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無自覚美少年の男子校ライフ♪
気になる2人
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「待たせたな、行こうか」
再度リビングに現れた先輩は、黒のデニムシャツに白のパンツ、インナーに淡いブルーのカットソーというラフなスタイルだった。
だけどそのさり気なささえ、先輩を引き立たせているのだから、何とも言いようがない。
クラウンホッパーホテルまではまだ時間があるからと、電車で向かう事にした。
駅までの道のりも、駅に着いてからも、通り過ぎて行く人たちが僕らを(正確には蓮先輩を)じろじろと見て行く。
女の人なんて、コソコソと何かを話しながらキャーキャーと騒がしい。
…ったく~。
タダだからって、じろじろ見んなよな。
「伸之助? 電車、乗るぞ?」
「あ、は、はい」
あ~、びっくりした。他所に気を取られてて、電車が来てるのに気が付かなかった。
僕は先輩に続いて慌てて飛び乗った。
「…先輩って、いつもこんなんですか?」
「? 何が?」
「家を出てから、ずーっとみんなにじろじろ見られてましたよね」
「…ああ、いつもってわけじゃないよ。通学の時とかはそれほどでもないし…。そういえば、私服の時の方が視線を感じる時は多いかな」
「なる、ほど…」
「でも…」
先輩は中途半端な所で言葉を切り、意味深に僕に視線をよこした。
「今日は特に多いよな。多分、伸之助のせいでもあるんじゃないか?」
「へ?」
僕?
「あ、それはあり得ませんから。僕、今までこんな風に人に見られたこと無いですよ」
「そうなのか? ああ、それならもしかしたらお互いがお互いを引き立てあってるのかもしれないな」
そう言って先輩は優しく僕に微笑んだ。
先輩の言わんとしている事をなんとなく察して、熱くなる。
"お似合い"
きっと先輩の言葉にはそんなニュアンスがあるんだろう。
バカップルだよなあ。
自分で自分に突っ込んで、それでも幸せな自分に、更に突っ込んでみる僕だった。
ホテルに着いて、先輩に「こっちだ」と手を引かれた。
…もしかしたら毎年優勝していて、いわゆる常連さんになっているんじゃないだろうか。
そんな事を考えながら蓮先輩の後を引かれるまま歩いていると、鉄板焼きレストランの前に見覚えのある姿があった。
「一葉…」
先輩も驚いたのだろう。目を瞬かせている。
「え!? 蓮さまも今日の予約ですか?」
「うわ~。ラッキー!一葉についてきて良かった♪」
一葉の隣には、あの石田が立っていた。
なんかコイツ、苦手なんだよな…。僕のこと目の敵にしてる感じで。
「確か去年も一葉と蓮さまが優勝してて、一緒にここに来たんですよね」
嫌味っぽくニコニコしながら、石田が僕をちら見する。
「まあ、そうだったね」
一葉は僕のことを気にしてなのか、やんわりと流そうとしているようだった。
…だけど去年って、先輩は高校生になっていたけど僕らはまだ中学生だよね。
コンテストは合同じゃないのに、わざわざ一緒に食事に来たって事…?
