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「……ん」
気が付いた時は、和基の腕の中だった。
甘く怠い体が心地よくて、開けた瞼をまた閉じようとしてハッとした。
「和基、和基!」
「起きてますよ。大丈夫です」
そう言いながら俺を放す気は無いようで、心持ちまたキュッと俺を抱く腕の力を強くする。
「……何時だ?」
「そろそろ九時ですね。お腹、空きました?」
「ああ、そうだな。……怠いし腹減った」
「……ですよね」
「……? なんだ?」
「離れたくないし、放したくないです」
みたいだな。
さっきから、腕の力がほとんど緩んでいないし。
だけど。
「そういう訳にはいかないだろう?」
「……ですよね」
「あ……!」
「なんですか?」
諭している風情を装って、なんだかんだと和基の腕の中で微睡む俺の脳裏を、サッと現実がよぎった。
本格的に慌てた俺に、和基も身じろぐ。
「お前の同室、戻って来たんじゃないのか? ヤバいんじゃ……」
「ああ、……それ。篤史なら、今日は家に帰ってます」
「……え? ああ、そうか。そう言えば時々週末に帰るって言ってたな」
「そうですよ。だからもうちょっと、くっ付いてましょう?」
「そう……だな」
もう、いいか。
今までみたいに必死に取り繕うのは、もう止めよう。
和基も、もう俺以外の奴に意味なくじゃれつくのは止めるって言ってくれたし。俺も、もう意地を張るのは止めて、もっとこいつに素直になるよう努力してみるのも良いかもしれない。
誰かにのめり込むのは嫌だと思っていたけれど、どうやらこいつだけは例外みたいだから。
結局、その後また一眠りしてしまった俺の為に、和基が夜食をもらってきてくれてその後二人で風呂に向かった。
遅い時間だったので人はまばらだったけど、和基は俺を隅っこで洗わせて、他の奴らを威嚇しているから笑ってしまう。
「……お前な、みんなの迷惑だぞ?」
「そんなことないですよ! 気づかないんですか? みんな絶対厭らしい目で青葉さんの裸見てますよ!」
ヒソヒソボソボソと声のトーンを落としてはいるが、どうやら本気でそう思っているらしい。
まったく、こいつときたら……。
部屋に戻ったら、羽瀬川には丸く収まったとだけ報告しておこう。
多分それで、ある程度の推測はついてしまうだろうけど。
風呂から出てさっぱりし、気分良く和基と2人で廊下を歩く。
「……あ、思い出した」
「なんですか?」
変な約束をしちまったけど、仕方がないよな、この場合。
「俺、文化祭に羽瀬川と一緒に通行人Bとして舞台に立つことになった」
「は? え? 舞台? なんで?」
「今回の茶番、八神に協力してもらっただろ? そのお礼だそうだ」
「ええ~! なんだよ、もう~!!」
「こら」
「いて!」
グイッと、軽く和基の耳を引っ張った。
痛くないだろう? オーバーだぞ?
「元はと言えば、お前が一年の頭を……」
「ああー、ごめんなさい! もうそれは言わないで。分かった、わかりました。通行人ってことは、ただ舞台を横切るだけですよね? 誰かと絡むわけじゃないですよね?」
「当然だろ」
お前以外と絡むつもりなんてあるわけない。
そう思いながら和基をチラリと見上げると、目のあったこいつは面白いくらいに瞬時に真っ赤になっていた。
気が付いた時は、和基の腕の中だった。
甘く怠い体が心地よくて、開けた瞼をまた閉じようとしてハッとした。
「和基、和基!」
「起きてますよ。大丈夫です」
そう言いながら俺を放す気は無いようで、心持ちまたキュッと俺を抱く腕の力を強くする。
「……何時だ?」
「そろそろ九時ですね。お腹、空きました?」
「ああ、そうだな。……怠いし腹減った」
「……ですよね」
「……? なんだ?」
「離れたくないし、放したくないです」
みたいだな。
さっきから、腕の力がほとんど緩んでいないし。
だけど。
「そういう訳にはいかないだろう?」
「……ですよね」
「あ……!」
「なんですか?」
諭している風情を装って、なんだかんだと和基の腕の中で微睡む俺の脳裏を、サッと現実がよぎった。
本格的に慌てた俺に、和基も身じろぐ。
「お前の同室、戻って来たんじゃないのか? ヤバいんじゃ……」
「ああ、……それ。篤史なら、今日は家に帰ってます」
「……え? ああ、そうか。そう言えば時々週末に帰るって言ってたな」
「そうですよ。だからもうちょっと、くっ付いてましょう?」
「そう……だな」
もう、いいか。
今までみたいに必死に取り繕うのは、もう止めよう。
和基も、もう俺以外の奴に意味なくじゃれつくのは止めるって言ってくれたし。俺も、もう意地を張るのは止めて、もっとこいつに素直になるよう努力してみるのも良いかもしれない。
誰かにのめり込むのは嫌だと思っていたけれど、どうやらこいつだけは例外みたいだから。
結局、その後また一眠りしてしまった俺の為に、和基が夜食をもらってきてくれてその後二人で風呂に向かった。
遅い時間だったので人はまばらだったけど、和基は俺を隅っこで洗わせて、他の奴らを威嚇しているから笑ってしまう。
「……お前な、みんなの迷惑だぞ?」
「そんなことないですよ! 気づかないんですか? みんな絶対厭らしい目で青葉さんの裸見てますよ!」
ヒソヒソボソボソと声のトーンを落としてはいるが、どうやら本気でそう思っているらしい。
まったく、こいつときたら……。
部屋に戻ったら、羽瀬川には丸く収まったとだけ報告しておこう。
多分それで、ある程度の推測はついてしまうだろうけど。
風呂から出てさっぱりし、気分良く和基と2人で廊下を歩く。
「……あ、思い出した」
「なんですか?」
変な約束をしちまったけど、仕方がないよな、この場合。
「俺、文化祭に羽瀬川と一緒に通行人Bとして舞台に立つことになった」
「は? え? 舞台? なんで?」
「今回の茶番、八神に協力してもらっただろ? そのお礼だそうだ」
「ええ~! なんだよ、もう~!!」
「こら」
「いて!」
グイッと、軽く和基の耳を引っ張った。
痛くないだろう? オーバーだぞ?
「元はと言えば、お前が一年の頭を……」
「ああー、ごめんなさい! もうそれは言わないで。分かった、わかりました。通行人ってことは、ただ舞台を横切るだけですよね? 誰かと絡むわけじゃないですよね?」
「当然だろ」
お前以外と絡むつもりなんてあるわけない。
そう思いながら和基をチラリと見上げると、目のあったこいつは面白いくらいに瞬時に真っ赤になっていた。
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