無自覚美少年の男子校ライフ♪

くるむ

文字の大きさ
36 / 48
無自覚美少年の男子校ライフ♪

気になる2人 2

しおりを挟む
食事がすんで会計を済ませていると、一葉たちも出てきた。
事前に先輩が支払うという事で押し切られていた僕は、大人しく少し離れたところで待っていた。

「待たせたな、行こうか」
「あ。いえ。あの、ごちそうさまでした、美味しかったです!」

ペコリと勢いよく頭を下げてお礼を言ったのだけど、先輩は少し曖昧にほほ笑んで僕の頭を撫でた。
…やっぱ、僕の微妙な気持ち、気づかれちゃってるみたいだな。
本当のところ、美味しかったのは美味しかったんだけど、堪能して味わえたかというと嘘になる。
一旦気になってしまった一葉と先輩との過去や関係は、僕の頭からなかなか離れてくれなかったんだ。

「蓮さま!」

その場から離れようと歩きかけた僕らに、石田が後ろから声をかけてきた。

「良かったらこれからどっか遊びに行きませんか? まだまだ早い時間ですし」
「ああ、いや…」
「石田! 何言ってるんだよ。お邪魔だろ。蓮さまを困らせること言うんじゃないよ」

先輩の声に被せて、一葉が慌てて口を挿んだ。

「え~? だってさぁ」

石田は何かを言いたげに僕をチラリと横目で見る。まるで僕の方が邪魔だと言わんばかりの態度だ。
ムッとはしたけど、口を挿む気にはなれなかった。
実際、僕だって先輩にお似合いなのは一葉の方だって思ってしまっているんだもの…。

「悪いな、石田。今日は伸之助とのデートなんだ」

先輩はそう言いながら、僕の背中に手を当てた。そして空いてる手を上げて、「じゃあな」といい僕の背中を押して歩き出した。

先輩の家までは、タクシーに乗って帰った。
最初は初めて行く先輩の家やお泊りするという事にドキドキしながら入ったのに、今は意気消沈してしまって、一葉への嫉妬や負い目という情けない気持ちでいっぱいで複雑な気分だ。

「どうぞ」

先輩に促されて中に入り、リビングのソファに座る。

ふわっと吸い付くように体に馴染み、柔らかく包み込むようなフィット感。それでもって今まで感じた事の無い硬めで安定したすわり心地に、凄い高級ソファなんだろうなと、変な所に感心していた。

…って、なに考えてるんだろ僕。
逃げてんだろうな。先輩と向き合いたくなくて。

ハアッ。思わず吐いたため息に、先輩が緩く笑って僕の隣に腰かけた。

「言いたい事、あるだろ?」

突然直球で聞かれて、ビクッと体が揺れた。
答えられずに固まる僕に、先輩の掌が僕の頬をゆっくりと撫でる。
ゆっくりゆっくりと優しく根気よく撫でられて、僕の硬くなっていた気持ちも少しずつ解れてきた。

「…先輩」
「ん?」

バクバクと煩くなる心臓。冷や汗で、手もべたついてきた。
だけどやっぱりこのまま、燻った気持ちを無かった事に出来るはずがない。
ギュッと手を握りしめて、先輩の方を向いた。


「一葉と…、付き合っていたんですか?」



僕の質問に、先輩は目を見開いた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうせ全部、知ってるくせに。

楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】 親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。 飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。 ※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

【完結】我が兄は生徒会長である!

tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。 名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。 そんな彼には「推し」がいる。 それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。 実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。 終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。 本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。 (番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。 そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語

好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない

豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。 とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ! 神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。 そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。 □チャラ王子攻め □天然おとぼけ受け □ほのぼのスクールBL タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。 ◆…葛西視点 ◇…てっちゃん視点 pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。 所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。

ハイスペックストーカーに追われています

たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!! と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。 完結しました。

イケメンに惚れられた俺の話

モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。 こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。 そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。 どんなやつかと思い、会ってみると……

処理中です...