考えすぎなのかもしれないけど、やっぱりこの2人って仲良すぎるんじゃないだろうか…。
脳裏に楽しそうに話している2人の姿がよぎって、せっかくのデートだって言うのになんだか又モヤモヤし始めてしまった。
当然のことだろうけど、別に予約を入れていたので、それぞれ案内された席に着く。
僕たちの所についたシェフは30代前半くらいの人で、ちょっと落ち着いた感じの人だった。
僕たちに、にこやかに話題を振りながら、カニと貝柱を目の前の鉄板で焼き上げる。
僕はサラダを食べながら、目はカニにくぎ付けだ。美味そー、スッゲー。
身を乗り出して見ていたら、先輩にくすっと笑われた。
「良かった。楽しんでくれてるようで」
本当に心底ホッとしたような先輩に、僕の胸にツキンと何かが刺さる。
きっと先輩は、さっき僕が感じたモヤモヤとした気持ちを察してしまったのかもしれない。
美味しい料理を口にしながらも、その後は結局一葉の事が何度も脳裏に浮かんでしまって、僕は美味しいはずの料理を堪能する事が出来なかった。
再度リビングに現れた先輩は、黒のデニムシャツに白のパンツ、インナーに淡いブルーのカットソーというラフなスタイルだった。
だけどそのさり気なささえ、先輩を引き立たせているのだから、何とも言いようがない。
クラウンホッパーホテルまではまだ時間があるからと、電車で向かう事にした。
駅までの道のりも、駅に着いてからも、通り過ぎて行く人たちが僕らを(正確には蓮先輩を)じろじろと見て行く。
女の人なんて、コソコソと何かを話しながらキャーキャーと騒がしい。
…ったく~。
タダだからって、じろじろ見んなよな。
「伸之助? 電車、乗るぞ?」
「あ、は、はい」
あ~、びっくりした。他所に気を取られてて、電車が来てるのに気が付かなかった。
僕は先輩に続いて慌てて飛び乗った。
「…先輩って、いつもこんなんですか?」
「? 何が?」
「家を出てから、ずーっとみんなにじろじろ見られてましたよね」
「…ああ、いつもってわけじゃないよ。通学の時とかはそれほどでもないし…。そういえば、私服の時の方が視線を感じる時は多いかな」
「なる、ほど…」
「でも…」
先輩は中途半端な所で言葉を切り、意味深に僕に視線をよこした。
「今日は特に多いよな。多分、伸之助のせいでもあるんじゃないか?」
「へ?」
僕?
「あ、それはあり得ませんから。僕、今までこんな風に人に見られたこと無いですよ」
「そうなのか? ああ、それならもしかしたらお互いがお互いを引き立てあってるのかもしれないな」
そう言って先輩は優しく僕に微笑んだ。
先輩の言わんとしている事をなんとなく察して、熱くなる。
"お似合い"
きっと先輩の言葉にはそんなニュアンスがあるんだろう。
バカップルだよなあ。
自分で自分に突っ込んで、それでも幸せな自分に、更に突っ込んでみる僕だった。
ホテルに着いて、先輩に「こっちだ」と手を引かれた。
…もしかしたら毎年優勝していて、いわゆる常連さんになっているんじゃないだろうか。
そんな事を考えながら蓮先輩の後を引かれるまま歩いていると、鉄板焼きレストランの前に見覚えのある姿があった。
「一葉…」
先輩も驚いたのだろう。目を瞬かせている。
「え!? 蓮さまも今日の予約ですか?」
「うわ~。ラッキー!一葉についてきて良かった♪」
一葉の隣には、あの石田が立っていた。
なんかコイツ、苦手なんだよな…。僕のこと目の敵にしてる感じで。
「確か去年も一葉と蓮さまが優勝してて、一緒にここに来たんですよね」
嫌味っぽくニコニコしながら、石田が僕をちら見する。
「まあ、そうだったね」
一葉は僕のことを気にしてなのか、やんわりと流そうとしているようだった。
…だけど去年って、先輩は高校生になっていたけど僕らはまだ中学生だよね。
コンテストは合同じゃないのに、わざわざ一緒に食事に来たって事…?
考えすぎなのかもしれないけど、やっぱりこの2人って仲良すぎるんじゃないだろうか…。
脳裏に楽しそうに話している2人の姿がよぎって、せっかくのデートだって言うのになんだか又モヤモヤし始めてしまった。
当然のことだろうけど、別に予約を入れていたので、それぞれ案内された席に着く。
僕たちの所についたシェフは30代前半くらいの人で、ちょっと落ち着いた感じの人だった。
僕たちに、にこやかに話題を振りながら、カニと貝柱を目の前の鉄板で焼き上げる。
僕はサラダを食べながら、目はカニにくぎ付けだ。美味そー、スッゲー。
身を乗り出して見ていたら、先輩にくすっと笑われた。
「良かった。楽しんでくれてるようで」
本当に心底ホッとしたような先輩に、僕の胸にツキンと何かが刺さる。
きっと先輩は、さっき僕が感じたモヤモヤとした気持ちを察してしまったのかもしれない。
美味しい料理を口にしながらも、その後は結局一葉の事が何度も脳裏に浮かんでしまって、僕は美味しいはずの料理を堪能する事が出来なかった。
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