どうしよう。
女子が群がるのを見るのは嫌だけど、カッコいい礼人さんを見れそうなことはすごく楽しみだ。
「俺のせいじゃないからな」
え?
心の中で勝手にいろんなことを思い描いて気持ちを乱高下させていたら、奥の方から黒田先輩の声が聞こえて来た。
「分かってるよ。誰もクロのせいだなんて思ってないから」
……?
どういうことだろ?
黒田先輩のせいじゃない……??
「クロと俺同じクラスなんだよ。で、な。あいつ中学の時サッカーやってて結構すごかったんだ。それを知ってる女子がサッカーすべきだって騒いでさ、ついでになぜか俺まで巻き込まれちゃったんだよな」
そういえば、礼人さんも中学の時部活で色々あったって言ってたよな。
「もしかして礼人さんも昔サッカーやってたんですか?」
「いや。俺はテニスだ」
……テニス!!
すごいっ!!
絶対、絶対礼人さんに似合ってるよ!
グリグリ。
え?
「…………」
コツン。
余りにも似合い過ぎるテニスを礼人さんがやっていたって聞いて、思わず勝手にいろいろ想像していたら(多分顔はニヤけていたはずだ)礼人さんが僕の頭をグリグリとした。
そして礼人さんの顔を見て、そんな自分にちょっぴり後悔したんだ。
だって、見上げた礼人さんの表情は、ちょっぴり自嘲したような諦めたような、何とも言えない表情だったから……。
バカだ、僕。
礼人さんが過去のことを話してくれて、それにまだ囚われていることもちゃんと分かっていたのに。
しかも優しい礼人さんは僕の表情を見て、おそらく瞬時に僕の気持ちの変動に気が付いたんだろう。額を優しくコツンと叩いて、暗に"気にすんな"と言ってくれている。
「礼人さん!」
「うん?」
のんびりと返すその返事に、礼人さんの優しさが痛いほど伝わって堪らなくなった。
膝立ちになって、ギュウッと礼人さんを抱きしめた。
「え? あゆ……」
ギュウウウウッ。
何を言っていいのかなんて分からない。
ごめんなさいだなんて、絶対ないし。今の僕の気持ちをどう表現したらいいのかも分からない。
だから、僕が。
僕の気持ちがちゃんと伝われば良いってそれだけを思って、僕は礼人さんの体を力いっぱい抱きしめた。
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