僕の王子様

くるむ

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第六章

紫藤先輩はカッコイイ

黒田先輩達と、話をしながら遠のいていく礼人さんを見ながらひとり感慨にふけっていた。

「かっこいいよねー」

うわっ! びっくりした!

「か、加山さん、びっくりさせないでよ」

突然耳元で声を掛けられてびっくりして飛び上がりそうになった。
その後ろで加賀くんも苦笑いをしている。

「紫藤先輩って、いい先輩なんだな。俺だったら、いくら可愛い後輩が出来たとしてもあんな風に体張ることなんて出来ねーや」

「うん……。礼人さんって本当は、あんな風に目立つことするの嫌な人なんだよ。だけど優しいから、……迷惑かけちゃった」
「なーに言ってんのよ! 迷惑なんかじゃないって! 鹿倉君がそんな風に考えたら、紫藤先輩も立つ瀬がないじゃん」

「そう、そう。それに加山たち女子は大喜びだったもんな」
「そーよー。ああ、もう、ホントにー!!」
バシバシ!!

「いったいよ!」

もう―!
加山さんったら妄想に入ると、すぐ人の腕叩くんだから。

「アハハ、ごめんごめん。……紫藤先輩のクラスの試合は……、今の試合が終わってからだからまだ20分くらいあるかなー。でも早めに行かないといい場所取れないよね。そろそろ行こうか」

「そうだね、行こうか。あ、加賀くんも見に行く?」
「おう。なんかさっきの紫藤先輩って、かっこよかったし」
「えっ!?」

加賀くんの言葉になぜだか加山さんが凄い勢いで反応した。
……まさか、また変なセンサーが作動したわけじゃないよね?

「……なんだよ? 男だからって妬むやつばかりじゃないぞ。さっきも言ったけど、みんながブーイングするだろうことを分かっていたのに、後輩を助けに行くって、スゲーじゃん」

「……ああ、まあね」
「…………」

あからさまに"そっちか"って気落ちした顔をするのは止めて。
加賀くんが首を傾げてるよ……。

「じゃ、いこーぜ」
「うん」
「あ、待って。おいてかないでよ」

「え~っと、確かこっちのフィールドだよな」

予定表に書かれている各試合の場所を確認して、加賀くんが僕らを引率中。僕と加山さんはひよこよろしく加賀くんの後をついていく。

「うっわ。すっごい人だね。なんだろう、二回戦だから盛り上がってんのかな」
「……違うんじゃない? これ、今の試合の応援の人だけじゃなくて、次の試合の紫藤先輩や黒田先輩目当ての女の子たちが陣取ってるみたい」

「ええっ!?」
「はあっ!? ……あー、そうみたいだ。よくよく見ると女子が前の方にかたまってる」


結局、礼人さんたちのサッカーの試合が始まっても、応援している人たちの数はほとんど減らなかった。だから1回戦の時と違って前の方に行くことは出来ない。

「しょうがないね。まあ、見えないことは無いからこっから応援しようか」
「だな」
「うん」

この試合に勝てば、次は決勝だったんだけど……。
運の悪いことに相手のクラスにはサッカー部の選手が3人もいたようで、ライバル視されていたのか執拗に黒田先輩がマークされ、3対4という僅差で礼人さんのクラスは負けてしまった。
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