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第一章
不本意な……良い朝
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お腹がいっぱいになると、幼児は眠たくなるらしい。腹が減りすぎて眠れない経験しかなかった俺にとって、信じられない現象だった。
かくんこくんと首が横に倒れる。その度にハッとして目を開くのだけど、また同じように何度も首が横に倒れた。
「無理するな。眠いんだろ? 寝たらいい」
ウィルフレッドは俺を優しくベッドに押し付け、頭を撫でた。
緩く優しいその仕草が、俺を余計に眠りにいざなっていく。
「おやすみ」という柔らかい声が、遠くから聞こえたような気がした。
柔らかい光と鳥のさえずりで目が覚めた。すごく心地よい目覚めで、この微睡みをずっと味わっていたい気分になる。固くて温かいものに包まれたこの感じが、すごく安心できた。
枕にキュッと頬をこすりつけると、布団にギュッと抱きしめられた。
ん? 布団?
ぼんやりとした頭で必死で昨日のことを思い出そうとした。布団のある環境のねぐらなんて……。
!?
俺の眼前には分厚い胸板。
それを見た途端、自分が今信じられない場所にいることを思い出した。
俺は家族にも持て余されて家を追い出された。家にいた頃も悲惨だったけれど外に追い出されてからはもっと悲惨だった。腹が減って倒れていたところを見つかっては石を投げられた。俺が逃げるとわざわざ追いかけてきて、確実に殺せと銃を持ち出す者まで出て来た。
黒髪、黒い瞳で生まれただけで殺してもいいと位置付けられた存在。
好きでこんな姿で生まれてきたわけではないのに。
俺が怒りで報復すると、その倍以上に悪いことが起きた。手配書があちこちで配られ御尋ね者と悟られ、フードで髪を隠していても顔を確認しようと覗きこむものまで出てきた。ひっそりと生きていこうと考え直しても、それすらも許そうとはしない。
怒りで何もかも分からなくなった。殺されてもいいからこいつら全員皆殺しにしてやろうと思った。町も全て壊滅すればいい。そう思っていたら、こいつがやってきた。
黄金色の髪が、朝日に当たりきらめいている。睫毛までもが金色だ。
彫りが深く形の良い唇。王子様然としたその顔は、きっと女性も放っておかないだろう。忌み子と言われ嫌われている俺とは大違いだ。
大の男にガッシリとホールドされているというのに、今は何故かそこまで嫌だと感じられなかった。この温かさには、どうにも抗えない安心感がある。
「ん……」
ふさふさとした金色の睫毛が揺れて、きらめくブルーが現れた。そのブルーが俺を見つけて、優しく細められる。
「おはよう、いい朝だ」
「おは、よう」
俺にとっても良い朝だった。こんなふうに気持ちよく目覚めたことは、今まで一度たりともなかった。
かくんこくんと首が横に倒れる。その度にハッとして目を開くのだけど、また同じように何度も首が横に倒れた。
「無理するな。眠いんだろ? 寝たらいい」
ウィルフレッドは俺を優しくベッドに押し付け、頭を撫でた。
緩く優しいその仕草が、俺を余計に眠りにいざなっていく。
「おやすみ」という柔らかい声が、遠くから聞こえたような気がした。
柔らかい光と鳥のさえずりで目が覚めた。すごく心地よい目覚めで、この微睡みをずっと味わっていたい気分になる。固くて温かいものに包まれたこの感じが、すごく安心できた。
枕にキュッと頬をこすりつけると、布団にギュッと抱きしめられた。
ん? 布団?
ぼんやりとした頭で必死で昨日のことを思い出そうとした。布団のある環境のねぐらなんて……。
!?
俺の眼前には分厚い胸板。
それを見た途端、自分が今信じられない場所にいることを思い出した。
俺は家族にも持て余されて家を追い出された。家にいた頃も悲惨だったけれど外に追い出されてからはもっと悲惨だった。腹が減って倒れていたところを見つかっては石を投げられた。俺が逃げるとわざわざ追いかけてきて、確実に殺せと銃を持ち出す者まで出て来た。
黒髪、黒い瞳で生まれただけで殺してもいいと位置付けられた存在。
好きでこんな姿で生まれてきたわけではないのに。
俺が怒りで報復すると、その倍以上に悪いことが起きた。手配書があちこちで配られ御尋ね者と悟られ、フードで髪を隠していても顔を確認しようと覗きこむものまで出てきた。ひっそりと生きていこうと考え直しても、それすらも許そうとはしない。
怒りで何もかも分からなくなった。殺されてもいいからこいつら全員皆殺しにしてやろうと思った。町も全て壊滅すればいい。そう思っていたら、こいつがやってきた。
黄金色の髪が、朝日に当たりきらめいている。睫毛までもが金色だ。
彫りが深く形の良い唇。王子様然としたその顔は、きっと女性も放っておかないだろう。忌み子と言われ嫌われている俺とは大違いだ。
大の男にガッシリとホールドされているというのに、今は何故かそこまで嫌だと感じられなかった。この温かさには、どうにも抗えない安心感がある。
「ん……」
ふさふさとした金色の睫毛が揺れて、きらめくブルーが現れた。そのブルーが俺を見つけて、優しく細められる。
「おはよう、いい朝だ」
「おは、よう」
俺にとっても良い朝だった。こんなふうに気持ちよく目覚めたことは、今まで一度たりともなかった。
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