悪行を重ねた令息は断罪されたくないので生き方を変えました。誰の愛も欲しがらないと決めたのに、様子がなんだか変なんです

くるむ

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第一章

トーマス視点

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 ランチを終えて戻る途中、ブライアン様は教授に呼ばれて行ってしまった。
 それを見送ったジェイミーが小さくため息をついた。さっきまでは明るい態度だったのに、なんだか表情が少し暗い。

「ジェイミー様どうしました? 何か悩み事ですか?」
 今日のショーン様とのやり取りを知らないキースが心配そうに尋ねた。

「いや、ごめん。何でもないよ」
 健気なジェイミーだ。可愛く微笑んでキースに心配かけないようにしている。だけど俺はショーン様のことが絶対に許せない。
 
「ショーン様のせいだよ」 
「えっ? 何かあったんですか?」

 驚くキースに、俺はショーン様のあざとい思惑を教えた。

「……そういうことだったんですか。最近ブライアン様がショーン様を気にかけているようで、不思議だなと思っていたんです。人間そんなに簡単に性格が変わるわけないですのに……」

「そうだろ? ブライアン様が人がいいことにつけ込んで自分の承認欲求を満たそうとするだなんて、とんでもないよな」
「ショーン様の思惑を、ブライアン様に忠告したらどうでしょうか?」
「それいいな! そうしようぜ」

「それ、無理だと思う」
「えっ、どうしてですか?」
「……僕が前に、ショーン様がブライアン様相手にあざといことをしてるのを注意したら、ブライアン様にそれは言い過ぎだと窘められたんだ。かえって僕らのイメージが悪くなっちゃうよ」

 ジェイミーの弱弱しい声に、普段はおとなしいキースが唇を噛んで悔しそうな顔をした。
「ブライアン様は、あんな人にまで優しいんですね」

 本当にショーン様は嫌な奴だ。

 ジェイミーの悲しい顔なんて見たくないのに。 
 やるせない思いに、俺はため息をついた。




キリがいいので続きは別にすることにしました。
いつも以上に文字数少なくてすみません
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感想 90

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