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第一章
鈍感なブライアン
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今まで本当に勉強なんて嫌いだったけど、目標ができた今、嫌いだなんて言っていられなくなった。いや、むしろみんなが手伝ってくれたり励ましてくれたりするものだから、前よりも好きになっているかもしれないけど。
エイドリアンに書いてもらった年表はいつもポケットの中にねじ込んでいる。そしてちょっと時間があればそれを取り出して、暗記しようと頑張っている。今も、トイレから戻るわずかな時間を使って年表を眺めながら歩いていた。
「この時代は、水害や冷害による飢饉のせいもあって争いが絶えないんだな」
なるほど、戦争を仕掛けるには何か理由があるのか。
「すごいな、本当に勉強頑張ってるな」
「えっ?」
通りすがりに突然話しかけられてびっくりした。年表を見ながら歩いているから、なるべく脇によって歩いていたんだけど。
あ……、
話しかけてきたのはブライアンだった。人当たりの良い笑顔で僕を見ている。
できればあんまり関わりたくないんだけど、こんな表情をされては無視しにくい。
「し、試験が近いからね」
「自習室でもよく勉強してるよな。でも前の君だったら、こんなに熱心に勉強なんてしてなかっただろう?」
……ああ。ブライアンしか見えてなかったからな。この人が手に入りさえすれば、僕も幸せになれるんじゃないかって、そんなことを考えていたから。
「目標ができたんだ。そのためには自分も変わらなくちゃならなくて」
「そう……。目標か」
ため息のように呟いたブライアンは、すうっと息を吸い込んだ。
「よかったら私も、勉強見てあげようか」
「ええっ? い、いいよ、そんなことをしたらジェイミーに怒られるよ?」
僕の返事に、ブライアンの表情が怪訝なものになった。気を悪くしたのだろうか?
でもせっかく平穏無事なコースを歩めているんだ。何を思っているのか分からないけど、ブライアンたちには関わりたくない。
「なぜかみんなに勘違いされがちなんだけど、私とジェイミーは付き合ってなんかいないよ」
「え? うそでしょ?」
「嘘なんか言わないよ。彼とは仲の良い幼なじみだ」
はあ?
何それ。じゃあ僕ずっと勘違いしてたってわけ?
「あー」
脱力しすぎてしゃがみ込んでしまった。
じゃあ僕はとんだ勘違いをしてジェイミーに当たり散らし、嫌がらせをして怪我を負わせたってわけ? 最悪じゃないか。
……いや待てよ。ジェイミーの方は、あれ絶対ブライアンの事好きだろ? 僕に対してかなり好戦的だったし。なんなら排除したいと思っていたはずだ。
「だから私が君に勉強を教えたところで、ジェイミーが怒ることなんてないんだよ」
あ、察し。
ブライアンは超が付くほどの鈍感だ。これ恐ろしく面倒なやつじゃん。
エイドリアンに書いてもらった年表はいつもポケットの中にねじ込んでいる。そしてちょっと時間があればそれを取り出して、暗記しようと頑張っている。今も、トイレから戻るわずかな時間を使って年表を眺めながら歩いていた。
「この時代は、水害や冷害による飢饉のせいもあって争いが絶えないんだな」
なるほど、戦争を仕掛けるには何か理由があるのか。
「すごいな、本当に勉強頑張ってるな」
「えっ?」
通りすがりに突然話しかけられてびっくりした。年表を見ながら歩いているから、なるべく脇によって歩いていたんだけど。
あ……、
話しかけてきたのはブライアンだった。人当たりの良い笑顔で僕を見ている。
できればあんまり関わりたくないんだけど、こんな表情をされては無視しにくい。
「し、試験が近いからね」
「自習室でもよく勉強してるよな。でも前の君だったら、こんなに熱心に勉強なんてしてなかっただろう?」
……ああ。ブライアンしか見えてなかったからな。この人が手に入りさえすれば、僕も幸せになれるんじゃないかって、そんなことを考えていたから。
「目標ができたんだ。そのためには自分も変わらなくちゃならなくて」
「そう……。目標か」
ため息のように呟いたブライアンは、すうっと息を吸い込んだ。
「よかったら私も、勉強見てあげようか」
「ええっ? い、いいよ、そんなことをしたらジェイミーに怒られるよ?」
僕の返事に、ブライアンの表情が怪訝なものになった。気を悪くしたのだろうか?
でもせっかく平穏無事なコースを歩めているんだ。何を思っているのか分からないけど、ブライアンたちには関わりたくない。
「なぜかみんなに勘違いされがちなんだけど、私とジェイミーは付き合ってなんかいないよ」
「え? うそでしょ?」
「嘘なんか言わないよ。彼とは仲の良い幼なじみだ」
はあ?
何それ。じゃあ僕ずっと勘違いしてたってわけ?
「あー」
脱力しすぎてしゃがみ込んでしまった。
じゃあ僕はとんだ勘違いをしてジェイミーに当たり散らし、嫌がらせをして怪我を負わせたってわけ? 最悪じゃないか。
……いや待てよ。ジェイミーの方は、あれ絶対ブライアンの事好きだろ? 僕に対してかなり好戦的だったし。なんなら排除したいと思っていたはずだ。
「だから私が君に勉強を教えたところで、ジェイミーが怒ることなんてないんだよ」
あ、察し。
ブライアンは超が付くほどの鈍感だ。これ恐ろしく面倒なやつじゃん。
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